藤枝東高物語(19)
清水東を破り優勝 (2003年11月15日の日記から)
藤枝東高物語(20)
常葉橘を破り優勝 (2004年11月21日の日記から)


前半23分、先制ゴールを決めた藤枝東のMF河井

今日、三鷹(東京B代表)に勝てば、待ちに待った憧れの国立で明日、準決勝戦を観られると思うと、朝からワクワクして、今日のテレビ中継番組をチェックしようと思い、朝刊を見てガックリしました。
昨日、三鷹と宮城工の試合がテレビ中継されておりましたので、話題沸騰の都立校の快挙として、今日も全国放映されるものと期待していたのですが有りませんでした。サッカー後進県、愛知の悲しい現実を思い知らされました。従って、これまでどおり、「頑張れ藤枝東高」サイトの速報版にアクセスして戦況を把握することにしました。速報は次のとおりでした。

・前半20分(14:30) 藤枝東0−0三鷹
・前半24分(14:34) 河井ゴール 藤枝東1−0三鷹
・前半26分(14:37) 藤枝東1−0三鷹
・前半34分(14:44) シュート数 藤枝東7 三鷹0
・前半終了(14:50) 圧倒的にボールを支配するも追加点取れず

・後半開始(15:00) 藤枝東1−0三鷹
・後半02分(15:03) メンバー交替なし  藤枝東1−0三鷹
・後半10分(15:12) 三鷹2人同時にメンバー交替
・後半19分(15:20) ボールポゼッション 藤枝東6:4三鷹
・後半19分(15:20) 前半よりも三鷹のパスがつながっています
・後半19分(15:20) INK中村 OUTH岡崎
・後半19分(15:21) 9FW岡崎太一⇒12MF中村龍 藤枝東1−0三鷹
・後半25分(15:26) 得点J松田 藤枝東2−0三鷹
・後半31分(15:32) 藤枝東2−0三鷹
・後半32分(15:33) INM稲葉 OUTG平井 藤枝東2−0三鷹
・後半33分(15:34) INO横山 OUTE小林 藤枝東2−0三鷹
・後半38分(15:39) 藤枝東2−0三鷹
・後半40分(15:41) ロスタイム2分 藤枝東2−0三鷹
・後半42分(15:43) 試合終了  藤枝東2−0三鷹

地元に加えて、都立校では史上初めて同一大会3勝を挙げ初出場で8強に進んだことから、スタンドには数多くの三鷹の応援者が詰めかけ健闘をたたえる拍手が試合開始から鳴り響き、藤枝東にとっては、一昨日の三ツ沢での日大藤沢戦に続けてアウエーでした。18歳以下日本代表候補4人を擁し個人技で勝る藤枝東は、多彩な攻撃で三鷹の守備陣を切り崩しにかかり、キックオフから終始、三鷹は守勢一方になりました。

前半23分、MF藤田が相手クリアボールを前線に供給し、MF石神が中央へ折り返すと、MF河井が右足で鮮やかなループシュートして、3人でボールを落とすことなく3試合連続の先制ゴールを決めました。その後も持ち前のパスサッカーを展開して三鷹を圧倒し、後半25分には、CKからFW松田純也選手(3年)が頭で合わせ追加点を取り、守備でも三鷹攻撃陣に決定機を与えないまま試合終了しました。こうして、明日は憧れの国立で、どちらかと言えば最近では格上の高川学園(旧多々良学園)と準決勝を戦うことになりました。


前半11分、先制ゴールを決めて喜ぶ藤枝東のMF河井

今日は天下晴れてテレビ中継が有ります。まず、第一試合の津工対流通経大柏の試合をテレビ観戦しました。津工は私が住む東海地区の三重県に所在し、準地元ですから津工を応援しました。前半26分、流通経大柏のエースストライカーFW大前がゴール左からDFのブロックをはねのけ右足でゴールして先制して前半を終えましたが、後半は津工の集中力が切れて大前の4得点も含めて5点を奪って大勝しました。

今日の対戦相手の高川学園の前身の多々良学園は、明治11年(1878)に創設された山口県防府市にある曹洞宗系の高校で、全国屈指の充実した教育施設の中で中・高・塾一貫教育を実践していることで知られております。ところが、2年前に不正経理がもとで経営破綻し数十億円にのぼる負債を残して学校の存続が危ぶまれましたが、塾経営で知られる高川晶氏がその負債を肩代わりする形で多々良学園を買い取り、平成18年に現在の校名「高川学園」に改称して現在に至っております。

