藤枝東高物語(73)
母校藤枝東、新人戦予選L突破2010年01月22日の日記から
藤枝東高物語(74)
藤枝東 明誠に惜敗、静学優勝2010年01月30日の日記から


新人戦、東海大翔洋戦で2点目を右足でゴールする直前のMF海野

高校サッカーは1月の新人戦で開幕します。次いで長丁場のプリンスリーグ東海、
総体と進み、選手権で閉幕し、選手権優勝校だけが12月から1月にかけて国立を
目指して全国大会に出場します。従って、三年生たちは選手権敗退をもってユニ
フォームを脱ぎ、一年生、二年生による新チームが結成され新人戦に臨みます。
果たして、母校の新人戦の成績はどうだったでしょうか。
その新人戦は、特別シードの藤枝明星を除く全校が8のグループ
に分かれてリーグ戦を行い、各グループ上位2校が決勝Tに進出する方式で行わ
れ1月17日にそのリーグ戦が終了、母校は次のとおり4戦4勝してグループ1位を
確保し、決勝T進出を決めました。

2010-01-10○藤枝東9:0清  水  南● 海野2 長田2 田中2 荒木 安田 柴田
2010-01-11○藤枝東6:0城 南 静岡● 海野2 松葉2 田中 岩崎
2010-01-16○藤枝東1:0大  井  川● 齋藤哲
2010-01-17○藤枝東3:2東海大翔洋● 安間 海野 望月睦

尚、決勝T進出16校は下表のとおりです。特別シードの藤枝明誠を除く15校を
リーグ戦の成績に従って順位を付けて表示してあります。
3試合の場合は勝点を4試合分に換算(4/3を乗ずる)しております。

試合終了後のスコアボード(*走り書きの校名と傾いた得点板)

母校、藤枝東は新人戦中部地区予選Lを突破15校中3位の成績でシード校の藤枝明誠と初戦を戦い1:0で惜敗し敗退しました。形の上では惜敗ですが、試合内容は完敗で課題を残したとのことでした。しかし私としては、現地観戦もテレビ観戦もしておりませんので、具体的にどのように完敗し、どのような課題が残ったかは知る由も有りません。ただ、幸いなことに、この試合の様子をビデオ撮影してネットに公開された最中さんのUSTREAM動画(http://www.ustream.tv/recorded/4186853)を閲覧することで大凡の試合内容を知ることができました。

やはり、巷の評論家諸氏が言われるように、完敗でした。ボールの支配率はそれほど変わらないのに、シュートチャンスに大きな差が有りました。つまり、東が明誠に攻められるとゴール付近での攻防になりシュートチャンスが多くなるのに、東が明誠に攻め込んでもゴール付近での攻防になる前に跳ね返されてしまうことが多く、シュート数、CK数に大きな差が有るように思われ、公式データも多分そのようになっていると思います。

極端な表現をさせて頂くなら、東のパスは次の展開を狙った戦術、明誠のパスは次の次の展開を狙った戦略が込められているように思われたからです。つまり、東のパスは場当たり的、明誠のパスは意図的で、その差は次のプレー以降に現れ、上述のように相手ゴール付近までそのパスが繋がるか否かにかかってくるように思われるのです。


順位 校    名 校章 勝点 勝数 分数 負数 点差
藤枝明誠 - - - - -
清 水 商 12 3 0 0 +24
静岡学園 12 3 0 0 +23
藤 枝 東 12 4 0 0 +17
清 水 東 12 4 0 0 +12
静 岡 東 12 4 0 0 +9
常 葉 橘 12 4 0 0 +9
静 岡 西 12 4 0 0 +5
島   田 10 3 1 0 +8
東海大翔洋 9 3 0 1 +17
10 清 水 西 9 3 0 1 +3
11 静 岡 北 8 2 0 1 +13
12 静   岡 8 2 2 0 +8
13 藤 枝 北 7 2 1 1 +2
14 静岡城北 7 2 1 1 +1
15 焼津中央 6 2 0 1 +6
かって、東高のサッカーは、パス廻しの個人技が素晴らしいとの評価を受けておりました。しかし、点と点が線で繋がっていくのですがその線の集合体が前へ移動していく状態(=プレス)にならなければ無意味です。言いかえれば、いくらパス廻しが出来てもゴールに繋がらないなら意味が無く、パス廻しの個人技はそれほど高くなくても、前へ前へとプレスをかけて泥臭くゴールを狙っていく姿勢が求められ、その狙いがある程度実って07年、08年の連覇に繋がったと私は理解しております。現在は、前へ出ようにもパスが繋がらないのですからプレスを掛けようがない状態になっているように思えます。

