イタリア旅行から帰って思うこと

イタリア旅行から帰って思うこと(1)
(ボッタクリの国、イタリア)
イタリア旅行から帰って思うこと(2)
(スリの国、イタリア)


観光地メストレの市内に入るための入場料徴収ゲート

イタリアは「ボッタクリ」の国と聞いておりましたが、こんなに酷いとは思いませんでした。10年ほど前にイタリアに行った時ローマで知人への土産物として1万円ぐらいで購入したカメオのペンダントが暫くして金メッキは剥げ、素材が石や貝殻ではなく樹脂であることが判りとんだ恥をかいたことが有りました。数百円程度の粗悪品を高級品として騙しやすい日本人をターゲットに売り付けたようです。

このように、ボッタクリするのが業者であるケースはイタリアだけでなく、中国をはじめ世界のどの国にも有ることですが、イタリアのように国や地方自治体などのお役所がボッタクリを行なうとは驚きでした。
その実態をこれから、異論も有ろうかと思いますが私が感じたままににご紹介しようと思います。

まず、驚いたのはピサの斜塔を見学した時のことでした。ガリレオが、この塔の頂上から鉄と木の玉を同時に落下させる実験をして落下時間は重さに関係無く同じであるとの「落体の法則」を発見したとの話は作り話かもしれませんが、ピサで生まれ、ピサ大学の教授を務めたガリレオが当時、既に傾いていたこの塔に登ったことは間違いの無い事実と思い、ガリレオファンの私としては是非、ガリレオの足跡を追って登ってみたいと思っておりました。

ところが、登るだけで2,500円要る上、入場制限が有るため早めにチケット売り場に駆けつけないと売り切れてしまうとのことでしたので大慌てで何とかチケットを入手して登ることは出来ました。これは許せるとして、どうしても許せないのは、この斜塔に隣接する、下の写真に示す「ピサの大聖堂」に入ろうとしたら、なんと有料で500円取られました。

ピサの大聖堂

後にも先にも、イタリア旅行して大聖堂に入るのに入場料を払ったのはここだけでした。大聖堂は信者が礼拝にいくところですから、信者でない人も含めて広く門戸を開けるべきと思います。あの世界最大の教会建築のサンピエトロ大聖堂も、世界最大のゴシック建築物のミラノ大聖堂も、ビザンティン建築を代表する記念建築物のサンマルコ大聖堂も入るだけなら無料でした。特にサンピエトロ大聖堂には、ミケランジェロの最高傑作、ピエタの像も無料で観ることも撮ることも出来るのは感激でした。よく考えてみたら、サンピエトロ大聖堂は、ボッタクリの国、イタリアではなくヴァチカン市国という別な国であると知ってなるほどと思いました。

そして更に驚いたのは、観光バスが観光地に入るのに入場料を取られることでした。それも1万円を悠に越える額と添乗員さんは紹介ながら怒っておりました。冒頭の画像は、ヴェネチアに入るた時の風景です。運転手さんが車を降りて料金所で入場料を支払ってバスの窓にその証書を貼り付けると、バーが上がってバスを通してくれるのです。このような料金ゲートはイタリア各地の観光地に有りますが、その土地の観光バスなら大目にみてくれるようです。

イタリアの消費税の20%は確かに高いですが、これはボッタクリとは思えません。問題は面倒な税関手続きをして帰国してから振り込まれてくる還元額が手数料などで半分に目減りしていることです。これは、イタリアに限ったことではないと思いますが、観光立国のイタリアなら、観光客に対する優遇処置を考えてもいいのではと思いました。

このように、観光立国でありながら、観光客からこのようにボッタクりを平然と行なうイタリアに怒りを覚えましたが、それでもイタリアは観光地としては世界一級の国であることに間違いありません。それを見越してボッタクリするイタリア政府もしたたかです。脱帽です。


スリが横行することで知られるピサ行きのシャトルバス

イタリアは「スリ」の国と聞いておりましたが、こんなに酷いとは思いませんでした。8年前に旅行したスペインも「スリ」の国でしたが、イタリアはそのスペインより酷いようです。スペインのスリについては、当サイトの「ペイン旅行記」の中で「12章 バルセロナにて(4)」として次のように記述しております。

