−日記帳(N0.2266)2008年03月13日−
国際宇宙ステーションについて
−日記帳(N0.2267)2008年03月14日−
日本の実験棟「きぼう」について


国際宇宙ステーションの完成予想図

地球上の1万分の1から100万分の1という微弱な重力に豊富な太陽エネルギーに満ちている宇宙環境を利用して、地球・天体の観測や宇宙での実験・研究などを行うプロジェクトが国際宇宙ステーション(ISS=International Space Station)計画で、2010年の完成を目指して、アメリカ、ロシア、日本、カナダ、ESA(欧州宇宙機関)が協力して建設を進めております。

ISSは、地上から約400km離れた地球周回軌道上に浮かび、地球や宇宙を観測し、また、宇宙環境を利用したさまざまな研究や実験を行うための巨大な有人施設で、約90分で地球を周回します。組立が完了した時点のISS はサッカー場ほどの広さになり、体積1,200 立方メートル、重量419トン、最大発生電力100kw、横方向108.4m、進行方向74m、最大滞在人数6名となる予定です。

ISSの建設に必要な建設資材の運搬は米国のスペースシャトルが担当し、ISS滞在員の食料、水等の物資の補給にはロシアのプログレス輸送船(ソユーズ宇宙船の無人輸送機)、緊急帰還用の救命艇として無人輸送機のソユーズ宇宙船が常時ドッキングされております。建設資材の運搬に39回はスペースシャトル、食料、水等の物資の補給に30回のプログレス補給船による打ち上げが予定され、実行されております。ISSは1998年11月に最初の打ち上げが始まり、既に上図の完成予定に対して下の画像に示すように、米国、ロシア、カナダ、欧州の核実験等の大半の組み立てが完了し、少なくとも予定の分以上が終了しているように思われます。

現在の国際宇宙ステーション(白枠内が「きぼう」の設置予定場所)

「きぼう」の組立完成予想図

「きぼう」は当初の計画では、スペースシャトルなどによって2006年から2008年までに3回に渡ってISSにその建築資材、実験設備等が運ばれ、遅くとも2009年から運用開始される予定でしたが、2003年2月にスペースシャトル「コロンビア」が着陸途中で空中分解し乗組員全員が死亡する事故が発生したため建設が遅れる上、ブッシュ大統領の方針でNASAがシャトル運用を2010年までとしたため、「きぼう」の完成が危ぶまれる事態に陥りました。

しかし、2006年3月の日米協議によって、2007年から2009年3回の打ち上げで完成させることで合意しました。今回の打ち上げはその時の合意に基づいて、「きぼう」の建築資材の運搬と土井隆雄飛行士によってISSでの組み立てが実施されることになったわけです。従って、今回のSTS-123の打ち上げのミッションは「1J/A」と呼ばれる「1J/A」で日米共同で「きぼう」の組立てと第2結合部のハーモニーを介して米国実験棟への連絡等を行なうことになっております。尚、組立フライト名の“J”は日本関連のフライト、“A”は米国関連のフライトであることを示します。1J/Aは、日本と米国の要素をISSに運ぶ1回目の組立フライトであることを示しております。

JEM「きぼう」は与圧部(室内実験棟・保管室)・曝露部(船外実験プラットフォーム)・マニピュレーター(ロボットアーム)・補給部(保管棟・船外パレット)・衛星間通信システム(日本独自の双方向通信を行うもの)といった6つの主要部位で構成されております。宇宙航空士が滞在して実験を行なうのはこのうちの与圧部で、その他の設備は宇宙空間にある補助施設です。今回のミッションでは、このうちの与圧部・保管室(船内保管室と呼ばれる)とデキスターと呼ばれるロボットアームです。最も重要な与圧部・室内実験棟は、STS-124ミッション(1J)で星出彰彦飛行士、残りの全てはSTS-119(15A)とSTS-127(2J/A)の両ミッションでで若田光一飛行士が担当し、STS-127(2J/A)をもって「きぼう」の全ての構築を終えることになっております。


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