−日記帳(N0.1950)2007年04月21日−
トヨタカップ開催国枠に思うこと(1)
−日記帳(N0.1951)2007年04月22日−
トヨタカップ開催国枠に思うこと(2)


Jリーグ三代目チェアマン 鬼武健二氏

今年の3月22、23日のFIFA理事会による「FIFAクラブワールドカップ(=トヨタカップ)開催国枠設置の決定」を受けて、Jリーグ鬼武健二チェアマンが次のような声明を発表されましたが、私は複雑な思いに駈られました。

「本年12月に日本で開催されるFIFAクラブワールドカップにおける開催国枠の設置が決定したことを大変喜ばしく思う。この決定は、J1各クラブにも一層の励みとなるし、J1リーグ戦の一層の盛り上がりに繋がるものと期待する。浦和レッズおよび川崎フロンターレには、この決定に関わらずアジアのチャンピオンとしての出場を目指しACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦って欲しいし、Jリーグも引き続き両クラブのACLでの戦いを支援していく。」

以上のメッセージにあるように、今年の12月に行なわれるトヨタカップ(=FIFAクラブワールドカップ)に開催国枠の設置が認められたことにより、今年のJ1優勝クラブが参加できることになりました。先日、一昨日の日記「ACLに思うこと」で、ACLになってからこの2年間は決勝リーグにすら進出できない日本のJ1のクラブについて、その思いを述べ、ACLのグループリーグで、激しいJリーグの戦いの合間を縫って必死に戦っている浦和レッズおよび川崎フロンターレに声援を送りました。

私が複雑な思いに駈られたのは、上記の鬼武健二チェアマンの声明文のアンダーラインの部分でした。J1のクラブがトヨタカップに参加するのに、J1で優勝するコースとACLで優勝するコースの二つのコースが設けられたことになります。ACLとJリーグは日程が重なりますので、そのいずれにも同等に注力することは困難で、下手をすると「二兎を追うもの一兎も得ず」になりかねません。最悪のケースはACLに注力して決勝トーナメントまで進みながら敗退し、一方でJ1ではその影響を受けて降格の危機に曝されることです。このような状況のもとで、鬼武健二チェアマンが言われるように、ACL出場の各クラブの励みになるのでしょうか。そこに、私が複雑な思いに駈られる理由が有ります。

現在、ACL出場の浦和レッズと川崎フロンターレは、今年のJ1でも優勝候補で、現に4位以内にあります。そして、ACLでも両チームともにE組F組の首位を走っており、順調にいけば決勝T進出の期待が持てますが、問題は今後の日程にあります。ACLグループリーグは4月25日から5月23日まで2週間に1回、毎水曜日に開催され、うち浦和は4月25日と5月9日がアウエー、川崎は5月23日がアウエーとなります。一方、Jリーグは4月28日、5月3日、5月12日、5月26日に開催されますので、浦和は4月25日に中国遠征後2日空けて4月28日、5月9日にインドネシア遠征後2日空けて5月12日に夫々Jリーグの試合に、また川崎は5月9日にタイ遠征して2日空けて5月12日に夫々Jリーグの試合に臨むことになり、特に浦和が苦しい日程を強いられることになりそうです。

グループリーグはE組、F組ともに対戦相手が格下ですので浦和、川崎ともに決勝T進出するものと思われますが、問題は 9月19日(水) から11月14日(水) まで毎週水曜日に行なわれる決勝Tの日程です。この間のJリーグは、9月15日(土)から、、9月13日(土)、11月3日(土)の二日を除く毎土曜日に試合が行なわれます。従って、浦和、川崎の日程は次のようになります。

 9月19日(水) ACL(準々決勝・第1戦)
 9月22日(土) J1 (第26節)
 9月26日(水) ACL(準々決勝・第2戦)
 9月29日(土) J1 (第27節)
 10月 3日(水) ACL(準 決勝・第1戦)
 10月 6日(土)  J1 (第28節)
 10月20日(土)  J1 (第29節)
 10月24日(水) ACL(準 決勝・第2戦)
 10月27日(土)  J1 (第30節)
 11月 7日(水) ACL(決  勝・第1戦)
 11月10日(土)  J1 (第31節)
 11月14日(水) ACL(決  勝・第2戦)

大変な過密日程となっている上、ACL決勝Tはホームアンドア
ウエーで行なわれますので第1戦、第2戦のいずれかはアウエーと
なり、特に中東遠征が加わる場合は更に過酷になります。
この時期に、もし浦和、川崎の両チームがJリーグで接戦を展開
している場合、果してJリーグを犠牲にしてまでもACLに注力
するでしょうか。

開催国枠の設置で、トヨタカップ出場にJ1優勝のコースが出来た
ため、Jリーグでの優勝の可能性が高まった場合は、ACLよりも
Jリーグに注力しようとするのは当然のことで、これを非難するこ
とは出来ないと思います。開催国枠の設置が無ければ、逆にACL
に注力する可能性の方が大きいように思へ、それが今後、ACLの
比重を高めていこうとするAFCやFIFAの思惑とも一致して自然な成り
行きのように思えるだけに、開催国枠の設置は私を複雑な思いに駈
らせているのです。



FIFA会長のブラッター氏

トヨタカップ(=FIFAクラブワールドカップ)いついては次の問題点が有るように私は思います。

1.観客動員数が少ない。
2.欧州からの参加が日程的に問題が多い。
3.オセアニアがレベル的に低すぎてバランスがとれない。

1.の原因ははっきりしております。日本のクラブが出場しないこと、メインの欧州代表のサポーターにとって日本は遠すぎることの2点に尽きます。また3.については、かってオセアニアの最強国のオーストラリアが、オセアニアサッカー連盟(OFC)を脱退したため、益々レベルが低下し、更に第二の強国ヌイージーランドもオーストラリアに次いでOFC脱退を表明しオセアニアの存在が薄くなりつつあることから、OFC王者を他の5大陸代表、少なくとも中南米、アフリカ、アジア大陸代表と同等に位置付けることに疑問符が付いていました。そこで、この二つの問題を同時に解決できる妙案が有ります。 それが、日本に開催国枠を与えることです。

これによって、過去2回とも不入りだった、欧州、南米を除く試合に日本人観客が詰め掛ける可能性が有り、もし日本が勝ち進めばその効果は益々大きくなり1.の問題はある程度解決されるものと思われます。次に、まず、オセアニア代表を開催国枠で出場する日本と対戦させることで、オセアニア代表の出場枠を0.5扱いにしてバランスをとることで、3.の問題もある程度解決出来るものと思われます。

但し、問題が一つ有ります。それは、日本のクラブがACLで優勝した場合です。この場合は、日本から二つのクラブが出場(ACL優勝クラブがJ1でも優勝した場合はJ12位にクラブが開催国枠で出場)することになり、数百ものクラブの中から僅かに一つのクラブしか出場出来ない他地域の事情を考えるとあまりにも不公平で、FIFAがこれを容認するとはとても思えず、開催国枠が無くなることも充分有り得ることと思います。その場合は、3.の問題は解決されなくなりますので、そrてが問題です。




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