その原因は、司令塔、つまりボランチ機能の欠如としか考えようが有りません。生で試合を観てないので確かなことは言えませんが、中盤で声を出している選手が少ないように思われますので、ボランチ機能の欠如は疑う余地は無いと思われます。これは、システムの問題ですから、監督、コーチ陣は改めて選手の適正配置とその役割を徹底させるよう指導して欲しいものです。特に、大石監督は経験豊かで監督専任の立場に居られますから、選手たちのプレーをビデオで分析して、問題点を判り易く教えてあげて下さるようお願いします。

東高選手たちのマナーがいいことはいいことです。東高グランドでも応援のファンやOBのみなさんたちに丁寧に挨拶をされると聞き及んでおります。また明誠が昨年末、県代表になった時、東高のレギュラークラスの選手2名が明誠を訪れて激励したことから明誠関係者が感激したことを、明誠の選手のお父様が私宛メールして下さいました。このようにグランド外でのマナーの良さは東高の伝統であり称賛に値します。しかし、グランドでは、おとなしいという意味のマナーの良さは必要無いと思います。所詮、サッカーはラグビーと同様、格闘技です。相手が手を出してきたら、直接手で返さないまでもやり返す姿勢はとるべきで、ファウルを恐れてそのままおとなしく引き下ってはいけません。
そして、常に相手に声を出して鼓舞すべきです。



藤枝東は、新人戦には弱く、過去9年間、一度も優勝しておりません。
ただ、それでも肝心の選手権ではこの間、最多となる4回優勝しており
ますので、新人戦の成績はあまり気にしてはおりません。
特に、2003年度は初戦で明誠に敗れても選手権で優勝しております。

                     新人戦優勝 選手権優勝   
2000年度 ●藤枝東1:2静 岡 学園○(準決勝) 清  水  商  清  水  商
2001年度 ●藤枝東2:3翔     洋○(準決勝) 静  岡  北  静 岡 学園
2002年度 ●藤枝東1:2静 岡 学園○(準決勝) 静 岡 学園  静 岡 学園
2003年度 ●藤枝東1:2藤 枝 明誠○(一回戦) 清  水  東  藤  枝  東  
2004年度 ●藤枝東0:1浜    名○(決勝戦) 浜    名  藤  枝  東 
2005年度 ●藤枝東0:1清  水  東○(準々決) 静 岡 学園  常 葉 橘 
2006年度 ●藤枝東0:1常  葉  橘○(準決勝) 静 岡 学園 静 岡 学園
2007年度 ●藤枝東0:1清  水  商○(決勝戦) 清  水  商 藤  枝  東
2008年度 ●藤枝東0:1清  水  商○(二回戦) 静 岡 学園 藤  枝  東
2009年度 ●藤枝東1:3静 岡 学園○(準決勝) 静 岡 学園 藤 枝 明誠
藤枝東を破った藤枝明誠は準決勝を清水商と戦い、先制されたものの後半8分松村が同点ゴールを決め、そのまま延長戦に持ち込み2:2で終了、PKを5:3で勝って、決勝を静岡学園と戦い、2:1で敗れて中部地区は静岡学園が優勝しました。更に3位決定戦で清水商が2:1で常葉橘を破り、5位決定戦で藤枝東が静岡城北を2:0、静岡北が静岡東を2:1でそれぞれ破って4位以上4校、5位2校、7位2校の計8校が決まりました。これに、一回戦敗退8校による敗者復活戦で勝ち残った清水西、静岡、清水東、藤枝北の4校を加えて、計12校が県大会に進出しました。一方、東西2地区でも9位(2校)までの10校がそれぞれ県大会が決まり、中部地区12校と併せて計32校が県大会に進出しました。このうち6位以上の18校を下表にリストアップしてみました。


