藤枝東高物語(117)
藤枝東 京都橘に敗れ千葉の地に散る2014年01月02日の日記から
藤枝東高物語(118)
苦難を越えて親子鷹が大輪の花を咲かせ2014年01月13日の日記から


国立で開幕式で入場行進する藤枝東の選手たち(がんばれ藤枝東高!より)

大輪の花を咲かせた富山第一・大塚監督と大塚翔主将


第92回全国高校サッカー選手権大会の開幕式が昨年12月30日の午後12時40分から国立競技場で行われました。地区代表48校が1月11日に再びこの国立に戻ってくることに希望を膨らせながら行進しました。静岡県代表・藤枝東高も大村主将が校旗を掲げて堂々の行進をしました。

東海3県の代表校の入場行進(がんばれ藤枝東高!より)

そして、今日ジェフ千葉のホームスタジアムのフクダ電子アリ−ナで優勝候補の一角で昨年の準優勝校、京都橘との2回戦が行われました。昨年の大会で5ゴールで得点王に輝きJ1名古屋への入団が内定しているエースストライカーFW小屋松、J2熊本に入団が内定しているGK永井を擁する京都橘は難敵ではありますが、藤枝東にも全国クラスのFW片井、GK長沢が居り決してひけを取りません。

結果として、藤枝東は0:2で敗退しました。残念なことに当地愛知県ではこの対戦がテレビ中継されずネット速報で経緯を見守るしかなかったのですが後で、日本テレビ編集のビデオを観るかぎり、巷で言われているような完敗ではなく、むしろ点が入っていなかったら藤枝東に判定勝ちの旗を揚げてもいいとさえ思った次第です。

その理由は、攻められっぱなしではなく、前半に大場、片井がGKの手を掠めるシュートを放っており更に後半でも片井がPKを得ておりますので、この三つのチャンスに1点でも取っていたら試合は判らなくなっていたと思われるからです。

前半13分、大場によるミドルシュートは相手GKの手を掠めてバー越えに

前半16分、小谷による至近距離からのシュートもバー越えに

前半はみかたによっては藤枝東が試合を支配していたように見えますが、前半20分、こぼれ球をFW宮吉にクロスで折り返され、これをゴール直前に詰めていたDF林の頭にドンピシャで飛び、林に鋭く頭で突き返されたボールはゴールネットを揺らし藤枝東失点。

前半20分、左からのセンタリングをゴール前に詰めていた林に頭で決められ失点

後半に入って双方、決め手を欠いたまま経緯し、後半8分に藤枝東はMF中野を倒してPKを与えてしまい、京都橘はエースストライカーの小屋松がゴール左にシュートしましたが、GK長沢が見事にクリアしました。試合後このミスを悔やんだ小屋松に笑みは有りませんでした。

エースストライカー小屋松のPKシュートをクリアしたGK長沢

後半17分に今度は、藤枝東は片井が倒されてPKを得ましたが、その片井のPKシュートはGK永井に阻まれててしまいました。もし、このPKが決まっていたらこの試合はどうなったか判らなかっただけに悔やまれます。後半27分に赤沢にダメ押しの2点目を決められ万事休しました。やがて終了を告げる長い笛が鳴り響きました。

試合終了し倒れ込む藤枝東の選手たち

13年前、サッカー部創部間もないころ、京都橘は名門藤枝東に教えを請うべく練習試合に臨みましたが大敗したとのことです。今日その藤枝東に快勝して恩返しをしようとしたのか藤枝側の応援席前に挨拶にきたとのことです。現在、勝ち進んでいる富山第一は藤枝東に憧れて藤色のユニフォームにしております。両校の健闘を祈ります。

明日から3年生諸君はサッカーから離れて入試、就活に忙しい日々を送ることになります。彼等にとってサッカー選手として過ごした3年間の経験は今後の人生に大きなプラスとなることでしょう。片井君、原田君、桜井君、田口君・・・・・お疲れ様でした。

また、この三試合に出場して貴重な経験をされた長沢君、小谷君、藤原君、大塲君、川本君、松田君、山田君、三年生の思いも含め、継続、継承し 全国で勝てるチームを自らの力で築き上げ再びその名を全国に轟かせて下さい。期待しております。
がんばれ藤枝東高!