「ピカソ美術館に徒歩で行こうとして、スリが出没することで有名な宿泊ホテルの前のラス・ランブラス通りを右折してフェラン通りを歩いていたら僅か10分ぐらいの間にスリに2回も出会ってしまいました。幸いガイドさんから聞いた防御知識が有ったので事なきを得ましたが、それは物騒なところでした。」

このように、私は僅か10分の間に2回もジプシーの母子によるスリに遭ったのですが、実はにスリが仕事しやすいように背広の内ポケットに札束の代わりに紙屑を入れフックを外しておいたのです。2回とも見事に紙屑は抜き取られておりました。 「スリ」とは「他人の懐などから金品などを気づかれずにかすめとる行為」と定義されております。ジプシーの母親が娘を使って新聞、花束、コインのどの小道具で被害者を一瞬、驚かせてカムフラージュしそのスキを狙ってポケットなどから金品を抜き取る手口は、スペインもイタリアも共通しておりますが、イタリアの方がやや強引のようです。

「ジプシー」という言葉は差別用語であるとしてNHKなどでは使っていないようですが、「非定住の無国籍民族」と表現するのが妥当のように思われます。彼等の先祖はロマ民族と呼ばれており、インド北西地を発祥地として15世紀頃にはバルカン半島に入り、ルーマニア・ブルガリア・ハンガリー・ロシア・スペイン・フランス・イタリア等に移動しヨーロッパ各地に住み着いたのですが異教徒であるが故に差別・迫害を受け、その殆ど人々が国籍や居住地を与えられないまま住み着いているようです。

中には、スペインのフラメンコダンサー、フランスのワイナリーの季節労働者のように一定の収入を得て生活している人々もおりますが、多くの人たちがスリ、置き引きなどの非合法的な手段を収入源とせざるを得なくなっているようです。私の独断と偏見かも知れませんが、スペイン、イタリアなどのカソリックの国ではこのような人たちにも施しを与えて大目に見る傾向が強いからでしょうか、彼等としては住み着きやすくなり、それ故にスリ、置き引きなどの行為が多く見られるように思われてなりません。

スペインもイタリアも観光立国ですから、本来ならばこのように観光客の安全を脅かす非定住無国籍民族の不法行為は許しがたいのですが、強制的に国外退去させるわけにもいかず、またあまり強く取り締まるともっと過激な不法行為に走って自国民ィにも多大な被害を与えかねないことから、パトカーや騎馬警官を巡回させてはいますが見張る程度に留めているように私には見えました。

イタリアでは、絶対数としてはローマ、ナポリにスリが多く出没しますが、込み合う場所として知られる観光地のピサ、フィレンツェで混み合うスポットではその確率が高まるようです。ピサでは観光バスが直接、ピサの斜塔などの観光スポットに入ることは出来ず、広い駐車場から無料の定期シャトルバス(上の画像)に乗り換えることになっております。このバスは30分おきにしか出ないため観光客が早いもの順の斜塔見学のチケットを求めて殺到するためスシ詰め状態になりますから、スリにとっては絶好の環境になるからです。

また、フィレンツェのウフィッツィ美術館に入るのに長い行列が出来る上、手荷物検査が有りますので服のポケットなどから財布などを移し変える場合が多いためスキが生ずることからスリに狙われやすくなるわけです。とにかく、今回のイタリア旅行中、添乗員、現地ガイドさんから、スリに用心するよう言われたことでしょうか。恐らくこの8日間で100回以上は言われたように思います。お陰さまで私も含め同行ツアー客の方でスリの被害に遭われた方は一人もいませんでした。

特に、威力を発揮したのは、下に示す「耳太郎」でした。これは、全員に旅行社から貸与されるもので、このイヤフォンを耳にかけると添乗員、現地ガイドさんの「あそこの親子連れのジプシーがスリですから気を付けて下さい」と鮮明な音声が耳元に聞こえてくるからです。流石に、今回はスペインと違い観光は全て団体行動でしたので、故意的にスリ体験をする等の不謹慎な行為は慎みました。スリの多いイタリア、それでもイタリアは、そのリスクを犯してでも行ってみたい国であることに変わりありません。それを見越して、ほどほどに取り締まるイタリア政府もしたたかです。脱帽です。

旅行中、威力を発揮した「耳太郎」

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