                     
順位 東 部 地 区 中 部 地 区 西 部 地 区
暁   秀 静 岡 学園 磐 田 東
吉 原 商 藤 枝 明誠 浜   名
飛   龍 清 水 商 浜 松 湖東
日 大 三島 常 葉 橘 袋   井
加 藤 学園 藤 枝 東* 浜 松 南
下   田 静 岡 北* 浜松開成館

                                                                                      (*中部地区のみ6位はなくいずれも5位)

県大会決勝Tは、2月7日から1回戦が始まり、藤枝東は富士と1回戦を戦い、勝てば2月11日に浜名と藤枝北の勝者と2回戦を戦い、勝てば多分勝ち上がってくるであろう藤枝明誠と2月14日に準々決勝を戦うことになっております。これに勝てば2月20日に多分、清水商、更にこれに勝てば2月21日に多分静岡学園と決勝を戦うことになります。従って、2月14日が正念場となり、この勝敗によって今年の藤枝東の戦力が占われます。

プリンスL東海(2008) グランパスユース戦での一幕

上の画像は、2008年7月05日の日記から引用しておりますが、私の東高観戦に中で最も観たくないシーンのひとつです。この試合に勝てば全国大会出場も有り得る重要な試合でしたので、私も暑い中、蚊に食われながら立見で懸命に応援しました。 前半を1:1で終えて後半に入り逆転されると、途端に元気が無くなり結局、6:1で大敗しましたが、上の画像は逆転された直後のシーンです。声も無くうなだれる選手に「顔を上げて!もっと声を出して!」と思わずネット越しに声を荒げてしまいました。私は、東高の選手諸君に次の言葉を贈りたいと思います。

ベルリン大会で逆転ゴールして優勝候補スウェーデンを破り「ベルリンの奇跡」を演じて日本に五輪初勝利をもたらした松永行、W杯で日本人として初得点した中山雅史、今や日本最高の右ボランチMFとなった長谷部誠等、それぞれの世代で日本を代表する名選手たちが駆けまわった千南原のグランド、先輩たちの尽力で今や人工芝になったそのグランドで練習に励む時、君たち選手諸君はそんな栄光が秘められたグランドに思いをめぐらすことが有りますか。

天皇杯が開かれ、昭和天皇が観戦に来られたこのグランドは、サッカー選手を志す全国の少年たちにとって聖地であり、君たちが着ている藤色のユニフォームは憧れでした。時代は移り、他校も力をつけてきたことから、かってほど栄光を刻むことは少なくなったとしてもその伝統は連綿と伝えられております。伝統は誇りをもたらしてくれます。君たちが苦境に陥った時、その伝統や誇りが苦境を切り開くこころの支えとなるはずです。

藤色のユニフォームに憧れながら東校に入れなかった少年たち、藤色のユニフォームを着ることが出来ても試合に出られない選手たち、こうして県外や国外から応援しているファンやOBたちのことを思えば、弱音を吐いたり、手抜きしたり、意気消沈したりすることなど出来ないはずです。それが、藤色のユニフォームを着て闘う君たちの宿命であり、それに挑むことが君たちの人生に輝きを与え、後の人生を切り開く力をもたらしていくことと思います。

尚、上の画像でうつむいていた選手は、私の激励の声に応えたかのように軽く会釈をして元気に駆けていきました。そして、この年、東高はそのうつむいていた選手の活躍もあって県の選手権大会で優勝したのでした。
 がんばれ! 藤枝東高



*追記:お願い:
母校のグランドが県の公式試合の会場になることはOBにとって嬉しいことです。しかし、このスコアボードの光景を観て愕然としました。主催は県の協会でしょうが、実際の運営は東高に委託されていることと思います。もし、委託されているなら、相手校、それも昨年度優勝校の校名を走り書きし、自校の校名を整然と書き、更には相手校の得点板を傾けたままにするなど、相手校に対して礼を欠いており、光景としても見苦しいものがあります。 改善して頂くようお願いしたいものです。


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