藤枝東高物語(69)
藤枝明誠の健闘を讃える(1)2010年01月05日の日記から
藤枝東高物語(70)
藤枝明誠の健闘を讃える(2)2009年12月06日の日記から

                   
うなだれる国見イレブンと喜びあう藤枝明誠イレブン

全国高校サッカー選手権大会が現在、首都圏のJリーグチームのホームグランド等を会場にして行われており、我が母校、藤枝東と同じ静岡県・藤枝市内に在って創部以来27年間、藤枝東に追い付き追い越せをモットーに研讃を重ねてきた私立藤枝明誠高校(以下、藤枝明誠と略)が、徳島商、国見、岐阜工等の強豪校を破って今日、関西大学一高との準々決勝に臨むことになりました。正直言って私は、藤枝東が今春のプリンスリーグ東海で藤枝明誠に3-0で完敗した時は、春の珍事と思っておりました。

しかし、それが珍事でなく当然の結果であることが、その後の県総体で準決勝、プリンスリーグ東海で3位、プリンスリーグの全国大会の高円宮杯全日本ユースで強豪ひしめくB組で堂々の1位となり、大阪桐蔭高を破って準々決勝に進出、そして、選手権県予選で堂々の初優勝を果たしたことで立証されました。高円宮杯全日本ユース選手権を除く、静岡県内での昨年の藤枝明誠全公式戦の戦績(当サイトの「藤枝東高物語(68)」参照)が20戦、16勝3敗1分(勝率=84.2%)であったのに対して、藤枝東の全成績が20戦、8勝12敗1分(勝率=42.1%) で、勝率にして藤枝東は藤枝明誠の丁度半分でした。これでは、藤枝東が藤枝明誠に勝つことの方が珍事だったと言えます。本サイトで「藤枝東高物語」を連載している立場で、他校に触れるのは不本意ではありますが、東高とともにサッカー王国静岡の復活を目指して健闘している藤枝明誠に敬意を表し、ここで同校の健闘を讃えたいと思います。

私は、高校サッカーの大会で最も実力が競われるのは、高円宮杯全日本ユース選手権と考えております。全国を9ブロックに分け、そのブロック内でプロユースを含む選り抜きのチーム(東海ブロックでは8チーム)がリーグ戦を行い、上位数チーム(東海ブロックでは上位3チーム)が全国大会に出場し、再び6ブロックに分けられてリーグ戦を戦い、上位16チームが決勝Tに出場するのですから、強力なライバル校だけでなく実力的に高校より上のプロユースと渡り合って全国U-18のベスト16になるのは大変なことです。藤枝明誠はその大変な、決勝T出場16チームに下図に示すようにその名を連ねたわけです。

第20回(2009年度)高円宮杯全日本ユース選手権決勝T出場16チーム
(右の最上段にB組1位の藤枝明誠の校名が見られる)

高円宮杯全日本ユース選手権で藤枝明誠はまずプリンスリーグ東海で得失点差で静岡学園に及ばず3位を確保して全国大会に出場し、1次リーグB組で青森山田に1:4で負けたもののジェフユナイテッド千葉に1:0で勝ってB組1位となって決勝Tに進出し、大阪桐蔭を2:1で破って準々決勝に進出し惜しくも広島ユース(サンフレッチェ広島ユース)に敗れましたが、堂々の全国ベスト8に輝いております。ここの1次リーグには東福岡、流経大柏、星稜、静岡学園、決勝Tには前橋育英、広島観音、青森山田等、今回の全国高校サッカー選手権に出場している全国優勝経験のある全国トップクラスが出場して敗退していることから、藤枝明誠が全国でもトップクラスであることが実証されたとみていいと思います。

