藤枝東高物語(39)
藤枝東の今年の成績を振り返って 2008年6月15日の日記から
藤枝東高物語(40)
藤枝東の監督交代に思うこと 2008年6月16日の日記から


チームを牽引するMF小林勇輝主将
(「がんばれ藤枝東高」から転載させて頂きました)

流経大柏との決戦を控え選手を指導していた服部康雄氏
(昨年12月10日、 藤枝東高グランドにて)


我が母校、藤枝東の今年の成績(選手権試合を除く公式戦)を、「がんばれ藤枝東高」と地元静岡のメィデア情報を索引して下表に纏めてみました。練習試合や一部の親善試合等を除外してますが、四大イベントの新人大会、高校総体、JFAプリンスリーグU-18東海2008、中日本ユースサッカースーパーリーグは全て含めておりますので、この表の成績から同校の実力を評価することは可能と思います。

全成績は12勝7敗7分で勝率:632で現在の阪神タイガースの勝率.667に及びません。昨年度の静岡県大会優勝、全国大会優勝の割には成績は良く有りません、表を一覧しても、●や△のほうが○より目立って綺麗でありません。四大イベントのうち、新人大会、高校総体は既に終了しており、藤枝東は表中に「T敗退」で示すように、新人大会は2回戦で清水商に、高校総体は3回戦で何と県内進学校2位の浜松北に12-11という記録的なPKスコアで破れ早々に敗退していることからも成績が芳しくないことを示しております。

表に注釈しておりますように、4月12日の四中工戦から服部監督に代わって大石監督が采配をとっておりますが、その後の成績は5勝3敗5分で勝率.625で服部監督の頃と殆ど変わっておりませんが、内容が逆に悪くなっております。つまり、最大のライバルの宿敵静岡学園に負けたこと、星陵に大敗したこと、格下の浜松北から1点も奪えずにPK負けしたことの3敗の内容が悪すぎるのです。

そして、一昨日、第二のライバルと思われる常葉橘と引き分け、更には今日、藤枝北と如何に試験で3年生が欠場したとは言え、後半になって藤枝北が控組にメンバーを入れ替えてきたのにミスを連発して無得点のまま引き分けに終わったとの報告を友人から得ております。このような状態では、新人大会優勝の静岡学園、高校総体優勝の東海大翔洋を始め、清水商、常葉橘など並み居る強豪と対等に戦うだけの戦力が有るとはとても思えません。9月から始まる選手権予選に向けて、新監督のもとで体制を立て直して臨むことを期待するものです。


13年間、藤枝東を指揮しこの間、選手権県予選優勝4回、総体県予選優勝6回、全日本ユース県予選優勝2回(うち1回は全国優勝)という輝かしい実績をあげてきた服部康雄監督(51)が、県教育委員会へ移動する人事が4月11日に発表され驚きました。後任には、静岡工時代に選手として全国高校選手権準優勝を経験し、清水ユース監督や磐田コーチなどを歴任された大石和孝氏(50)が県教委から任命された専門技能を持つ特別教諭資格で就任されることになりました。

服部康雄氏は公立高校の教員ですから、人事異動はよくあることで、今回の移動人事もその点では驚くに値しません。しかし、教員であるとともに全国高校サッカー界でも五指に数えられる名監督(私の独断かもしれませんが)で、藤枝東でも長池監督に次ぐ実績をあげられた監督でもあり、本人の選手・監督時代を通しての悲願の国立での初優勝を果たせぬまま、藤枝東の監督の座を去るのは如何ばかりかと胸中察するものがあります。

今回の人事異動に、服部康雄氏の意志が反映されていたのか、それとも県教委や藤枝東周辺の思惑が反映されていたのかは、いまのところ知る由もありませんが私は、大石和孝氏の就任と併せて今回の人事異動を以下のように前向きに考えてみたいと思います。私は、私学の環境を最大限に生かして圧倒的な強さで勝ち上がってきた流経大柏に全国高校選手権決勝戦を含めて4連敗し太刀打ち出来なかったことが、今回の人事異動の背景に有ったと思っております。

この思いは、公立・進学校という制約のため、思うように選手を全国レベルで確保できないまま、雨降ればドロンコのグランドで、しかも少ない時間の中で生徒たちを指導するしかない監督の立場を知っている地元のサポーターや支援団体関係者に共通していたことと思います。かくいう私も、決勝戦で負けた当日、新宿で夜の更けるのも忘れて同窓生たちとこの件について熱く語り合って最終の新幹線に乗り遅れたものでした。

