新種のトリインフルエンザ?

兄のAさん(31)、長女のBさん(30)、次女のCさん(23)はベトナムのThai Binh省に住んでおりましたが、昨年兄のAさんがDさん(28)と結婚し、結婚式をまだ挙げてなかったことから、結婚式の料理を作るために、1月4日、新婚夫婦と姉妹のうちのいずれか(ここでは仮に長女のBさんとしておきます)の3人でアヒルをさばきました。実はアヒルはベトナム料理には欠かせない高級食材で結婚式などの目出度い席ではよく出されるのですが、このアヒルをさばく行為がこの3人の兄妹に悲劇を招きました。

まず、兄のAさんが呼吸器疾患で1月12日に死亡し、その翌日に長女のBさんだやはり呼吸器疾患で入院、更にその数日後に次女のCさん、新妻のDさんが相次いでやはり呼吸器疾患で入院し、1月23日に姉妹二人が兄を追うように死亡したのです。新妻のDさんは幸い命をとりとめ回復に向かっているとのことです。

兄のAさんが死亡した時点では、トリインフルエンザが死因と判らなかったため遺体は火葬してしまったためトリインフルエンザウイルスは検出出来なかったのですが、姉妹と新妻の3人にはいずれもトリインフルエンザウイルスが検出されました。ここで問題になるのは次女のCさんの死亡です。 彼女はアヒルをさばく場にいなかったからです。従って彼女には死亡した兄と姉または新妻のDさんからトリインフルエンザウイルスが感染したとしか考えられないことから、WHOはこのトリインフルエンザウイルスが人から人に感染した可能性が有ると発表したわけです。

もし、これが事実なら、先日の日記で「・・・現在流行しているトリインフルエンザに関しては人から人にうつる恐れは無く・・・」で述べたことを訂正せねばならず、場合によっては人類は未曾有の事態に追い込まれることになります。ただ、その後ベトナム及びその周辺では断続的にトリインフルエンザの感染者、死者は出ておりますが、その感染スピードはそれほど早くはないのが救いです。 人から人へ感染するように遺伝子が変わっていても、かってスペイン風邪でみられたような感染スピードの早い新種ではなさそうですので、大騒ぎする必要はなさそうです。

WHO)は2日、「人から人への感染があったであろうとしか考えられない」との見解を示しながらも、「ほかの家族、親族などへの感染拡大はない」として、現段階で大規模感染の恐れは少なく、当面は警戒レベルを上げるなどの措置を講じる考えがないことを明らかにしております。しばらくは、重大な関心を持ちながらも冷静に事態を見つめるしかないと思われます。


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