その意味で、藤枝明誠を優勝候補とすべきなのに、「初出場」の見出しだけに終始していたのはメディアの見識不足と言わざるを得ません。しかし地元静岡以外のメディアでは、藤枝明誠の名前はこれまで一度も、総体、選手権、高円宮杯全日本ユースの全国高校サッカー三大イベントで見聞きしたことは無いはずですから、これも無理無いことと思います。藤枝明誠に「強豪」「名門」の冠詞が付くようになるためには、来年以降数年以内に上記の三大イベントのいずれかに出場することが必要と思われます。かって静岡県では、東海大一高(現東海大翔洋)、常葉学園橘高等の私立高校が全国区に躍り出て知名度を挙げたことが有りましたが、その後三大イベントへの出場が途絶え勝ちになったことから忘れ去られつつあります。藤枝明誠はそのようにならないように、藤枝東との一戦が「藤枝ダービー」として全国への飛躍の関門になるよう今後とも頑張って欲しいものです。

藤枝明誠の初戦に対する大方の戦前の予想は初戦の相手が3年連続38回目の出場を誇る古豪の徳島商で、例え勝っても次に予想される相手が7回の最多優勝を狙う強豪の国見であることから、初戦敗退が順当とされておりました。ところが、その徳島商を1:1からのPK戦をGK甲斐のファインセーブで勝ち、その勢いで国見を前半17分で3得点して撃破、更に優勝候補の東福岡を撃破して勢いに乗る、3年連続23回出場を誇る岐阜工を1:0で完封したことから藤枝明誠の健闘を称賛する記事が目につくようになりました。そこで、まずは準々決勝戦までの3戦を画像で振り返ってみたいと思います。

・1回戦:対徳島商戦
この試合、実力伯仲ながら高さ(平均身長で藤枝明誠が約5cm高い)GKのセーブ力で藤枝明誠にやや分が有りその結果、1:1でのPK戦を3:2として藤枝明誠が辛くも、大会最多出場(38回)、地区予選4試合で21得点1失点と他を圧倒してきた徳島商を破り、初出場、初勝利を果たしました。前半2分、FW大山のパスからMF鈴木が左サイドを突破して上げたクロスを安東が高さを生かしてダイビングヘッドで藤枝明誠先制、後半21分最終ラインの裏に誘い出されてガラ空きになった無人のゴールにループシュートのボールが流し込まれて徳島商同点、そして、PK戦では徳島商の1番手がゴールを外すと、続く2、3番手のシュートをGK甲斐が連続でファインセーブ、結局この3連続ミスが祟って藤枝明誠が3:2でPK戦に勝って初戦突破しました。

前半2分、FW安東がCKをダイビングヘッドで先制ゴール

PK戦でファイセーブする藤枝明誠のGK甲斐

・2回戦:対国見戦
全く信じられない光景が前半12分間続きました。かって、母校藤枝東が2005年の事実上の決勝戦と言われた3回戦で対戦しPK戦で敗れた憎き国見が3失点したのです。失点は素人目には国見DF陣のクリアミスのように見えました。前半3分、ゴール前のこぼれ球を右サイドから詰めていたMF飯塚祐が右足で合わせて先制、その後12分までに、FW大山が立て続けに相手DF陣のスキを突いてゴールしました。しかし、後半15分にMF須郷が1点を返し3:1とし、更に前半35分、右サイドからのロングスローからの強烈なシュートをはゴール枠を捉え3:2となったと思った瞬間、ボールはGK甲斐の両手に捉えらておりました。もし、この甲斐のファインセーブが無かったらこの試合はどうなっていたか判りません。結局、後半27分に安東が4点目のダメ押しで藤枝明誠が国見に快勝しました。

前半3分、MF飯塚祐がこぼれ球を右足で合わせて先制ゴール
・3回戦:対岐阜工戦
3勝の3試合の中で、藤枝明誠にとってこの試合が最も厳しかったように思えました。前半は岐阜工が押し気味で特に36分、 長井のサイドチェンジから決定的なチャンスを作り志津野の強烈なボレーシュートで岐阜工先制と思われた瞬間、またもDF甲斐のファインセーブに阻まれるなど、藤枝明誠はロングボールをゴール前に放り込んでくる攻撃をはね返す防戦一方で前半を終了。後半4分、辻のCKを増田が頭で決めて先制し、その後の岐阜工の猛攻をしのいで1点を守り切り辛勝しました。試合内容で負けて勝負に勝ったのが藤枝明誠でした。岐阜工は東福岡を、明誠は国見といずれも優勝候補を破っての進出でしたので好試合が期待されたのですが、結果としては期待外れに終わりました。

