エジプト古代史を変えた男性たち(2)
(壮大なピラミッドで歴史観を変えたクフ王)

カイロ博物館所蔵のクフ王の彫像

クフ王はその存在が上の画像の僅か7.5センチの象牙製の彫像でしか確認されないほどに存在感の薄いファラオで、お世辞にもエジプト古代史を変える程の影響力を持っていたとは言えません。敢え選んだのは、彼が世界最大のピラミッドを建設しそれを後世に残してくれたことで、後世の人たちの古代エジプトに対する歴史観を変えたからです。正確に言うならば、「エジプト古代史の歴史観を変えたファラオ」です。

クフ王は第4王朝の創始者で、ダハシュールにある屈折ピラミッド、赤のピラミッドの2基のピラミッドを作ったスネフェル王と彼の異母妹で上位の王妃だったヘテプヘレス1世の子供として中エジプトのベニハサンの近くで生まれました。スネフェル王が第3王朝最後のファラオのフニ王の子で血がが繋がっているのにも関わらず王朝名が第3から第4に変わっているのは、多分スネフェル王の母、メルサンク1世が下位の王妃だったたために正統な血を受け継いでいないことによるものと推定されるが謎のままです。

クフ王には、異母兄弟のカワラ、ジェドフラ、カフラー等の息子たちがおり、カワラが第1後継者でしたがジェドフラによって謀殺されたらしく、ジェドフラが後を継ぎましたが治世8年の短命で終わりその後を異母弟のカフラーが継ぎ、更にその息子のメンカウラーが継ぎました。クフ王は父スネフェルを見習って巨大なピラミッドの建設を企画し、有能な建築技師で従兄弟のヘムオンの設計を任せましたが完成させたのは息子のジェドフラでした。

ところが、そのジェドフラは父のピラミッドより少し離れた場所にピラミッドを作ったのですが途中で放棄しているのに、弟のカフラーは父のの直ぐ横に父と負けず劣らずの巨大なピラミッドと更に門番としてスフィンクスを完成させ、その息子のメンカウラーも父の直ぐ横に規模は小さいもののやはりピラミッドを完成させております。こうして、クフ王の息子、孫の三代にわたってピラミッドを完成さえているのに長兄のジェドフラだけが完成させていないのは如何にも不自然でこれまた謎のひとつです。 私は、カワラの殺害も弟のカフラーの策略で、ジェドフラもカフラーによって殺害されたのではないかと思っております。

この、親子三代による3基のピラミッドはギザの三大ピラミッドとして、表面の化粧石は剥がさて石積みが剥きだしになってしまいましたが、4500年を経て今尚その壮大な姿を見せてくれます。尚、ピラミッド建設の目的に関する謎や三大ピラミッドの位置関係がオリオン座の三つの星に似ているとのオリオンミステリーなどについては、このサイトの「エジプト旅行での思い出の4景」に掲載しておりますのでそちらをご覧下さい。

クフ王はピラミッド建設以外にはこれと言ったことはしておらず、シナイ半島に遠征してベドウィンの勢力を抑えてトルコ石の採掘場を確保したり、アスワンから赤色花崗岩の切り出しを行なった程度で凡庸なファラオでしかなく、その足跡を探る手がかりは、上の彫像とアブ・シンベルの石切り場で見つかったクフ王の狩猟地と書かれた碑文しか有りません。しかし、世界最大のピラミッドの製作者として後世にその名を残しております。

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