      藤枝東の今年の成績    (2/9〜6/15) 
試合日 大会名 対戦相手 結果 スコア 備  考
08-02-09 県新人戦 小 笠 4-0
08-02-10 県新人戦 清水商 0-1 T敗退
08-03-08 中日本ユース 愛知FC 8-1 U-18
08-03-08 中日本ユース 四 中 工 1-1 U-17
08-03-09 中日本ユース グランパスY 0-1 U-18
08-03-09 中日本ユース グランパスY 2-4 U-17
08-03-15 中日本ユース 近大付属 1-0 U-18
08-03-15 中日本ユース ヴィッセルY 1-0- U-17
08-03-16 中日本ユース 四 中 工 2-2 U-18
08-03-16 中日本ユース 愛知FC 6-1 U-17
08-03-27 みなとリーグ 野 州 1-2
08-03-29 マリノス杯 東福岡 2-1
08-03-30 マリノス杯 青森山田 3-3 PK5-4
08-04-12 プリンスL東海 四 中 工 1-1 大石監督初采配
08-04-13 中日本ユース 奈良育英 10-0 U-17
08-04-19 プリンスL.東海 中京大中京 3-1
08-04-26 プリンスL.東海 静岡学園 0-1
08-05-03 プリンスLL東海 磐田東 2-2
08-05-06 プリンスLL東海 岐 阜 工 1-0
08-05-10 中日本ユース 星 陵 0-5 U-18
08-05-17 県高校総体 聖隷 3-0
08-05-18 県高校総体 浜松北 0-0 PK(11-12)T敗退
08-06-07 招待試合 吉 田 3-1
08-06-07 招待試合 磐田東 0-0
08-06-14 プリンスL.東海 常葉橘 0-0 2試合残して4位
08-06-15 定期戦 藤枝北 1-1

このような、環境の下で流経大柏、帝京、東福岡など私学メリットを生かしている列強に対抗するには、ボランチを経由して、パス&ムーヴで相手陣を崩すしかないと思考して13年間藤枝東を指揮してきた服部良雄氏の戦術は今でも間違っていないと思います。その成岡、大井、長谷部、赤星などのJリーガーを輩出したのがその証しと思います。

ただ、服部良雄氏は正規の教員ですからグランドだけでなく教室でも教鞭をとることになります。藤枝東はOBと一体となってジュニアユースから一貫教育を行っております。従って監督は校内だけでなく、校外に出て有望な選手を見出す必要が有ります。また、藤枝東入学希望の中学生たちの相談に乗ることも必要になります。服部良雄氏はこうした校外活動にも積極的に行動したことでも知られております。

しかし、正規教員の身分ではきっと思うようにはいかなかったと思います。また最近は、流経大柏で本田裕一郎監督を補佐する元帝京監督の古沼貞雄コーチや常葉橘の長澤和明監督のようにJリーグで指導経験を持つ、プロの指導者が高校の監督に就任してJリーグ仕込みの高度の技術を教え込んで成功する事例が増えているように思われます。その成功の裏には、彼等が正規教員の身分から離れて自由に行動できる時間が有ったからだと思います。

大石新監督もJリーグで指導経験を持つプロの指導者として静岡県で知られた方です。大石新監督は、県教委から専門技能を持つ特別教諭の任命を受け、藤枝東では体育の授業助手を務め、職員会議にも出席しておられますが、それでも 服部康雄氏よりは時間は自由になると思います。今後は、大学、Jリーグでの豊富な指導経験を生かして、服部康雄氏のパス&ムーヴを引き継ぎながらも、これに違った切り込みを入れて、あの屈辱的な大敗の因をなした流経大柏の高い位置からプレスを打ち破って欲しいものです。大石新監督は、「伝統のパスサッカーを受け継ぎ、個々の判断能力を高めて国立で勝つチームをつくりたい」と抱負を語っております。

一方、服部康雄氏が転進された県教委スポーツ振興室主席指導主事の具体的な仕事内容はさっぱり私には判りません。サッカーに限らず県立学校等のスポーツ全般の振興に携わるとすれば、かっての一高校教諭より高い次元での教育の場で仕事が出来ることになります。その意味で今後のご活躍を期待したいと思います。かって、同窓会の場で彼と飲み交わしながらサッカー談義したことが思い出されます。
最後に彼の名言を下記しておきます。

自分達のやり方を曲げて勝つより 曲げないで負けたほうがまだいい
                            服部康雄

前 頁 へ 藤枝東高物語目次へ 次 頁 へ
inserted by FC2 system