前半37分 志津野の強烈なシュートをファインセーブするGK甲斐

後半4分 辻のCKを増田が頭で決めて先制


藤枝明誠・辻のスーパーゴール(nikkansportsより)

こうして昨日、藤枝明誠は関西大学第一高(以下、関大一高と略称)との準々決勝を迎えました。同校は、大正元年(1913)創立、10年ぶり3回目の出場の歴史を持つ近畿地方屈指のサッカー名門校で、少なくともサッカーでは藤枝明誠より格上の立場にありました。初出場ながら全日本ユースで事実上高校ナンバーワンに輝き、本大会でも優勝候補クラスを撃破してきた藤枝明誠有利との戦前予想でした。しかし結果は逆でした。パスを繋いで相手の陣形を崩し安東、大山を軸に高さを利して攻撃する藤枝明誠のテクニックの持ち味が封じられた反面、「月まで走れ」のモットーどおり豊かな運動量を利した関大一高のフィジカルの持ち味が如何なく発揮されたため、予想を覆す結果に終わりました。まさにテクニシャンチームがフィジカルチームに負ける典型的なパターンそのものでした。

藤枝明誠の2回戦の対国見戦とスコア、失点の経緯も全く生き写しのように逆になっておりました。対国見戦では前半3点連取して1点返されて3:1で前半を終え、後半1点追加して4:1で勝利したのに対し、対関大一高では前半2点連取され1点返して1:2で前半を終え、後半2点追加されて1:4で敗れたからです。ただ、対国見戦での藤枝明誠の得点はパスを繋いでゴール前のこぼれ球をゴールしたのが多かったのに対して、対関大一高ではロングスロー、CKなどセットプレーによる得点が4点中3点を占めておりました。確かに、対国見戦ではパスを繋いでのゴールが多かったのですが、一方対徳島商戦、対岐阜工戦の決勝点はいずれもCKからのセットプレーで挙げており、どちらかと言えば藤枝明誠はセットプレーでの得点を得意としていたように思えます。裏返してみると、逆に相手のセットプレーによる攻撃に対する対策に抜かりが有ったように思えてなりません。このあたりが、今後の藤枝明誠の課題になるものと思われます。

藤枝明誠が持ち味の攻撃力を封じられた最大の原因は、安東が足の怪我で本来なら欠場すべきところを無理して出場したため思うように動けなかった上、大山とともに関大一高のDF陣に徹底的にマークされたことにありました。惜しまれたのは後半22分の3点目の失点でした。右からのCKはGK甲斐が飛び出せば充分キャッチできたはずですが甲斐が一瞬躊躇した隙を小島に頭で合わせられました。後半、藤枝明誠が持ち味を発揮しだしてきただけに、この失点が無かったらと惜しまれます。 この試合で唯一、藤枝明誠にとっての明るい材料は、唯一の得点となった小川に代わってキャプテンマークを付けた辻の約35メートルのロングシュート(冒頭の写真参照)で、恐らく本大会でのベストゴールになるものと思われます。

藤枝明誠イレブンの殆どは3年生ですので、後輩たちが先輩たちのプレーを引き継いでいけば、明誠旋風は来年も駿南の地を起点に吹き荒れそうな予感がします。ただ、キャプテン小川、辻、安東、増田等主力選手の怪我が多く万全の状態でのプレーが出来なかったことも今後の課題になるように思われます。また、私は愛知県在住ですので、藤枝明誠やその生徒たち、選手たちの風評については知る由もありませんが、今回の栄誉に奢ることなく地域のみなさんから愛される校風を醸成してサッカーの街、藤枝の街つくりに貢献して頂きたいものと願っております。

