−日記帳(N0.2088)2007年09月13日−
鳥取砂丘への落書は法律違反?
−日記帳(N0.2089)2007年09月14日−
月探査機「かぐや」打ち上げ成功


鳥取砂丘の「馬の背」に描かれた落書き

上の画像は今月の8日に、鳥取市の鳥取砂丘の「馬の背」と呼ばれる海から2番目の第二砂丘列に縦約15m、横約50mに渡って「HUCK」と描かれた巨大な落書きです。鳥取市の日本海岸にある鳥取砂丘は、規模は東西16キロ、南北2キロにわたる日本最大の砂丘で、ラクダや馬車が行き交う観光地であるだけでなく、砂漠緑地化の研究場所、更には強い海風によって作られる美しい「風紋」で知られております。

7年前に北海道テレビ放送(HTB)の人気深夜番組「水曜どうでしょう」で、同番組の出演者たちが鳥取砂丘の砂を持ち帰っていたことが、鳥取砂丘の地元の方からの訴えで発覚し、自然公園法の禁止事項に抵触することからHTBが謝罪する事態に発展したことがありました。このニュースによって、鳥取砂丘が国の天然記念物であること、そして国立公園では環境大臣の許可を得なければ砂といえども持ち帰ることができないということが知られるようになりました。また、その時に砂丘に番組名を大書したことも取りざたされ、この行為も自然公園法違反で、HTBは環境省から文書で厳重注意を受けて再度謝罪をしております。

ここような経緯によって「鳥取砂丘の砂は持ち帰ってはいけない」「鳥取砂丘に落書きしてはいけない」ということが全国に知れわたっていたはずなのに、この鳥取砂丘に再び落書きされるという事件が発生していたことが、2007年9月9日付の読売新聞の「砂丘に落書き 『景色台無し』」と観光客の怒りを報じた記事によって判明しました。この記事によると、鳥取市の鳥取砂丘で最も高い場所にある傾斜面の「馬の背」で、縦15メートル、横50メートルにもわたって「HUCK」と砂に字が掘られておりました。

そして、この落書きをしたグループの一人が「2ちゃんねる」に次のように投稿したことから、ちゃんねらーたちがあっと言う間に、このグループが、名古屋大学のアドベンチャーサークル「Huckleberry Finn」であることを割り出したことから、国立の一流大学の学生たちが当事者で、地元関係者が名古屋大学に抗議したことから話題性が出て、昨日から全国的なニュースとしてテレビ、新聞で大々的に取り上げられる事態に発展しました。

こんぶ漁師(愛知県) 投稿日:2007/09/09(日) 11:38:28
鳥取砂丘に名前を刻んできました!
ワロw


「Huckleberry Finn」は名古屋大学を中心にさまざまな大学が参加するインカレサークルで、1990年に発足し、現在は名古屋市内の他の大学生等も含めて81人が参加しているとのことです。主な行事は「ラリー」と呼ばれる徒歩での旅行で、数十人で160〜170キロの行程を1週間かけて踏破するというものだそうです。同大によると、砂丘に文字を刻んだのは、このサークルに所属する同大の男子学生3人と愛知県内の私立大の女子学生4人の計7人で、彼等は今月1日から一週間かけて兵庫県たつの市から鳥取砂丘までの徒歩旅行を実施、8日朝、同砂丘に到着し、「馬の背」と呼ばれる同砂丘の観光スポットに、サークルの頭文字である「HUCK」を足で刻んだとのことです。

彼等の行為は、決して褒められるものではなく、場合によっては犯罪にもなりかねないのですが、果たして他にも重大なニュースが山積している中で、大新聞がこぞって犯罪を暴くかのようにして騒ぎ立てるほどの行為とは到底思えません。自然破壊と言っても、雨や風でいずれは元の状態に戻るだけのことです。また刻まれた字も、「H」が[F」に代わっていたら大変なことになりますが、彼等のサークルの略称ですから何ら問題は有りません。もし、私が観光客としてこの落書きを観たら、むしろ幸運だったと思うに違いありません。何故なら私もこの砂丘を観ておりますが、日本一とは言ってもスケールも小さく砂丘としてその景観を楽しむほどではなかったからです。

