−日記帳(N0.2284)2008年03月31日−
宇宙ステーションを撮影する(3)
−日記帳(N0.2285)2008年04月01日−
ガソリンの買いだめについての注意


広島の市川さんが2008年3月28日18時35分21秒に撮影されたISS
(JAXAの公式サイトから)

国際宇宙ステーション(ISS)は400km上空を、ライフル銃弾の4倍以上の時速28,000km、秒速で約8kmの速度で約90分間で地球を一周しております。そしてISSは地球の赤道に対して51.6度の角度で飛んでおりますので、地球の陸地のほとんどを見渡すことができ、逆に地上のどこからでもISSを肉眼で観測することが出来ます。ただ、何時でも観測できるわけではなく、日本国内で観測できる日時は、JAXAの公式サイトの中の軌道情報から知ることが出来ます。
ここで図示されている都市名をクリックすると、その都市での情報が得られます。例えば、名古屋をクリックして得られる表の中から、「2008/04/09」をクリックすると 次の情報が得られます。



この情報により、名古屋地方では2008年4月9日の20時8分30秒にISSは方位角325度(真北=0度または360度)の北西の方向の地平線上に現われ、その2分半後の20時11分00秒に方位角347度の北北西の方向に仰角10度越えて見え始め、その30秒後に方位角356度の殆ど真北の方向に最大仰角15度で見え終わり、その5分30秒秒後の20時17分に方位角102度の東南東の方向で地平線下に沈んでいくことが判ります。

このように、ISSは地平線上に現われるのは数分程度、実際に地上で見られる仰角10度以上の時間は30秒程度ですから、シャッターチャンスはこの30秒間程度です。カメラは普通のデジカメやフィルムカメラでOKですが、B、Tの機能の有る機種が必要です。B、Tの機能が無くても5秒前後以上の露出が手動で設定可能ならOKです。

カメラを、見え始めの方向(方位角)の最大仰角に、カメラを三脚に固定しピントを無限大に設定して構え、露出をBまたはTに設定し、シャッターをISSが見え始めたら開き、見え終えたら閉じます。ISSは一等星の程度の明るさで動く光の点(流星ののように尾を引いておりません)として現われますので、尾を引く流星や点滅する航空機と識別することが出来ます。もし、綺麗にISSを撮影できましたら、是非、JAXAに投稿を参照の上、KIBO-PAO@jaxa.jp 送信されることをお勧めします。

上の画像は、広島市在住の市川尊之さんが、 2008年3月28日18時35分21秒 に Nikon D300に望遠レンズを取り付けて撮影されてもので、見事にISSの輪郭が捉えられております。市川さん、有難うございました。


暫定税率分値下げの看板表示

昨日で道路特定財源の暫定税率の期限が切れたことを受けて上の画像で見られるようにレギュラーガソリン1リットル当たり税込み価格125円で販売する給油所が現われております。本来なら期限切れ時点で在庫していたガソリンは25円の暫定税率のもとで購入されておりますから、この値段では給油所としてはリッター当たり25円前後の赤字になりますが、地域での激しい値下げ競争から一店でも125円前後で販売すれば追従値下げするかない事情によるものと思われます。

ここで、ユーザーにとって問題になるのは買い貯めです。昨日付けで、消防庁は各都道府県、石油連盟、全国石油商業組合連合会宛てに、「給油取扱所等における適正な取扱いについて」と題する報道資料を発行しました。日常、取り扱われる危険物は「消防法」によって取り締まられております。危険物は、消防法で「危険物の分類と指定数量」で定義され、ガソリンはこのうち第四類・第一石油類に該当します。

危険物は、引火、爆発等の恐れの有る物質の総称で、これらの危険物を取り扱う場合は国家試験の「危険物取扱者」の資格が必要となります。危険物は第一類から六類まで大別して6種有り、全てを扱える甲種、類毎に扱える乙種、そしてガソリン等の引火性のある危険物のみを扱える丙種の3種類の資格に分かれております。例えば、ガソリンや軽油等のタンクローリーの運転手 には丙種が、給油所には乙種が夫々必要となります。私は甲種の永久資格を持っておりますので、全ての危険物を取扱うことが出来ます。そこで、その立場から以下、一般ユーザーのガソリンの取扱いについて解説をしておきたいと思います。

燃えるためには、燃える物、酸素(空気)、点火源の三つが必要です。ガソリンは燃える物ですが酸素が無ければ燃えませんし、引火点以下の温度なら例え、点火源が有っても燃えません。ガソリンの引火点は零下40度ですから、零下60度以下の南極大陸の中心部ではガソリンは酸素、点火源が有っても燃えませんのでガソリンエンジンの車はまず動けません。また点火源が無くても、発火点以上なら燃えます。

発火点とは、液体自身が種火の点火源が無くても自然に燃え出す温度で、天ぷら油の温度を上げ過ぎると発火するのは油が発火点以上になるからです。ガソリンの発火点が300℃であるのに対して軽油は250℃でガソリンより50℃低いので、自然発火に関しては軽油の方がガソリンより危険ということになります。ディーゼルエンジンは、この軽油の性質を利用し点火用のスパークプラグを使わずに、シリンダー内で空気を圧縮して温度を250℃まで上昇させ自然発火現象を導いて軽油を燃焼させております。

ところで、危険物には指定数量が夫々に定められており、ガソリンの場合は200リッターです。この数量を越えて貯蔵すると、消防法による厳しい規制を受けますので、一般のユーザーではこの数量を越えて自宅の所定の規制を満たさない倉庫などに貯蔵すると違反行為になり、危険を伴うことになりますので絶対にしてはいけません。200リッターがドラム缶一缶分、20リッターのポリ容器なら10箱分です。しかし、ポリ容器にガソリンを収納することは、静電気による発火、漏洩等の問題が有ることから消防法第16条で禁じられております。

従って、どうしても200リッターを越えない範囲で貯蔵したければ、このような金属製の携行缶を使うしかありませんが、市販品の最大容量は20リッターですので大量に購入することになり不経済です。またドラム缶は内面に錆など附いている場合が多く、ガソリンを汚損させこれまた問題多く使うべきではありません。結局、非常時に備えて金属製の携行缶は必要と思われますので、この際一箱ぐらい購入して貯蔵するのが賢いやり方ではないでしょうか。尚、セルフの給油所で自分で金属製の携行缶に給油することは違反になりますので、給与所の係りの方に給油してもらう必要があります。

最後に、セルフの給油所で車に給油中に誤ってタンクの給油口で引火させてしまった場合の処置についてアドバイスしておきます。燃える三つの条件について冒頭に述べましたが、もうひとつ条件が必要となります。それは燃焼範囲です。濃すぎても、薄すぎても燃えません。ガソリンの場合は1.4〜7.6vol%です。ガソリンエンジンのキャブレターはこの範囲になるようにガソリンを空気と混合しております。

従って、車のタンク内でガソリンに触れている空間は平衡蒸気圧の関係でガソリン蒸気が充満して高濃度になっているため直ぐには爆燃せず、まずは外気に触れている給油口付近でボンと音を発して炎が噴出する程度と推定されます。そして噴出した勢いで中のガスが吸引されてタンク内の気圧が下がり外気がタンク内に入り込み爆発が起るものと思われますが、それでもタンク内の可燃ガスの量が少ないのでタンクを破裂させるほどの勢いはないものと思われます。この状態で、落ち着いて給油口の蓋を閉め、更には布などで給油口を塞げば火は収まるはずです。映画などのカーアクションでは、車が簡単に爆発しますがそのようなケースは稀と思われます。


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