また、主力選手の小川、安東、鈴木、増田の諸君が、私が住んでいる愛知県にある愛知学院大に進学予定とのことですので、当地で彼らのプレーを観ることを楽しみにしております。愛知学院大には昨年、藤枝東の県選手権優勝に貢献した藤枝市の青島中出身の村松一樹君が選手として活躍しておりますので、ここでも藤枝勢の力が発揮されることを願うものです。また、今大会一と思われる見事なロングシュートを決めた辻君は、今日負けた関大一高の兄貴分の関大に進学予定とのことですので、今日戦った関大一高のイレブンたちとともに愛知学院大と戦うことがあるかもしれません。藤枝明誠の選手諸君、お疲れ様でした。

参考までに、藤枝明誠の2009年度の全成績を付記しておきます。 実に堂々たる戦績で、文句の付けようがありません。

02-07 新人戦・1 回 戦      ○藤枝明誠1-1●磐田農   吉田高グランド
02-08 新人戦・2 回 戦      ○藤枝明誠1-0●磐田東   焼津中央グランド
02-14 新人戦・3 回 戦      ○藤枝明誠1-1●韮山     藤枝総合運動公園 
02-15 新人戦・準 決勝      ●藤枝明誠2-2○清水商   藤枝市民グランド 
04-11 プリンスL第1節      ○藤枝明誠3-0●藤枝東   藤枝総合運動公園
04-18 プリンスL第2節      ○藤枝明誠3-2●静岡学園 藤枝総合運動公園    
04-25 プリンスL第3節      ○藤枝明誠1-0●エスパルスY  エコパ補助グランド 
05-02 プリンスL第4節      ○藤枝明誠3-0●常葉橘  藤枝総合運動公園  
05-06 プリンスL第5節      △藤枝明誠1-1△グランパスY トヨタスポーツセンター
05-17 県総体・1 回 戦      ○藤枝明誠3-0●大井川   藤枝東高グランド 
05-23 県総体・2 回 戦     ○藤枝明誠5-0●浜松南   藤枝明誠グランド  
05-24 県総体・3 回 戦      ○藤枝明誠2-1●暁  秀   藤枝総合運動公園
05-31 県総体・準 決勝      ●藤枝明誠1-3○清水商   藤枝市民グランド
06-13 プリンスL第6節      ○藤枝明誠4-3●磐田東   エコバ補助グランド
06-27 プリンスL第7節      ●藤枝明誠0-2○ジュビロY  草薙陸上競技場
07-04 プリンスL第8節      ○藤枝明誠4-2●清水商   愛鷹多目的グランド
07-11 プリンスL第9節      ○藤枝明誠4-0●四中工   鈴鹿スポーツガーデン
09-06 全日本ユース1次L  ○藤枝明誠4-0●星 稜   藤枝総合運動公園
09-13 全日本ユース1次L  ●藤枝明誠1-4○青森山田 藤枝総合運動公園
09-19 全日本ユース1次L  ○藤枝明誠4-0●ジェフU Y  焼津総合運動公園
09-21 全日本ユース決勝T  ○藤枝明誠2-1●大阪桐蔭 石巻フ
10-04 全日本ユース決勝T  ●藤枝明誠0-2○サンフレッチェY Jヴィレッジ
11-21 選手権・準々決勝     ○藤枝明誠2-1●静岡西   藤枝総合運動公園
11-28 選手権・準決勝       ○藤枝明誠2-1●常葉橘   藤枝総合運動公園
12-06 選手権・決勝         ○藤枝明誠2-0●清水商   エコバ
12-31 全国選手権・1回戦    ○藤枝明誠1-1●徳島商   駒沢陸上競技場

01-02 全国選手権・2回戦    ○藤枝明誠4-1●国 見   西が丘サッカー場
01-03 全国選手権・3回戦    ○藤枝明誠1-0●岐阜工   駒沢陸上競技場
01-05 全国選手権・準々決勝 ●藤枝明誠1-4○関大一高 市原臨海競技場

計 29戦 22勝6敗1分 勝率=75.9%

・県新人戦   ベスト8
・県総体    ベスト8
・プリンス東海   3位
・全日本ユース ベスト8
・県 選手権    優勝
・全国選手権    ベスト8

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