−日記帳(N0.1982)2007年05月23日−
ACLで浦和、決勝T進出
−日記帳(N0.1983)2007年05月24日−
UEFAでACミラン優勝


決勝T進出を決め歓喜のサポーターに挨拶する浦和イレブン

今日、5月23日はサッカーファンにとっては待ち遠しかった日でした。国内ではACL(アジア・チャンピオンズリーグ)2次リーグ最終節が行なわれる日で、浦和がホームの埼スタでシドニーFCと引分け以上で決勝Tに進出することになっておりましたし、海外では欧州最大のサッカーイベントであるUEFA決勝戦が中立国のギリシャの首都、アテネでリヴァプールとACミランとの間で行なわれる日だからです。

しかし、私としては釈然としませんでした。何故なら、午後7時30分キックオフの浦和戦の地上アナログテレビ放送が全国的に無く、唯一BS朝日で行なわれるのですが、我が家では観ることが出来ないからです。また、UEFA決勝戦は時差の関係で日本では明日の早朝3時半でとても生では観られそうにないのも残念なことでした。今晩は亀田のボクシングノンタイトル戦がTBSから2時間もかけて放映され、プロ野球交流戦もNHKを含み複数の局から放映されるだけに釈然としなかったのです。

これまで、日本では国際試合は、日本A代表の試合、Jリーグのクラブと欧州、南米等の著名クラブとの試合が重視され、中国、韓国、中東等のアジアのクラブとの試合はそれが例え、ACLのようなアジアナンバーワンを決める試合と言えども重視されず、日本でテレビ生中継されることは殆んど有りませんでした。こうした風潮がJリーグのクラブの方針にも反映されてか、日本のクラブは過去4回のACLで、鹿島、清水、磐田(2回)、横浜、東京(V)、大阪(G)等の錚々たるJリーグの強豪クラブが格下とも思えるアジアのクラブを相手に全て2次リーグで敗退、一度も決勝T進出を果せませんでした。

それが2年前から、ACL優勝クラブがトヨタカップへの出場が認められるようになってから、にわかに注目されはじめ、JFAも日程調整、資金援助等で協力するようになりました。この間の事情については、この日記「ACLに思うこと」「トヨタカップ開催国枠に思うこと」で触れております。しかし、ACLで戦う日本のクラブへの応援は、日本国内でホームだけでなくアウエーでテレビ生中継をすることが最も効果的です。その意味で今回は大変残念でした。

E組首位の浦和は、引分けでも首位が確定して決勝T進出が決るとあって、勝つしかないシドニーFCは3トップで応戦してきたのに対して浦和は試合途中からボランチのMF阿部を左サイドDFに下げて4バック布陣にするなどディフェンス重視したものの、序盤から運動量豊富な相手攻撃に苦戦、それでも守備陣が執念で踏ん張り切り、0−0の引き分けに持ち込み、勝ち点を10に伸ばしE組首位を死守して、決勝T進出を果しました。

試合終了後「勝てなくてすいません」と、3月のペルシク・ケディリ戦の31,303人を大幅に更新する国内ACL最多入場者数となる44,793人の真っ赤に染まった埼スタを埋めた大観衆に向けて小野の苦笑まじりの言葉が流れると、大観衆から拍手と歓声が響き渡り、川崎フロンターレに続く、浦和としても初めてのACL決勝T進出の喜びを分かち合いました。この結果、決勝Tは各組首位の7チームと前年度優勝の全北現代(韓国)の計8チームがホームアンドアウエーで9月19日の準々決勝からスタートします。その組み合わせ抽選会が、北京五輪男子アジア最終予選の組み合わせとともに、6月13日にクアラルンプールのAFC本部で行なわれます。その日程は次の通りです。浦和と川崎で決勝戦が行なわれることを期待したいと思います。

・準々決勝: 9月19日 26日
・準 決勝:10月 3日 24日
・決  勝:11月 7日 26日

UEFA杯を手にして喜びのカカとインザーギ

UEFA(欧州チャンピオンズリーグ)の決勝戦が、23日(日本時間で今日、24日の早朝4時)、中立国のギリシャの首都アテネで行われ、ACミランがリバプールを2−1で下して4年ぶり7回目の優勝を決めましまた。10得点で得点王に輝いたMFカカ(25)が、後半37分にダメ押し点をアシストして活躍し、FWインザーギ(33)が2得点を挙げ、05年決勝で惜敗したリバプールに3年越しの雪辱を果しました。

