−日記帳(N0.1246)2008年04月30日−
硫化水素自殺事件多発に思う(2)
−日記帳(N0.21247)2008年05月01日−
個人での携行缶への給油はOK?



硫化水素が匂いとして感知できる最小限界は、ゆで卵の場合の0.0005ppm、明瞭に感知できるのは0.05ppm(=1億分の5%)、不快臭と感ずるのは5ppm(=百万分の5%)、と、超微量から微量の濃度で、この程度なら直ちに人体に害を及ぼすことはありません。人体に害を及ぼす最小限界、つまり許容限界を法律では10ppm(=10万分の5%)と定めており、この許容限界以上の50ppmを超えると喉や目に痛みなどの症状を発症しますが、それでもこの程度の濃度なら人間には硫化水素を解毒する酵素が分泌されますので直ちに生命を脅かすほどの重篤な症状に到ることはないと言われております。

恐らく、この許容限界の10ppmでは、臭くて臭くてじっとして居られないと思われます。従って、硫化水素自殺事件に巻き込まれた場合でも、匂う程度なら慌てることはなく落ち着いてその場所から速やかに遠ざかることを考えればいいわけです。硫化水素は空気より重いので上に向かって拡散することありません。従って、アパートで硫化水素自殺事件に巻き込まれて階段から逃げようとした時、階段を降りると匂いが強まる場合は息を止めて階下まで行ける確信が有る場合を除いて階段を上がることも有力な手段のひとつと考えるべきと思われます。

ただ、恐ろしいのは0.1%以上の高濃度での暴露を受けた場合には数呼吸で肺の酸素分圧が低下することによる呼吸麻痺を起こし、呼吸中枢が活動できなくなる結果昏倒して意識不明や即死状態になることです。2005年12月29日午後5時ごろ、秋田県湯沢市高松の泥湯温泉の親子連れの4人の宿泊客のうち母子3人がが旅館から200mほど離れた駐車場脇の直径約2m、深さ約1.5mぐらいの窪地で倒れているのを発見した父親が子供の一人を助け出そうと抱え上げた時、倒れて意識不明となり後に死亡するという痛ましい事故が有りました。

また、1997年には八甲田山で訓練中の自衛官20数名が高濃度の硫化水素を吸って一瞬で倒れ3人が死亡する事故も発生しておりますが、これも高濃度硫化水素による事故の例です。このように高濃度になるのは火山周辺や温泉地などで地中から発生する硫化水素や下水道の汚泥や船の積荷などから発酵作用等で発生した硫化水素が底部に溜まる場合に限られますが、事前に予知することは可能ですので関係は事前に警告して防止に努めるべきです。上の画像は、上述の4人の死者を出した泥湯温泉の立ち入り禁止の警告板です。


ガソリン専用の20リッター金属製携行缶

3日前の28日、白いワンボックスカーの後部座席に20リットルの金属製携行缶(上の写真がその同類品)を積んだ男が神戸市のセルフサービスのガソリンスタンドの入り、その携行缶にガソリンを入れていたところ、突然、携行缶の給油口から火が噴出したため、男は携行缶を放り投げてそのまま車で立ち去るという事件が有りました。燃えていた携行缶はスタンドの従業員が消し止めたため大事には到りませんでしたが、場所が場所だけにまかり間違えば大変な火災事故になるところでした。

原因は明らかにされておりませんが、当日は気温が高かったことから後部座席に置かれていた金属製携行缶はかなりの高温になっており、この状態で注入されたガソリンは一瞬にして気化し缶内のガソリン濃度は燃焼可能範囲になります。そこで静電気等により火花が発生し缶内のガソリンに引火して爆燃したものと推測されます。携行缶が常温なら火花が発生しても燃焼可能範囲になっていない場合も考えられその場合は燃焼せず、例え燃焼しても爆燃することはないものと思われます。

この事件をNHKはラジオで次のように報道しておりました。「・・・スタンドで携行缶にガソリンを給油することは法律で禁じられており・・・」もし、私の聞き違いでないとするならば、この件に関して、4月1日の日記「ガソリンの買いだめについての注意 」で触れておりますように一応の知識を持っている私としては、この報道に疑問を持ちました。何故なら、そんな法律は聞いたことが無いからです。改めて関連法規を調べてみましたがやはり有りませんでした。

確かに、セルフスタンドで携行缶に自分で給油することは違反行為となりますが、スタンドの係の方に給油してもらえば違反行為にはなりません。この違反行為も法律違反行為ではなく行政指導に対する違反行為というのが正しいようです。従って、「・・・スタンドで携行缶にガソリンを自ら給油することは法律で禁じられており・・・」が正しい言い方で、「自ら」が抜けていたことにまります。

この放送を真に受けて、セルフスタンドでは給油できないと勘違いし、自宅で車のガソリンタンクから専用のポンプで携行缶に抜き取るような行為に走るとかえって危険な行為を誘導しかねないと思われますので、マスコミはこのように社会的問題にになっている件については誤解を招かないように常に正しい言い方をすべきと思います。尚、この事件では給油した男性とその行為を容認したスタンド双方が消防法違反を犯したことになります。

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