−日記帳(N0.1273)2008年05月28日−
四川大地震に思うこと(6)
−日記帳(N0.1274)2008年05月29日−
中国の自衛隊機派遣要請に思う


(「The 地震」より引用させて頂きました)

上図は世界の地震分布図で、赤点が無いか、有ってもポツリポツリともまばらに有る程度の部分が上の定義による地震の無い地域です。これに該当する地域は、スカンジナビア半島、ロシア西部、アフリカ北部、オーストラリア大陸の大部分、インドシナ−マレー半島、北米大陸の東北部となります。

アジアでは韓国と中東の一部を除いて殆どの国々が地震国であるのに対して、欧州ではポルトガル、スペイン、トルコ、ギリシャ、イタリアを除いて殆どのの国が地震の無い国になっていることは案外知られておりません。また北中南米もカナダ、アメリカ、メキシコ、ペルー、チリなど太平洋に面する国以外の殆どの国、アフリカも東部を除く殆どんどの国がそれぞれ地震の無い国となっております。

エジプトに旅して感じたのは、もしエジプトが地震国だったら、あのピラミッドや王家の谷の絢爛たる王墓、壮大なアブシンベル神殿も地震によって崩壊し現状をとどめていなかっただろうとの思いでした。また、今年北イタリアに旅して思ったのは、北イタリアが地震地域だったら、ピサの斜塔もヴェネチアの街も存在すらしていないとの思いでした。

地震はその国の建築様式にに大きな影響を与えております。地震が有る日本には木造建築、地震の無い欧州には石造建築、地震が無い上、雨が少ないエジプトには日干し煉瓦建築がそのいい例だと思います。法隆寺や東大寺、興国寺などの神社仏閣の主なものは、木材を複雑に組み合わせて強度を保持し、一定の遊びを持たせることで地震の揺れに対して柱や梁が滑ることで倒壊を防いでおります。

日本と同じ、地震国で有りながら中国では、建築に耐震設計の考え方があまり反映されておりません。今回の四川大地震でも、日本のように耐震設計が学校や民家に取り入れられていたら、これだけ多くの人命が失われることは無かった思います。中世ヨーロッパのように鉄骨や鉄筋無しに石を積み重ねるだけで造られた建造物では、日々地震の恐怖に怯えて暮らすしかありません。

中国民族は、万里の長城造営に見られるように、元々て国家100年の計を立てて事を運ぶ民族のはじです。 ただ、このところ近代化を急ぐあまり、目先のことに拘って、将来の国家のあるべき姿が見えてきません。今回の四川大地震を教訓にして、こころ広く悠然と構える本来の中国民族に戻ることをこころから願うものです。


自衛隊小牧基地のC-130型輸送機

中国の四川大地震の被災地に向けて、既に米国、韓国、ルーマニアなどが軍用機で成都経由で救援物資を運んでおりますが、日本の場合は成都が重慶に近いこともあって自衛隊機の運用は無理ではと考えていたところ先日、日本のメィデアがい一斉に、中国側から自衛隊機による救援物資の空輸を要請が有ったことを報じましたので驚きました。

もし、実現すれば日中関係にとって画期的なこととなるだけに期待しておりましたが、その後中国国内で自衛隊機乗り入れに対する拒否姿勢と批判が目立ち始め、胡錦涛政権は窮地に追い込まれました。このタイミングで中国政府が、この自衛隊機による救援物資運搬の要請を撤回すれば、国際信義に反する行為になるだけでなく、胡錦涛体制の求心力の低下を招くことになりかねません。

ここで、日本政府は阿吽の呼吸で救いの手を差し伸べる形で、「「中国の国内で自衛隊機の派遣に対する慎重論があるので、今回は自衛隊機を使わず、民間機で送ることにした」と発表しました。つまり、中国政府が自衛隊機派遣に反対してきたのではなく、日本政府が独自の判断派遣を見合わせることにしたという筋書きにして、胡錦涛政権に責任が及ばないように配慮したことになります。

この日本側の発表に対して、中国政府は公式にコメントしておりませんが、5月31日(注:)にシンガポールで、アジア・太平洋地域の国防相らが出席して行なわれた「アジア安全保障会議」で、石破防衛相が「日本が中国を支援する際、文化、伝統、民族性を理解し尊重しなければいけない」と述べて日中の歴史的関係に配慮したことを明らかにしたことに対して、同席していた中国・人民解放軍の馬暁天副総参謀長が「中国の歴史、文化を理解してくれたことに感謝している」と謝意を示し、歴史問題と関連した中国国内の根強い反発が今回の派遣見送りに影響したことを暗に示唆しております。

外国に救援を依頼するのに敢えて条件を付けるのは国際儀礼に反することですが、そうせざるを得ないほどに日中間に介在する過去の歴史問題は中国国内根深く残っていることが判ったようにも思えますが、一方で江沢民派などの反胡錦涛勢力が、過去の歴史問題を持ち出して胡錦涛政権の対日融和政策を揺さぶり復権を狙っていることも垣間見たように思います。日本政府はこの問題には深入りしないことが賢明と思いますので、今回の処置は正しい判断と私は評価します。
(注:この日記は6月4日にアップしましたので日時が前後しております)


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