第92回全国高校サッカー選手権大会決勝戦が最蹴章となる国立で北陸勢初対決の富山第一(富山県代表)と星稜(石川県代表)の間で今日14時05分のキックオフで行われました。後半タイムアップ寸前の93分に富山第一がPKで同点とし延長後半9分の途中交代のMF村井の劇的なスーパーゴールで富山第一が初優勝を遂げました。

本稿の目的は、母校 藤枝東の活躍を取り上げることにあり、他校まして県外の高校の活躍を取り上げるのは不本意ですが、富山第一の最後まで諦めなかった選手たちの思い、大塚監督の家族ぐるみでの英国留学に端を発するサッカーへの熱い思い、そして途中出場の村井選手のあまりにも見事なスーパーゴールに魅せられて敢えて取り上げた次第です。

富山第一は昭和34年に富山県3番目の私立高として創設され、藤枝東とは縁もゆかりもありませんが、サッカーが低迷していた昭和44年当時、強豪校として全国的に知られていた藤枝東にあやかろうと、ユニフォームの色を藤枝東と同じ藤色系にした経緯があります。ただ、富山第一の藤色は青っぽく、藤の花の色に似せた藤枝東の紫がかった藤色とはかなり隔たりが有るようです。

富山第一は、前半早々、巧みなFKで星稜ゴールを脅かしますが、GK近藤のファインセーブなどに阻まれて得点できません。逆に前半34分、富山第一のDF村上の下の写真に示す プレーが危険と見做されPK判定が下され、このPKを星稜に難なく決められ先制を許してしまいました。


更に後半25分に星稜に追加点を許し、2:0のまま後半40分が経過した時点で正直、星稜の優勝は間違いないものと思われました。ところが後半41分、富山第一は左サイドから パスを繋ぎ、MF村木がこのパスを絶好のタイミングでクロスを上げるとゴール前に詰めていたFW高浪がこれを胸で受け止め強烈なシュートを放ちました。ボールはGK近藤の阻止で急速は落ちたもののコースは変わることなくネットに吸い込まれ待望の1点が富山第一に入り2:1となりました。

FW高浪がクロスを胸で叩き落として放たれたボールがゴールに吸い込まれる直前

しかし、まだ1点差で富山第一に残された時間は2分とロスタイム、やはりこのまま星稜が押し切るものと思われました。星稜側にとっての懸念材料は、この大会での無失点記録が途絶えたことによる解放感と裏腹に1点を死守しようとする使命感が強く出過ぎることでした。そして、その懸念材料が現れてしまいました。後半のロスタイム3分も残り1分となった93分、下の写真に示すように星稜のDF森下が富山第一のDF竹沢をペナリティーエリア内で倒してしまいました。

星稜のDF森下が富山第一のDF竹沢を倒した瞬間

PKを告げる笛が吹かれ富山第一にPKが与えられました。キッカーは背番号10、主将で大塚監督の次男、大塚翔。一気に蹴り込むのではなく狙いを定めるような仕草で数歩助走して、左隅にシュートしました。GK近藤は反対の右側に反応しましたので、ボールは難なくゴールネットに突き刺さり2:2の同点、結局、2:2のまま延長戦に入りました。

大塚翔から放たれてネットに突き刺さる直前のPKボール

延長戦も前半終了、後半も9分経過しました。この時点でPK戦が予想されて当然んで、既に準決勝の四中工とのPK戦で見事にセーブせてPK勝利を導いた富山第一のPK専用キーパー田子の起用が想定される局面でもありました。しかし、後半も9分、右サイドからのロングスローが星稜のゴール前に落ちて取り合いになり、富山第一・MF村井の前に落ちようとしたその瞬間、村井は落下寸前のボールを直接左足で蹴り込み、これが敵味方のいずれの選手に触れることなくネットを突き刺しました。

延長後半9分、左足で豪快な決勝ゴールを決めた富山第一・MF村井

運と技量が相乗しての素晴らしい逆転ゴールでした。もう、田子の起用は必要無く、残り1分を全員で守り切れば最蹴章は終わります。そして、試合終了を告げる長い笛が場内に鳴り響きました。高校サッカー史上に残る名勝負でした。富山第一と藤枝東とで力の差は殆ど無かったと思います。ただ、勝ちたいと思う気持ちに差が有ったのでしょう。

優勝旗、トロフィを手にして歓びの富山第一選手たち

ただ残念だったのは試合後に行われた両校監督による舌戦でした。富山第一の大塚監督はイングランドプレミアリーグ・ウェストハムへのコーチ留学経験も持ち、息子の俊・翔兄弟も語学留学させるなど、サッカーへの思を熱く抱き、富山第一サッカーの基礎を築いてきた教育者でもあるのに「富山第一は星稜と違い、選手の殆どは富山県出身者だから・・・」などと差別発言したことが舌戦のきっかけでした。

大塚監督は自分の発言の影響力も勘案し、何らかの対応をして欲しいものです。また感心したのは、富山第一が富山県からのパレードの申し出を教育に不相応として固辞したことです。このことに大塚監督の関与されていたのなら納得です。来年、藤枝東、富山第一による藤色対決が観られることをこころより願うものです。


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