−日記帳(N0.1986)2007年05月27日−
我が家の中国製の土鍋大丈夫?
−日記帳(N0.1987)2007年05月28日−
中国製練り歯磨きに有毒成分



テレビで中国製の土鍋から鉛等の有毒成分が溶出したことが判明し、業者が自主回収を始めたことが報道されました。最初は、このところ中国製品の品質が国際的に問題になっておりますので、「また、中国か、困ったもんだ」なんて他人事のように思いながらテレビ画面を追っていました。次の瞬間、驚愕しました。なんと、問題になっている土鍋と我が家で使っている土鍋の外観がそっくりなんです。(上の画像参照)

もみじの赤い花びらの模様は同じですが、小枝が異なり全体の構図も異なりますので、同一製品でないことは確認できましたが、念のためにこの土鍋を中国から輸入してOEMとして販売している販売元にメールで質問状を出したところ、直ぐに次の回答がきました。

貴メール拝見致しました。
ご心配をおかけ致しております。
弊社の土鍋関係商品は中国からの輸入品でございますが、
すべて食品衛生試験に適合している事を確認した上で販売致しております。
一部報道されております他社の土鍋とは違い、
鉛・カドミウムは検出されておりませんので、安心してご使用下さい。

この土鍋用のダンボール製容器に、この会社の公式サイトのURLが記載されてましたので、そこにアクセスすることでこの会社の相談窓口のメルアドを知り、そこにメールすることでこのような回答を敏速に得ることが出来たわけで、ひとまず安心しました。

問題の土鍋は今流行のIH調理器で、我が家の土鍋と同じ新潟県に本社がある「ホリシン」という陶磁器メーカーが中国より3年前から22,000個を輸入し、主に東日本を中心に17,000個を販売してきたものでした。全国トップの大衆向け家具・インテリア販売チェーンの「ニトリ」(札幌に本社がある東証1部上場の株価は5,000円超の優良企業)が、「ホリシン」の代理店として約9,000個を販売したのですが、これを購入した札幌市内に住む男性が今年1月、この土鍋で煮込んでいると、この画像に見られるように縁の辺りに銀色の異物が浮上したことから不審に思い、生活消費センターに相談したことから、この事実が判明したと報道されております。

同センター等が食品衛生法の基準値である水溶液1ミリリットル当たり2.5マイクログラムを下回る1.3マイクログラムの鉛を検出しましたが、人体に深刻な影響を与える値ではないとしながらも、同センターは「調理器具から有毒成分が検出されたことは問題」であるとしてホリシンとニトリに原因調査を求めたことから、この問題が明るみになったようです。

陶磁器は生地のままでは表面に艶が出ないため、釉薬と言われる粉末を水で溶かしてペースト状にしたものを製品に塗ってから焼成します。すると、焼成中にこの釉薬が融解してガラス状になって製品の表面を艶っぽく彩ります。その場合、この釉薬はその陶磁器の焼成温度(通常は1,200度前後)より低い温度で融解 する必要が有ります。そのために融点を下げる成分として、鉛やカドミウム化合物を配合することが平安時代から知られて、唐三彩に代表されるような「緑釉陶器」と呼ばれる平安時代の焼き物にはそのような釉薬が使われております。

そこで、日本陶業連盟では、飲食物の触れる箇所にこのような釉薬を施した陶磁器製品等の安全性を確保するために安全基準を作り、基準に合格したものに安全マークを交付しています。中国では、この種の安全基準等が存在してない可能性が考えられますので、このような問題が起こったものと思われます。この問題を受けて、「ニトリ」「ホリシン」が、問題の中国製土鍋を自主回収することを決めたことは大変、結構なことと思います。ただ、釉薬には鉛やカドミウムがごく微量ながら含まれていることは事実で、含まれていたことだけで大騒ぎする必要は全く有りません。


