−日記帳(N0.2098)2007年09月23日−
ウミネコと中部国際空港
−日記帳(N0.2099)2007年09月24日−
安倍首相の記者会見に思う


中部国際空港護岸堤石積みで休むウミネコの群れ

鳥が構造物に衝突する事故を「バードストライク」と呼んでおります。主に航空機に衝突する事例が多いのですが、鉄道、自動車、風力発電の風力原動機、送電線や送電鉄塔、ビル、灯台などにおいても起こっております。特に旅客機の場合は、最悪の場合、墜落する恐れも有ることから深刻な問題となります。国内での墜落事故は有りませんが、海外では1995年に米・アラスカで米軍機が雁の群れに遭遇して墜落し24人が死亡する事故が起こっております。

日本でも、成田、羽田、関空、中空(愛知県常滑市の中部国際空港)等の臨海の空港ではウミネコによるバードストライクは定常的に発生しており、爆音機、夜間放水等の対策を講じておりますがまだ抜本的な対策は見付かっておりません。中でも海を埋め立てて作られた関空と中部では、コアジサやウミネコ等によるバードストライクが多く、特に中部では走路が一時閉鎖されるトラブルが相次ぎ、大きな問題になっております。運航に乱れが出るだけでなく、大事故に繋がりかねないだけに空港関係者の悩みは深刻です。

中空では今年の8月22日夜、着陸直前の日航機に100羽以上、8月31日に数十羽のウミネコとの衝突があり、死骸の片付けでそれぞれ約40分、滑走路を閉鎖する事態が発生しております。また、9月2日午後8時すぎから約1時間半の間に、ウミネコが断続的に滑走路へ進入したため、3回にわたって滑走路が最長11分閉鎖されたため香港発キャセイパシフィック航空532便など計3便が中空から関空に目的地を変更しております。22日のトラブルでは、着陸寸前のジャンボ機がエンジン4基全てにウミネコを吸い込んでおり、国土交通省の管制保安部運用課は100羽以上の大量のバードストライクは国内でも例が無いと話していることからも事態の深刻さが伺われます。

中空には滑走路周辺に爆音機を10基が設置されておりますが、鳥は爆音の直後にいったん飛び立つものの、すぐに戻ってしまうとのことです。空港会社では警戒回数を増やしたり、爆音機を増やしたりするほか、夜間に消防車で放水して鳥を追い払うことも検討しており、空港会社の伊藤鎮樹副社長は「夜間の巡回頻度を高め、鳥専用のレーダー導入を検討するなど、あらゆる対策を考えたい」と話しております。

ところで、何故中空に限ってこのような深刻なバードストライクが起こるのでしょうか。私は次の四つの要因が重なったからだと考えております。

1.中空の滑走路、誘導路付近にはウミネコなどの天敵が居ない。
2.中空周辺の伊勢湾にはウミネコなどの餌になる小魚が多い。
3.中空周囲の護岸堤の石積みが格好の羽根休め場となっている。
4.石積みの下に人工的に生育された藻が魚の棲家になってる。

4.は我々、釣り人にとっては大変有難いことですが、これがバードストライクの原因になっているとすれば複雑な思いに駆られます。何とかウミネコと共生する方策は無いものでしょうか。


慶応病院で記者会見する安倍首相

会見場に現われた安倍首相の表情は、12日の辞任会見の時よりもやつれて見え、如何にも弱々しいものでした。10日間も入院されていたことを考えると、12日の時点で既に病状が相当進展しており、立ち姿勢で会見するにも厳しい容態だったと思われます。この日の会見も10分以内の制限付きで行われました。

このように、本来ならまだ記者会見に応じられるような体調ではなかったのにもかかわらず、敢えて会見を行ったのは、翌日の25日には福田康夫氏が首班指名選挙により新首相に就任することから、この24日が安倍首相在任の最終日であり、12日の辞任会見で言えなかったこと、言いそびれたことを国民に向けて話せるラストチャンスと考えたものと思われます。

そこで安倍首相は、「職を辞する前に、どうしても一言、国民のみなさまにおわびを申し上げたい・・・・」と切り出し、要約すると、次の2点に触れました。

(1)国民へのお詫び:
(2)体調の説明:

(1)については「辞意表明が国会冒頭の、非常に重要な時期、特に所信表明の直後という最悪のタイミングになってしまった。このため国会は停滞し、国政に支障をきたし、多大な迷惑をかけたことに改めて深くおわび申し上げる。辞任を決意した最大の要因について触れなかったことで、国民に私の真意が正確に伝わらず、非常に申し訳なかった。(小沢一郎民主党代表に会談を申し入れた段階では)辞任する決意を固めていた。」

(2)については「この1カ月間、体調は悪化し続け、ついに自らの意志を貫いていくための基礎となる体力に限界を感じた。このままでは首相としての責任を全うし続けることはできないと考え、辞任表明に至った。首相は在職中に自らの体調について述べるべきでないと考えていたので、12日の会見では体調の変化には言及しなかった。段々食事もできるようになったので、1日も早く退院できるようにと思っているし、25日の首相指名選挙には行きたいと思っている。」

その後、記者からの質問に答える形で、巷間で噂された麻生氏等によるクーデター説を否定する一方で、麻生太郎幹事長、与謝野馨官房長官の2人をはじめとする政府・与党のみなさんには最後の最後まで、私を力強く支えていただいたことに対し、深く感謝していると述べました。また、臨時代理を置かなかったことについては「法律にのっとって、職務の上で支障を来すかどうかという判断の上で置かなかったということになりました」と述べるに留まり、それが首相の自主的判断であったか否かについては言及しませんでした。また、今後については、1人の国会議員として活動していくこと、総裁選でどちらに投票したかについては、去っていく者として触れるべきではないとして言及を避けました。

首相官邸を去るに際して花束を贈られる安倍首相

首相官邸で最後の閣議を終えた安倍首相


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