−日記帳(N0.2052)2007年08月08日−
8月28日の皆既月食(1)
−日記帳(N0.2053)2007年08月09日−
8月28日の皆既月食(2)


2000年7月16日の皆既月食による赤い月

太陽と地球と月がある方向から見て一直線上に並ぶと新月か満月になります。地球が太陽と月の間で一直線上に並んだ場合は、真正面からの太陽光が月の全面を照らして反射されるため月の姿が全面で見える満月となり、月が太陽と地球の間で並んだ場合は、月は太陽光を真裏の背後から受けて反射光はゼロになるため月の姿が全く見えない新月となります。一方、太陽と地球と月が、満月の状態で一直線上に並ぶと下のモデル図に示すように地球の影に隠れることで月食が起こります。

「MOON」より引用させて頂きました

それなら、満月のたびに月食が起こってもよさそうですが、実際にはそのようなことは起こりません。その理由は月の公転軌道面と地球の公転軌道面が5度ほどずれていて一致しないからです。つまりある方向から見て太陽と地球が一直線上に並んでも別な方向から見ると一直線上に並んでいないことが殆どであるために、上のモデル図で地球の影の上側を通過したり、下側を通過したりすることが多く月が地球の影の中に入るのはまれなことなのです。逆の言い方をするならば、もし月と地球の公転軌道面が一致していたら満月のたびに月食が起こることになります。

太陽光による地球の影には上のモデル図にあるように2種類あります。真っ暗影になる本影とボヤーッとした薄い影の半影です。月が本影にスッポリと入ってしまう場合が皆既月食で、月は完全に地球の影に隠れてしまいますので月の姿はまったく見えなくなるはずなのに月全体が赤黒く見えるようになるのです。これは、このモデル図のように太陽光が地球の両端を通過する時にやや屈折して月に向かうのですがその場合、太陽光は地球の大気に吸収・散乱されますが直進性のある赤色光はそれほど吸収・散乱されないまま月面に届くため月面が赤っぽく見えるようになるのです。日食では太陽を覆い隠す月と太陽がほぼ同じ大きさのため皆既日食の他に金環日食が有りますが、月食では地球の影が月の4倍も有るため金環月食は起こり得ません。

月が本影に入り切れずに半影にはみ出る場合が部分食で、半影にはみ出た分が半月や三日月のように欠けて見えます。厳密には半影から影でないところにはみ出る場合を半影食と定義されておりますが、殆ど欠けている状況を識別できないため取り上げられることはまず有りません。

日常の朔望で観られる三日月  皆既月食で観られる三日月
(弧は地球の影ではない)  (弧は地球の影です)

月食で観られる三日月や半月の弧は地球の影が反映されているのに対し、日常の朔望で観られる三日月や上・下弦の月の弧は月を斜めに観るためにそのように見えるだけで地球の影ではありません。このことを上の実際の画像と下のモデル図で説明します。


上のモデル図で誇張して示すように、朔望で観られる三日月では輝きの部分が先細っていく先端は月の真上と真下ですが、実際には見えません。皆既月食で観られる三日月は地球の影によりますので先細っていく先端は地球の影と月面の交点のため月の真上と真下になることはありません。もし、三日月の弧が地球の影なら新月は地球の影で覆われることになり、まさに皆既月食になることからも、地球の影でないことを説明できると思います。

8月28日の皆既月食は、午後7時頃の三日月状で上ってきた月が、地球の本影に隠れて赤くなる皆既月食が8時20分頃まで続いて再び三日月から9時過ぎには満月になるという珍しい現象が起こります。この様子は下のモデル図を参照して頂くとよく判ると思います。「月がとっても青いから遠回りして帰ろう♪」という歌が有りましたが、月が赤かったら先回りして帰ろう♪」となるのでしょうか。満月が三日月になったり赤い月になったりするのですから、そのメカニズムを知らなかった大昔の人たちはきっと薄気味悪くなったことと思います。

「西美濃」より引用させて頂きました

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