−日記帳(N0.1988)2007年05月31日−
ダルフール紛争について(1)
−日記帳(N0.1989)2007年06月01日−
日本、モンテネグロに快勝


民族浄化反対を訴えるダルフールの人たち

基本的に単一民族で宗教心の薄い日本人にとって、パレスチナ紛争、コソボ紛争等の異民族、異宗教の対立による国際紛争を理解することは極めて難しいようです。中でもダルフールの大虐殺で知られるスーダンの内戦、ダルフール紛争については、石油の利権を巡って大国が関与しておりますので、益々判り辛く、私も以前から関心は持っているもののよく判りません。そして日本のメディアが、このような国際紛争について判りやすく報道しませんので、殆んどの日本人は、史上最大の人道危機と言われるダルフール紛争については知らないのではないかと思います。

世界191カ国の中で、人口の35%以上の人々が飢餓に苦しむ国が27カ国ありますが、そのうち21カ国がサハラ以南のアフリカの国々です。慢性的な干ばつ、砂漠化の進行、紛争・内戦による難民の発生と村の荒廃、都市への人口集中、貧困ゆえの未就学・非識字等がその原因で、中でもスーダンはその代表的な国として挙げられます。スーダンは、アフリカ北東部、エジプトの南側を流れるナイル川の上・中域に広がる共和国で、国土面積は日本の約6.6倍でアフリカ最大、人口は日本の約1/4の4,100万でアフリカで6位、世界でも31位の大国です。しかし、国土は200〜500mの高原地帯が主で、北部は乾燥した砂漠地帯。中部はサバンナ、南部は高温多湿な熱帯雨林、南部はナイル川による世界最大級の沼沢地帯が広がっており、居住環境としては恵まれているとは言えません。

この国の問題点は、国民の75%がアラブ系民族、25%は黒人系で以前から両民族の対立図式が続いていることに加え、2005年に和平合意が得られるまで、21年にわたる北部イスラム教徒勢力と南部キリスト教勢力による紛争が続き、150万人に上る犠牲者を出し、その結果数百万人とも言われる難民隣国のチャド等から帰還して疲弊しているのに続き、西部のダルフール地方では、スーダン政府・アラブ遊牧系民兵と反政府勢力との間のダルフール紛争が2003年頃から激化し、特にスーダン政府に支援された民兵組織「ジャンジャウィド」による黒人市民への攻撃が深刻な問題となり、2004年8月時点での概算で50.000人以上が虐殺され、120万人以上が家を追われ、「ダルフール大虐殺」の名のもと、史上最大の人道危機として深刻な事態が続いております。

そのような事態の中で、この大虐殺を行なったスーダン政府支援の民兵組織「ジャンジャウィド」に対し中国が石油利権確保を見返りに資金援助しているとして、米国議会下院の議員108人が5月9日、中国の胡錦濤主席あてに書簡を送り、ダルフールで虐殺を続ける勢力への支援の停止を求め、中国側が十分な対応をしない場合には北京五輪のボイコットにもつながると警告したことから、にわかにこの問題が注目されるようになりました。

このところ中国製の練り歯磨きや風邪シロップなどで海外で数百人もの死者を出して国際的に問題化しているのにもかかわらず中国政府は、その責任は中国側にないとして不誠実な態度を取り続けていることから、中国に対する風当たりが強くなっておりますので、今回の米国議会下院の議員たちの活動が注目され、私としては、「我が意を得たり」の感を深めております。そこで、この判り難いダルフール紛争を取上げていきたいと思い、今日はその第1回としてアップしてみました。後日、第2回をアップしたいと考えております。


駒野の右クロスを頭で合わせて2点目ゴールの高原

この試合で面白いことが有りました。先発、交代で17名のモンテネグロの選手がプレーしましたが、何と MFバタクを除いて、全員名前の語尾が「ビッチ」でした。以前、「トリビアの泉」で、「サッカーのユーゴ代表は、GK以外全員の名前が“〜ビッチ”だったことがある」というトリビアがありましたが、今回もGKがMFに代わっただけで全く事情は同じでした。以前、名古屋グランパスエイトに在籍して華麗なプレーで人気が高かったストイコビッチ選手もモンテネグロの前身の前身の旧ユーゴスラビア代表で同国の英雄的存在でした。

ユーゴスラビアという国が有りましたが、多民族国家の上、宗教的対立も有って政情が安定しないまま分離、独立、時にはコソボ紛争に見られるように国連が介入せざるを得ない大掛かりな紛争も加わった末、昨年までにクロアチア(12) 、セルビアモンテネグロ(32) 76 ↓ スロベニア(47) 、ボスニア・ヘルツェゴビナ(76) の4ケ国に分かれてしまいました。ここで括弧内の数字はFIFAランキングです。そして昨年5月に更にセルビアモンテネグロからモンテネグロが独立してセルビアとモンテネグロになり、セルビアが旧 セルビアモンテネグロを継承したため、モンテネグロはFIFAに改めて加盟申請をしており、昨日5月31日にその申請が受理されました。従って、今日の日本戦がモンテネグロにとってはFIFA加盟後の初の国際試合ということになりました。

現在、コロンビア、モンテネグロの両代表を招待して総当たりで争う国際大会、サッカー・キリンカップ2007がが開催されております。今日は日本(FIFAランク44位)にとっての第一戦のモンテネグロ戦が静岡エコパスタジアムで行なわれました。2004年大会以来の優勝を目指す日本が2―0で快勝しました。上述のように、モンテネグロは1年前にセルビアモンテネグロから分離・独立したばかりの、面積で福島県、人口で鹿児島県とほぼ同じくらいの小国で、昨日漸くFIFAへの加盟が認められたばかりの欧州の小国で、一方のコロンビア(FIFAランク26位)や日本よりかなり格下でFIFAランクもまだ付いておりません。そのコロンビアに対して2―0のスコアは、このような見方からすれば不満が残ります。

この試合、前半23分に左CKから短くつないだ遠藤のセンタリングに、遠いサイドに走り込んだ中沢が頭で合わせて先制。38分には、右サイドの駒野が攻め上がり、クロスに走り込んだ高原が頭で追加点を挙げて いいペースで試合を展開しましたが、後半はそのペースが落ちて無得点に終わりました。モンテネグロは前半、自陣に引く慎重な試合運び、後半は攻勢に転じたものの決定機は少なく、22分にはPKを久しぶりに出場した楢崎(名古屋)のスキのない姿勢に圧倒されたのか外してしまう場面も見られました。

後半にペースが落ちたのは、この夜の湿った南風により芝に夜露が付いてスリップしやすくなったからとの解説が有りましたが、高温多湿に加えピッチ状態の悪いアジア諸国にくらべれば、今夜の静岡エコパスタジアはそれでも恵まれた環境にあり、言い訳に過ぎないと思います。この試合で、後半32分に左サイドの駒野からパスを受けた中村憲がペナルティーエリア手前から左足でシュートを放ったもののゴール上に大きく外した場面にオシム監督が試合中に激怒している様子が映し出され、試合が終わってからも、このことに触れており、オシム監督としてはこの件も含め全体的に不満だったようでした。

この日、移動の疲れを考慮して欠場した、中村(俊)、中田(浩)、稲本の欧州組が、日本より格上の6月5日のコロンビアとの第二戦には出場するものと思われますので、この試合でオシムジャパンの真価が問われることになると思われますので楽しみです。


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