藤枝東高物語(79)
高まる長谷部の主将としての評価2010年07月05日の日記から
藤枝東高物語(80)
母校、藤枝東の近況に思う2010年08月30日の日記から


南アのエスコートキッズの女の子と手を繋いで入場する長谷部主将

W杯本戦の全4試合にゲームキャプテンを務めた長谷部選手の評価が代表チーム帰国後、彼の記者会見での発言、現地で取材していた報道関係者、チームメートを含めた代表チーム関係者や評論家のコメントを通して日に日に高まってきました。彼はボランチですので常に自陣の中盤前後のスペースのバランスを採りながら攻められている時は相手ボールを奪って守勢から一転して攻撃に転じさせ、攻めている時はドリブルで相手陣に駆け上がって一気に攻勢をかけるなど攻守の切り替えを行う、司令塔の役目を担っております。

従って、同じMFでもトップ下の松井、大久保やFWの本田のように直接ゴールに絡むことは殆どなく、セットプレーでもキック力で同じMFの遠藤に、上背で闘莉王に及ばないので華やかな点取りシーンに登場することは殆ど有りません。そのため、試合後のアンケートによる貢献度や人気度のランキングでは、長谷部選手は本田、松井、大久保、遠藤、闘莉王の後塵を拝するのが常で存在感が乏しいのは事実です。

本番前の国際試合で4連敗した日本代表チームには改革が求められておりました。そこで岡田監督は本田をワントップ、中盤の底にMFを置く4:1:4:1のシステムを考えるとともに長友を左のサイドバックに起用すること決めるとともに、精神的に目一杯だった主将の中澤に配慮して新主将を任命し、新体制のもとで心機一転させることを目論みました。その場合、誰を新主将にするのか、本田(24)、23歳の長友(23)を除くイレブンの平均年齢(29)との年齢ギャップをどうするか、この体制下ではみ出す中村俊輔選手をどうするか・・・が新体制を布く上での問題点となりました。

そこで、岡田監督の目に止まったのが長谷部選手でした。献身的なプレーをして試合を重ねるごとに増すピッチ上の存在感に加え、誰とでも明るく声を出し合い、松井、遠藤、闘莉王などの先輩だけでなく、長友などの後輩にもにもいびられるキャラクターは岡田監督の描く新主将にピッタリでした。つまり、松井、遠藤、闘莉王、中澤など強い個性を持ったベテランと本田、長友らの若手の間には緩衝材が必要ですが、長谷部選手が主将になれば本田、長友両選手が長谷部選手と親交が厚いことも有り、この緩衝材も兼ねられると考えたあらです。

個性の強いメンバーから成る集団のリーダーにはより個性の強いメンバーより、いずれの派閥にも属さない中立で人畜無害なメンバーが向く場合が有ります。長谷部選手はまさにそのような人材でした。確かにドイツのブンデスリーガーでレギュラーを張りチームメートからも一目置かれる存在ではありますが、中村俊輔のように必殺のスルーパスを通すわけでも、本田のように強烈なシュートを放つわけでもない上、先発イレブンの中では3番目に若いので、いずれ音を上げるのでと思われておりました。

しかし、長谷部選手は練習冒頭のランニングでは先頭に立ち、合間のストレッチでは冗談を交えて和ませ、試合になればひたすら献身的にプレーし、こぼれ球に身体ごと突っ込んでいくことでチームを引っ張って団結の中心的存在となり、W杯本戦全4試合にゲームキャプテンとして出場し、新生岡田ジャパンを支えました。こうして、賭けとも思えた長谷部選手のゲームキャプテン起用は大成功し、それによってもたらされたチームワークの良さは日本躍進の原動力となり世界から称賛されたのでした。

6月30日付け中日新聞・朝刊に掲載された長谷部選手を讃える記事

カメルーン戦で先制ゴールを決めた本田と喜びを分かち合う長谷部

母校、藤枝東の本年度公式戦の全成績表

上表は、藤枝東の今日現在の公式戦全成績表です。この公式戦とは、新人戦、高校総体、プリンスL東海、選手権の県内4大タイトル戦を指し、今日現在で、選手権を除き全て終了しております。新人戦は曉秀が浜松南を破って初優勝、高校総体は静岡学園が清水商を破って初優勝しております。 静岡学園は新人戦、選手権では何度も優勝しているのに今年の高校総体が初優勝とは意外でした。

