藤枝東高物語(87)
高校サッカー滝二の優勝に思う2010年11月03日の日記から
藤枝東高物語(88)
長谷部の活躍でシリアに勝利2010年11月13日の日記から


初優勝し喜び勇んで応援席前に駆け付ける滝川二の選手たち

昨年は、藤枝東OB、そして静岡県の高校サッカーを応援する私にとって辛い年でした。まず、藤枝東が県の選手権・決勝トーナメント1回戦で敗退したこと、そしてサッカー王国静岡復活を目指して全国大会に出場した静岡学園が3回戦で惜しくも日章学園(宮崎)に0:0のままPK戦で敗退してしまったからです。

その第89回全国高校サッカー選手権大会は今日、京都代表・久御山と兵庫代表・滝川二との決勝戦を迎えました。久御山は京都府の人口2万人に満たない久御山町にある府立高校で出場5回目の強豪校です。一方の滝川二は兵庫県の私立高ですが、兄貴格の滝川(第一とは称していない)より、スポーツ競技が強く、特にサッカーでは兵庫県を代表する強豪校です。

両校とも優勝経験は無く、初の決勝進出・初優勝を目指しての関西地区同士の激突となりました。滝川二は09年の全国高校総体で優勝候補に挙げられながら初戦の2回戦で久御山に0:5と大敗しているだけにリベンジを果たしたいところであり、一方の久御山は、優勝候補筆頭格の流経大柏を追い付かれながらもPK戦を制して2008年の雪辱を果たしての決勝戦でした。

その2007年大会の決勝戦、藤枝東と流経大柏との決勝戦を私は国立に応援に出掛けました。久御山は全く知りませんでしたので、その久御山に2回戦で幸運なPKで2:1と勝ち越したものの7枚のイエローに退場者まで出すなど散々苦しめられた流経大柏なら充分に勝機は有ると期待しておりましたが、結果は惨憺たるもので0:4で大敗し、その高校離れしたテクニックに驚いたことをよく覚えております。

準決勝戦で久御山はその流経大柏と2年後に再び対戦して上述のように試合後のPK戦で勝利し、2年前のPK失点による敗戦のリベンジを果たし、滝川二との決勝戦に臨んだのでした。試合は、滝川二が久御山に数少ないチャンスをモノにして前半9分を終えて3:0とリードを広げ、2年前の藤枝東と流経大柏の決勝戦と同じような展開を示しておりました。

しかし、後半12分に久御山が1点返すと、滝川二が14分に1点を追加、すると久御山が後半39分、41分に加点し3:4となり、試合は全く分からなくなってしまいました。そして、ロスタイム5分後に滝川二がダメ押しの5点目を加点し、結局3:5で滝川二が初優勝しましたが、見応えの有る決勝戦でした。

後に、久御山の松本監督が京都商の選手だった頃、静岡学園のテクニック重視のサッカーに憧れ、その指導者の静岡学園の井田監督を尊敬し、久御山の監督になってからもその思いは変えずに5度の全国大会出場を果たすほどの強豪校に久御山を育て上げたとことを知り、なるほどと思いました。

個人技に優れパスを細かく繋いで試合を優位に運びながらも決定力不足でなかなか得点に繋がらない試合展開は、3回戦の静岡学園の日章学園戦、久御山の滝川二との決勝戦の前半に共通していたように思われました。かって、藤枝東も華麗にパスを繋ぐも得点に至らなかったことを思い出しながらこの試合を観続けました。

この試合、滝川二はパスを繋ぐ個人技では久御山に及ばなかったものの、自陣での密集の中でのディフェンスが優れていたことと、ロングパスを多用して決定的な得点機を作ったことで、3:0の優位を保ちました。これに対して、後半に入って久御山が中央ドリブル突破とロングパスを織り交ぜるようになって3得点しました。やはり、細かくパスを繋ぐだけでは得点に至らないことがこの試合で実証されたように思われました。

1990年から2004年まで15年間の高校サッカー界は、私が命名したのですが、「東鹿船帝国」の時代でした。それは、東福岡、鹿児島実、舟橋、帝京、国見の5校が15年間で13回も優勝しているからです。残りの2回が静岡学園と清水商で静岡が王国として一時代を画した時でもありました。

ところが、2005年から「東鹿船帝国」の時代も、その間に一時的に芽生えた王国静岡の時代も終わりを告げて群雄割拠の時代に移り、野州(2005:滋賀)、盛岡商(2006:岩手)、流経大柏(2007:千葉)、広島皆実(2008:滋賀)、山梨学院大付(2009:山梨)、滝川二(2010:兵庫)と目まぐるく優勝校が変わっていきました。

それは、各校の力が接近してきたこと、この12年間で公立校が、国見の小嶺監督、野州の山本監督、市船の布監督等のもとで9回も優勝していることから判るように良き指導者が居れば全国区クラスの強豪校になれることにあるようです。藤枝東は公立でも有数の進学校である点で少し事情が異なりますが、言い訳は一切無用とし、今日の決勝戦を教訓にして新人戦かっら奮起してもらいたいものです。


