ビール四方山ばなし(2)
(注ぎ方)

昨日の話の続きですが、ビール会社の人たちとビールを飲んだ時、彼等が私のグラスに瓶からビールを注いでくれた時のことです。普通によくやるように、コップを傾けて注がれるのを待ちました。 すると、その方は「何故、傾けるのですか?」と質問してきました。「その方が注ぎやすいのではないかと思いまして・・・・」と答えると、「それは逆です。真っ直ぐに立てて下さい」と言われました。

その方は次のように解説してくれました。 ビールは、液7分泡3分ぐらいの状態で飲むのが一番美味しいので、注ぐ人はそのようになるようにグラスに注ぐ早さを調節するのですが、グラスを傾けられると調節し辛いとその方は言われるのです。つまり注ぎかたを速めると泡が多く、遅くすると少なくなりますので始めに速く、徐々に遅くして液7分泡3分になるように調節するわけですが、傾けられると泡が立ち難いため調節が確かにし辛くなります。更に、その方は「グラスを傾けられると泡が少なくなることから、ビールを多めに注いで下さいとの意志表示に繋がるので、賤しい注がれ方と見なされます」と続けられました。

ビールは大気に触れると酸化が進み炭酸ガスが抜けて味が落ちますが、ビールの泡は蓋の役目を担ってこれらを抑えますので、液7分泡3分は重要な意味を持っており、更にその泡が上側にが細かくなるほど効果が大きくなっります。従ってビールを注ぐ場合はこの点に留意することが大切ですので、この方の解説は理にかなっておりました。その方は次のような注ぎ方がいいと教えてくれました。

1.グラスは真っ直ぐ立てて持つ
2.最初は静かに注ぎ泡を確認したらピッチを上げて泡の層をつくる
3.ほぼ2/3に達したところでピッチをゆるめ量を調節して注ぎ終える

尚、これに次のことが加われば更に理想的ですが、注がれる方がグラスを手に持っている場合は少し無理が有りますので省略していいと思いますが、どうしても理想的に注ぎたい場合はグラスを置いて頂くようにお願いしてから注ぐのもひとつの注ぎ方と思います。 (イ)最初はグラスの底から20〜25cmの高さから注ぎ始める
(ロ)グラスの縁に沿って静かに注いで細かい泡を上に移動
(ハ)グラスの縁に泡が少し盛り上がったところで注ぎ終える

このことが有って以来、私はコップを真っ直ぐに立てて注いで頂くことにしております。そして、注がれる方のコップの持ち方に興味を持つようになりましたが、圧倒的に傾ける方が多いのに今更ながら驚きました。初対面の方に、このように正しいコップの持ち方なるものを云々するのは失礼ですので黙認することにしておりますが、親しい友人たちにはこの話しをさりげなくすることにしております。一昨日の新年会で盛り上がったのはこの話しががきっかけでした。

その後、2次会で行ったスナックで、ホステスさんがビールを注いでくれたのですがその注ぎ方が酷かったので一言注意した上、この注がれ方の話しをしました。そのホステスさんは左手を遊ばせたまま、瓶をラベルを下にして右の手のひらに受けて注いでくれたのですが、これは、一方の手で瓶の底を持つこと、ラベルを上にすることの2点が守られていないマナー違反だったからです。私から「君は日本人ではないね」と言われた彼女は驚いた様子で、中国人であることを告げ大変、勉強になったと目を輝かせて喜んでくれました。

昨年末、上海の料理店で飲んだビールが泡だらけであまりにも不味かったのでクレームを付けたところ、中国人ガイドさんが「中国ではビールを冷やして飲む習慣が無いので、ウエーターがそのことを知らずに出して申し訳有りません・・・」と言い訳しながら冷えたビールと取り替えてくれたことを思い出しました。


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