プリンスL東海は、残念ながら藤枝東は昨年の1部Lで9位だったため2部の降格に降格し、その2部でも昇格条件を満たす2位以上を確保できず5位に終わったため来年も2部で戦うことになりました。プリンスL東海では1位のエスパルスY、2位のグランパスY、3位の静岡学園、4位のジビロYの4チームが、9月4日から始まる高円宮杯全日本ユース選手権大会に出場します。

昨年、このプリンスL東海で得失点差で静岡学園に及ばず3位を確保して全国大会に出場した藤枝明誠が、1次リーグB組で青森山田に1:4で負けたもののジェフユナイテッド千葉に1:0で勝ってB組1位となって決勝Tに進出し、大阪桐蔭を2:1で破って準々決勝に進出し惜しくも広島ユース(サンフレッチェ広島ユース)に敗れましたが、堂々の全国ベスト8に輝いたことは記憶に新しいところです。ところで、上表は細かくて見辛いのでここをクリックして拡大してご覧ください。この表から藤枝東の今年の戦跡を振り返ってみたいと思います。

藤枝東の今年の戦跡を振り返って:
今日現在の全成績は、13勝06敗00分(勝率=0.684)であまり芳しくありませんが、それでも藤枝東の昨年度の公式戦全成績、08勝12敗1分(勝率=0.421)にくらべれば、勝率だけみればいいように見えます。ただ、今年は、プリンスL東海が2部に出場しているため相手校が昨年のような錚々たる強豪校ではなかったこと考慮すると必ずしも昨年よりいいとも言えません。

新人戦中部地区大会1次L全勝して2次Tに進出し、更に2次T初戦も勝利して5連勝を飾り、出だし順調で「今年は行けるぞ」と思いました。ところが、2次T2回戦で昨年から宿敵となった藤枝明誠に惜敗した時点で、「またか」と不安が過り始めました。昨年のプリンス東海1部Lの初戦で藤枝明誠に0:3で完敗したことから調子を落として降格し、これで気落ちしたのか伏兵の飛龍に不覚をとり選手権の決勝T敗退した苦い思い出が過ったからです。

そしてその不安は、新人戦・県大会決勝T2回戦で、藤枝北にまさかの負けを期したことで的中しました。私には藤枝北に負けた記憶は有りません。聞くところによれば半世紀ほど前、藤枝農時代の同校に負けた記録が有るとのことですので、まさに世紀の敗北だったと言えます。この敗北で藤枝東の昨年は終わりました。奇しくも、今年も順調にいけば、9月18日に選手権1次T最終戦で藤枝北と対戦することになります。今年は、何としても藤枝北にい勝って1次T突破して欲しいものです。

藤枝東の今年の選手権を展望して:
今年は、藤枝東は第2シードのため1次Tから出場しますが、上述のように最終戦で予想される藤枝北戦に勝てば、1次T突破は充分みこめます。 突破すれば、a b c dの4組で争われる2次Lにb組として進出し、同じ組の飛龍、暁秀、磐田東と争い、2位以上確保すれば本番の決勝Tに進出し、第1シードの静岡学園、清水商、常葉橘、藤枝明誠と優勝を目指して争うことになります。

最近の戦力からすれば、1次Tは充分突破出来ると思われますが、問題は2次Lにあります。磐田東にはプリンスL東海で昨年、今年いずれも勝っておりますが、飛龍には昨年の選手権で負け、暁秀は今年の新人戦優勝校で侮り難いことからこの2校の上に立つことは現下の情勢では極めて難しいと言わざるを得ません。従って、磐田東に完勝し、他2校には引き分け以上で望み、万一負けても僅差として得失点差で優位に立つ戦略をとるべきと思います。現在の藤枝東には3戦を全勝のする力は無いので、まずは守りから入って負けないことに徹すれば必ず勝機が訪れると思います。


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