前半35分、ミドルシュートで先制ゴールしたMF長谷部

4日前のアジアカップB組予選リーグ初戦で、思わぬオウンゴールによる失点を取り返せないまま、後半ロスタイムに突入し、これまでと思った瞬間、MF長谷部の絶妙なセンタリングをDF吉田がドンピシャで頭で合わせて劇的な起死回生同点ゴールして予選突破に望みを繋いだ日本は、今日の第2戦でシリアと対戦しました。

FIFAランキングは、日本29位に対し、シリア110位ですので日本の優位は揺るぎませんが、初戦で日本とともに本大会最多優勝の実績を持ち、優勝候補の一角のサウジアラビアを破って意気上がるシリアだけに油断はできません。

日本は立ち上がりからボールを支配して攻め続けるものの得点に至らず、初戦のヨルダン戦での苦戦が思い返されて嫌な展開になりました。ところが、前半35分、DF内田からの縦のロングパスを受けたMF本田がドリブルでゴール右に持ち込んでセンタリング、左サイドに詰めていたMF香川がこれを受けて、3人のDFを足を切り替えながらかわして後方の松井にパス、松井は右に居たMF長谷部の前にパス、長谷部は即座に右足でゴール右隅に豪快にミドルシュート(下の画像)、これが見事に決まって待望の先制ゴール。

松井からのパスを右足で豪快にシュートするMF長谷部

まさにこれは、次の5人の役者が夫々に自分の持ち味を発揮して仕上げられた見事なゴール劇でした。

(1)内田の正確な本田へのロングパス
(2)ロングパスを受けてドリブル突破してからの本田のセンタリング
(3)センタリングを受けて足を切り返しながらキープした後の香川の松井へのパス
(4)相手DFの背後を突いてシュートし易い位置に出した松井のショートパス
(5)パスを即座に右足で右隅に決めた長谷部の正確なミドルシュート

追加点が取れないもどかしさは有りましたが、後半も半分を過ぎて、日本の勝利は間違いないものと思った後半24分、大変な事態が発生しました。シリアのロングパスをDF吉田がクリアミスしたことから、長谷部が長友にバックパスしたのは止むを得なかったのですが、問題はそのパスコースにありました。

長谷部のバックパスは、GK川島と長友の間という中途半端なコースをとったため長友が受けることができないままゴール正面のGK川島の前に転がっていきました。間一髪のタイミングで川島が蹴り返すと、ボールはゴールに向かって並んでいた今野とシリア選手の間に飛んでいきました。このボールを相手選手がゴール前に詰めて味方選手に向けてパスしました。

しかし、この時点で、ゴール前に詰めていたシリア選手はオフサイド位置におりましたので、副審はオフサイドフラッグを揚げましたが委細かまわず、シリア選手はパスボールを取りに行こうとしましたが川島に一瞬早くセーブされました。従って、オフサイドが認められれば日本のゴールキックとなって全く問題ありません。

また、オフサイドが認められなくても、川島がファウルを犯さずにボールをセーブしているのでこれも問題無いはずです。ところが、主審は副審のオフサイド宣告を取り消す仕草をしましたので、驚いたアナウンサーと解説者が盛んにその仕草に異論を唱えました。やがて、主審は川島の前でレッドカードを掲げました。

結局、川島が蹴り返したボールをキックしたのはシリア選手ではなく日本選手つまり今野だったからオフサイドではなく、逆に自軍選手から意図的に渡されたボールを直接手で触れたことが反則行為と見做されるとの主審の見解が示されたようでした。私は録画ビデオをスロー、一時停止等により問題の場面をチェックしてみました。

まず、川島が蹴り返したボールをキックした場面では、シリア選手の足の先にボールが映っておりましたので副審の宣告通りオフサイドと私は判断しました。また、今野がキックしたとすれば意図的にオウンゴールする行為となり常識的には考えられません。以上は私の勝手な考え方ですが、素人に理解し難い主審の見解を解説することこそ解説者の役割なのに解説者は異論を唱えるだけでした。

日本はFW前田を下げてGKとして西川を上げましたが、PKを決められ1:1の同点にされてしまいました。日本は1人少ない10人で戦うことを強いられましたが、後半34分岡崎が相手エリアで倒されてPKを得、本田がゴール真ん中に決めて再びリードを奪い、6分のロスタイムも凌いで激戦にピリオドを打ちました。以下にその場面を画像で追ってみます。


後半24分、シリアにオフサイドフラッグを掲げる副審

オフサイドを取り消して川島にレッドカードを差し出す主審

後半34分、ペナリティエリアで二人に挟まれて倒される岡崎

本田が放ったPKボールは相手GKの股をかい潜ってネットに

劇的勝利しながらも反省の弁を繰り返したキャプテン長谷部

前 頁 へ 藤枝東高物語目次へ 次 頁 へ
inserted by FC2 system