−日記帳(N0.042):20001年11月28日−
今晩の夜釣りで遭難騒ぎ?

世の釣り人たちは多かれ少なかれ気象情報に関心を持っております。 気象条件は釣りの環境と釣果を大きく左右するのがその理由だと思います。
風穏やかな好天気の環境のもとで釣りたいと思うのは当然ですが、例えばメバルと言う魚は、「メバル凪ぎ」と言う言葉が有るように波静かな時によく食いが立って釣れますが波風がでてざわついてくると警戒して岩影に隠れるようになり釣れなくなるように気象は釣果にも影響を及ぼします。

私のようにマイボートで沖合に出る場合は気象条件を事前にチェックすることが不可欠となります。 高気圧と高気圧の谷間は曇ることは有っても荒れることはまず無いので、一般的に気象が荒れるのは低気圧と前線の接近・通過の時と考えていいわけです。

従って、釣行を計画する時は天気図、アメダス、気象衛星の映像、風と波の予報をチェックして低気圧と前線の動向を充分把握した上で出航日の安全を確かめ、釣り仲間とも情報交換して最終決定します。 今晩も夜釣りだけに更に慎重にそうしたプロセスを経て安全と判断しWさんと釣行することにしたのです。

我々は高気圧が西から接近するに従い冬型が緩みほぼ中部地方の真上に差し掛かる今晩から明日の午前中にかけて晴れて風穏やかな小春日和になるものと読み、実際に気象庁の予報もそのとおりだったのです。

現に、朝方はかなり強かった風も出航直前には止み、「メバル凪ぎ」状態になっていたので大潮で潮時もいいこともあり 胸踊らせながら西浦温泉の沖合に浮かぶ三河湾の無人島目指して出航しました。 島の南側の岩礁地帯に錨を下ろし、日没後間もなく幸先よく良型のメバルが釣れてきました。

この地方ではメバル釣りが盛んで、この無人島より更に沖合に浮かぶ人が住む佐久島、日間賀島、篠島、神島等には多くの釣り人が渡るのですが、この無人島には連絡船が通わないため訪れる釣り人もいない、いわば我々の釣り仲間の、実績の有るマル秘ポイントでもあるわけです。
−日記帳(N0.042)20001年11月28日−
今晩の夜釣りで遭難騒ぎ?

ところがゆるやかに吹いていた北西風がやや強めになるとともに風向きが南西に変わるとともに波が出てきたのです。 このように風向きが急に変わるのは一種の危険信号で、最も怖い寒冷前線の接近・通過する前触れでもあり、そうした場合は直ぐに釣りを止めて帰港すべきなのですが、気圧配置から考えて前線の接近・通過は考えられないのでしばらく様子を見ていたのです。

しかし、風と波は益々強くなり潮流との関係で船が危険な横波を受ける状態になってきましたので、Wさんと相談し帰港することにしました。 錨を上げ、エンジンスタートした時点では波は1メートル近くなっていました。 この程度ならばエンジントラブルが無い限り、適切な操船さえすれば転覆する恐れはまず有りませんので、それ程深刻では無かったものの次から次へと迫ってくる波で木の葉のように揺れる船に不安がつのるばかりでした。

幸い、エンジンは快調だったので、Wさんの船と適当な間隔を保ち、前方をサーチライトで照らして海苔ソダ等の障害物を避けながら、横波を受けないように進路を取り、可能な限りの微速で多少波は被ったものの無事帰港することができました。 帰宅すると陸では特に風も強くなく絶好の釣り日和に思えた家族は意外な面持ちで迎えてくれましたが、海と陸では当然気象は違いますが、これほどまでに違いが際だったことは珍しく改めて海の恐ろしさを身をもって経験した思いでした。

早速、インターネットで何故このように予想に反して天候が急変したかを調べた結果、次の事実が判明しました。 高気圧が南に偏って東進した上、日本海に弱い低気圧が発生したため南北に等圧線がたて込み北西から南西に 風向きが変わるとともに風が強まったことが判りました。

つまり、高気圧の偏りと低気圧の発生と言う予想外のことが同時多発したのが原因で、我々の予想が間違っていたわけではなく、偶発的な不運によるものと割り切ることにしました。 ただ、風向きが変わって強まった時点でもっと早めに帰港すべきだったと反省しております。


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