従って、現在の3年生は2年前にサッカー名門校多々良学園の1年生として初のこの国立で「美しいサッカー」を風靡した野州高と準決勝を戦い、0−1で破れた苦い経験をしております。白井監督の胸中は、今は3年生となった彼等のリベンジのためにも、多々良学園最後の卒業生の彼等のためにも、旧多々良学園として、新高川学園として初の国立での勝利を味あわせてやりたいとの思いに燃えておりました。

一方、藤枝東の服部監督の脳裏には、11年前の1997年の第73回大会で監督として始めてこの国立のピッチに立った時のことが過ぎりました。当時の高校サッカー界は東の市船、帝京、西の国見、東福岡の4強時代で、その4強一角、帝京と対戦したものの高さとパワーに圧倒され0−2で敗退した、あの悔しさを何としても晴らすべく藤枝東としての初の国立で勝利したいとの思いは、高川学園の白井監督と通ずるものが有りました。

前半は、新春の西日に照らされた国立のピッチに藤色のユニホームが躍動しました。流れるようなパス回しで開始早々に主導権を握った藤枝東は、前半11分、FW松田が相手DF陣に囲まれながらも必死に落としたボールを、ペナルティーエリア内の狭いスペースに巧みに絶好のタイミングで走り込んだMF河井が右足で鋭く蹴り上げると、ボールは綺麗な弧を描いてゴール左隅のネットに突き刺さり、同校の選手権での国立初得点、そしてこの試合を決める先制ゴールとなり、その瞬間藤色に染められた藤枝東応援席から大きな歓声が沸きました。

試合後に、高川学園のGK洞ケ瀬はこの場面を、西日が目に入ったためにボールが見えなかったと悔やんでおりましたが、MF河井のシュートはスピード、角度とも素晴らしく西日は関係ないように思われました。この大会で、このゴールを含め4戦連発で全て前半25分以内に先制ゴールを決めている MF河井は163センチと小柄ながら卓越したボールコントロールと戦術眼、豊富な運動量で攻撃陣を引っ張っております。

彼は県内有数の進学校の藤枝東の中でも成績はトップクラスで指定校推薦で慶大進学が決まっているだけあって頭脳明晰で先を読んでキラーパスを繰り出すことでも知られており、藤枝東FC時代から6年間に渡って河井を指導する滝利明コーチ(53)は、指導者が示す手本を見てすぐに覚えて自分のものにする彼の才能に驚嘆しております。昨年は県予選でMVP、アシスト王、ベストイレブンの3冠 を獲得し、U-18日本代表に選ばれ国際舞台の経験も積んで成長しておりますので、慶応進学後も清水エスパルスの大前とともにユース日本代表に選ばれることが期待がされます。

ところが後半に入って、高川学園のボール支配率が前半と逆に藤枝東を上回るようになりました。 その原因は藤枝東の1回戦からの大きな課題だったパスミスにあったように思われました。選手交代で運動量を増やし前がかりになって攻勢を強めてきた高川学園に対して前半のようにリズムを出そうとするパスが相手に渡ってゴール近くまで攻められる場面が多くなりました。しかし、高川学園のラストパスが雑過ぎていい形でゴール前にボールを供給できないまま終わってしまったような気がしました。特に後半3本のCKのうち2本は直接ゴールを脅かすことなくそのままゴールラインを割るなど、確かに藤枝東のDFも見事でしたが、高川学園の攻撃の拙さに助けられた感がありました

決勝戦の相手、流通経大柏はこのようなミスはまず犯しません。流通経大柏には昨夏の高校総体3回戦で0−1で敗れており、練習試合も含めて目下、3連敗中の強敵です。苦戦は覚悟の上で、それでもサッカー王国静岡の誇りを持って、現在の力をフルに出し切れば充分に勝機は有ります。 是非、国立での初優勝、そして36年ぶりの優勝目指して頑張って下さい。この私も同級生たちとスタンドで応援します。
頑張れ藤枝東!


前 頁 へ 藤枝東高物語目次へ 次 頁 へ
inserted by FC2 system