むしろ、こんなちっぽけな砂漠に商魂たくましくラクダに客を乗せるのは景観を損ねる行為であり、緑化を防ぐためにトラックで砂を運んだり、草木を刈り取ったりしているとするならば、それこそ自然破壊と言わざるを得ません。逆に砂丘を利用して、その一部を社会的なアピールの場とか芸術的な発表の場として利用する方策も有り、それが観光に繋がる可能性も有るのではないかと思います。本人たちは自らの過ちを認めて反省しているとのことですから、大学側が何らかの処分をするならば説諭程度に留め、前途有為な若者の未来が損なわれないよう配慮されることを願うものです。


月周回衛星「かぐや」を搭載して打ち上げられたH2A13号機

今日、9月14日、午前10時31分、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや」を搭載したH2A13号機が種子島宇宙センター(鹿児島県熊毛郡南種子町)から打ち上げられ、無事成功し所定の軌道に乗りました。打ち上げの様子は当地の知多メディアスネットワーク(株)でも実況生中継しておりましたので、世界一美しいロケット発射基地と言われる種子島宇宙センターから白煙を引いて大空に美しい軌道を描いて昇っていくロケットの姿をリアルタイムで観ることができました。上の同社にアクセスすれば録画映像として再生出来ますので、一度ご覧になることをお勧めします。

月探査は、アポロ計画(1967年〜1972年にかけて1号から17号、但し3,4号は欠番で有人で月面着陸したのは11号〜17号)によって行われ、持ち帰られた400キロの月の石が分析された結果、月が地球とほぼ同時期の45億年前に誕生したことは判りましたが、どのように生まれ、育ったのかは現在でも殆ど判っておりません。原始地球に火星ぐらいの大きさの惑星が衝突した際に飛び散った破片が集まって生まれたという「巨大衝突説」有力視されておりますが、その検証には月の内部構造や組成を調べることが必要です。

「かぐや」は、打ち上げ約45分後、南米チリ沖の高度約390キロでロケットから分離され、月までの約38万キロ(地球全周の約11倍)を、新幹線の約4倍の時速約800キロの速さで月に向かって進み、3週間後の10月5日頃月に最接近し、高度100キロの上空を周回しながら、10メートルの分解能で地形を立体撮影し、深さ約5キロまでの地下をレーダーで探査して鉱物・元素の分布や磁気の測定のほか、2基の子衛星を使って地球からは見えない月の裏側の重力分布を調査することにしております。

周回衛星は日本に続いて中国が年内に打ち上げるほか、来年は米国とインド、2012年にはロシアも計画しております。このような探査ラッシュの背景には、将来の月面基地や資源利用を睨んだ戦略が有り、米国は火星へ有人飛行するための拠点として、2020年までに月面基地を建設する構想を明らかにしており、「かぐや」によってもたらされる地形や元素などの情報は重要な基礎データになります。このように「かぐや」は、アポロ計画以来となる本格的な月探査機で、最新鋭の装置で月を1年間観測することから、世界が先陣を切る日本の成否に注目が集まっております。

一方、打ち上げ作業はこれまでJAXAが担当してきましたが、今回から民間の発想でコストを削減し、国際競争力を高めるために、機体製造元の三菱重工業(MHI)に移管されました。また、打ち上げ約1カ月前に燃料を注入して行う事前点検は今回、初めて省略され、7回連続の成功に向けて、新体制の信頼性が試されることになります。費用は衛星約440億円、ロケット約110億円で当初、8月16日の打ち上げ予定でしたが、衛星の不具合や天候不良で延期されておりました。


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