ジエチレングリコールが確認された中国製練り歯磨き

昨日取上げた、鉛、カドミウム等の有毒成分溶出の恐れの有る土鍋もそのひとつですが、最近、人体に悪影響を与える恐れの有る中国製品が国際的に問題になっております。5年前、日本に輸出された中国産の野菜が問題になったのも農薬のパラチオン等の有毒成分の残留でしたが、今回も中国産練り歯磨にジエチレングリコールという有毒成分が含有されていたとして国際的な問題になっております。

このジエチレングリコールやその弟分のエチレングリコール、兄貴分のプロピレングリコール等のエチレングリコール誘導体という難しそうな名前の化学物質は我々の周辺に多く見られます。例えば、冷えている時はコチンコチンに固まり常温になるとコンニャクのようにグニャグニャになる保冷材、冷却パックには封入されている液体も、車のラジェターの不凍液、シャンプー、保湿クリーム等に配合されている添加剤も実はこのエチレングリコール誘導体です。

貴腐ワインと呼ばれる高級ワインが有ります。これは発酵中に特殊なカビが生えて気品ある甘さの高級ワインに仕上がるのですが、普通のワインにこのジエチレングリコールを入れると貴腐ワインそっくりになることからオーストリアでジエチレングリコール入りのワインが貴腐ワインとして作られ、日本に輸出されるという事件1970年代に起こりました。これを日本産のワインにブレンドして高級ワインとして日本で販売したことから、ジエチレングリコールの混入が発覚し、毒性が有ることから大問題になったことが有りました。

この事件を契機に、エチレングリコール誘導体に、腎臓や中枢神経に悪影響を及ぼす作用が有ることが判り、飲食品に配合することは少なくとも日本では食品衛生法等に抵触する恐れが有ることから行なわれておりません。しかし今月、パナマで風邪シロップを飲んだ365人が死亡するという事件が起き、その原因がパナマ政府が中国から輸入したシロップの原料のグリセリンの中味が実はジエチレングリコールだったという驚くべき事実が判明しました。

中国政府(国家品質監督検験検疫総局の魏伝忠副局長)は、中国の業者(北京中服嘉遠貿易会社)がジエチレングリコールをグリセリンと誤記した事実を認めながらも、パナマの業者が用途や品質保持期間を勝手に変えて薬品の補助原料に利用したのが問題で、責任はパナマ側にあるとの見解を示し、中国政府は一切この件に関与していないことを強調しております。

そのような経緯を経て、同じパナマで中国産練り歯磨きから致死量のジエチレングリコールが発見されたことを受けて、米国内でも同様に中国産の練り歯磨きからジエチレングリコールが発見されたとして、5月23日にFDA(アメリカ食品医薬品局)が全面的な調査を開始しました。この練り歯磨きは、中国・江蘇省丹陽市の成事家化有限公司という輸出専門の練り歯磨き製造会社によって作られており、同社は中国では練り歯磨きに少量のジエチレングリコールを使用することは合法であり、安全だとコメントしております。

そして、風邪シロップの一件で中国側に責任は無いとの見解を示した魏伝忠副局長は、練り歯磨きの一件についても、中国ではジエチレングリコールを規制する法律は無く企業の自主判断に任されており、ジエチレングリコールには毒性は有っても、毒性は低く大量に摂取しなければ問題はないとの見解を示しております。これまた暗に中国側にこの件についても責任が無いことを意思表示しているようにも受け取れます。

自国に規制が無いからとして、国外では規制されしかも現に数百人もの人たちがその毒性により死亡しているジエチレングリコール等を中国の業者が輸出することを違法とせずに取り締まらない中国にはただ、ただ呆れるばかりです。外国の大使館を襲撃する自国民の行為、他国特許やディズニーランド等の商標を無断しようする自国の法人の行為等を黙認する中国政府の姿勢は、国際ルールを無視する悪しき中華思想の発現であり、到底許されるものではありません。こんな国に五輪や万博を開催資格など有ろうはずがありません。これを契機に中国の五輪をボイコット運動が世界中で広まり、結果として中国が自省することになることを願うものです。


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