今朝3時半からのフジTVの生中継を観たかったのですが、風邪っ気も有って無理できませんので、録画して終了予定の6時過ぎに起床し再生して観戦することにしました。確かに、プレーヤーたちのテクニックは見るべきものが随所に見られましたが、強烈なシュートをGKがファイセーブしたり、鮮やかなドリブル突破で相手ゴールに迫ってたりするような迫力有るプレーは残念ながら観られませんでした。私が素人だからかも知れませんが凡庸な試合に見えました。

その、最大の理由は、ACミランの最初の得点が、ピルロが蹴ったFKのボールがたまたま、FWインザーギの左肩の当たって角度が変わったため、GKの逆をついてゴールしただけのことで、肩に当たらなかったらGKがセーブできるような弾道を描いていたと思われるからです。この状況を下の画像で検証してみたいと思います。


(画像1:ACミランのビルロのFKのボールの軌跡)

上の画像は、ゴールのほぼ正面で得たFKで、ピルロが蹴ったボールの軌跡を赤線で示しております。FWインザーギがゴールに向かって左側に移動したため、FKボールがインザーギの左肩に当たって跳ね返った瞬間を見事に捉えております。試合後に、インザーギは身体に当てて角度を変えようと判断したと述べておりますが、この前後の彼の動きからしてとてもそのような判断が有ったとは思えません。

何故なら、向かってくるボールから目を離して、ボールの直進方向に向けて身体を動かすプレーはハンドを取られる恐れがあるからです。現に、翌日の英国各紙は、インザーギのプレーをハンドだったと一斉に報じております。サン紙は「強盗」、デーリー・テレグラフ紙は「ギリシャの悲劇」、デーリー・エクスプレス紙は「インザーギ、アテネの夢を破壊」、タイムズは「傷心」という見出しで報じておりました。

リヴァプールのGKレイナは、インザーギのそのようなリスキーなプレーは、思いも及ばなかったのか、ピルロが蹴った瞬間のボールのの軌跡を意識してやや右側に重心を置いている様子がこの画像から窺うことが出来ます。悲劇はその1秒後に起こったのでした。


 
組名 ク ラ ブ 名 国   籍 勝点 点差 優勝
アル・ワハダ U  A  E 13 +7
アル・ヒラル サウジアラビア +4
アル・カラマ シ  リ  ア 11 +5
セパハン イ  ラ  ン 13 +7
浦和レッズ 日    本 10 +4
川崎フロンターレ 日    本 16 +11
城南一和 韓    国 13 +7
シード 全北現代 韓    国


(画像2:画像1と反対の位置から捉えた同じタイミングの画像)

画像1の状態を、反対側のゴール後ろから捉えたのが上の画像2です。インザーギの左肩に当たったボールが角度を変えてゴールに向かっておりますが、この事実に気付かずに反応していないGKレイナの姿勢を示しております。


(画像3:画像2の次の瞬間の状態)

上の画像3は、画像2の次の瞬間を示しております。ボールがインザーギの左肩に当たって右側に角度を変えてゴールに向かっているのに、逆の左側に反応している様子を捉えております。無情にも反応した反対側の右肩すれすれに掠めてゴールに向かっていくボールをどんな思いでGKレイナは見たことでしょうか。

ACミランの後半37分の2点目のゴールは最初のこのフロックとしか思えないゴールと違って、MFカカーのスルーパスに誘われて飛び出したGKレイナより一瞬早くをインザーギが奪い去ってゴール右隅に流し込んでおり、カカーとインザーギの見事な連携プレーによるゴールでしたので見応えが有りました。MFカカーの豊富な運動量とテクニックが印象的でした。

しかし、この試合全体を通して最も印象に残る選手は、リヴァプールのキャプテンのジェラードでした、3年前の今回と同じカードのUEFA決勝戦で3:0の劣勢から後世に「イスタンブールの奇跡」と言わしめた大逆転劇を演じたヒーローであり、昨年のドイツW杯で2得点を上げる大活躍、2年前のトヨタカップでのプレーで日本でも馴染みの選手ですが、改めてその凄さを実感しました。

昨夏、セリエAの不正問題でACミランはCL出場資格をはく奪され、後に処分軽減で出場を許可されたものの、予選からの出場の上、補強にも出遅れました。しかし、このことが逆にチームに危機感を呼び、 カカーを中心に団結力が高まり、カカに大活躍の場を与えたのでした。8月にCL予選が始まる頃、セリエAで早々に優勝戦線から脱落したことが逆にCL専念を後押しする結果を招きました。従って、ACミランの今回の優勝は、このようなハンディを、カカーを中心に乗り越えてきたそのプロセスにあり、たまたまインザーギが最終ランナーとしてゴールのテープを切っただけのことと思います。それにしても、見事なリベンジでした。 おめでとう!ACミラン


前 頁 へ 目 次 へ 次 頁 へ
inserted by FC2 system