−日記帳(N0.1283)2008年06月07日−
岡ちゃんを救った楢崎のプレー
−日記帳(N0.1284)2008年06月08日−
ホスゲン問題の報道に思うこと


        
後半13分、グラウンダーの右足でのPKを楢崎がセーブした場面

この試合で負けるとオマーンに勝点で並ばれるため、次のアウエーのタイ戦に敗れると、日本にとって自力での予選突破の道が閉ざされるだけに、この試合の負けは許されず、岡田監督にとって明暗を分ける試合でもありました。そんな思いでテレビ観戦していたところ、前半12分に右サイドからの相手クロスをクリアしたもの、こぼれ球をムバラクに先制ゴールされた時、思わず悲鳴を上げてしまいました。

そして、引いてこの1点を死守しようとするオマーンの固い守りに手を焼き、1:0のまま前半を終えた時は、暗然たる気分になりました。そして、後半8分、長谷部のスルーパスに反応した玉田が中央をドリブル突破するとペナルティーエリア内で倒されPK獲得し、遠藤が落ち着いて右足でシュートし右隅に決めて日本が同点に追いついた時、歓喜の叫び声をあげました。

この時、遠藤によってシュートされたボールはゆっくりとコロコロと転がっていきましたので、一瞬ミスキックかと思いましたが、GKは一歩も動けませんでした。試合後の記者会見で遠藤は、GKが右足に重心がかかったのを一瞬見抜いて左足側の右隅を狙ったと話しておりました。その場合は、あんなコロコロシュートでもGKが追いつけないことが判っていたから、スピードよりも方角の精度を重視して蹴ったとも言っておりました。PK職人、遠藤ならではの技でした。

しかし、その歓喜も束の間の5分後の後半13分、ペナルティーエリアに切り込んだサレーを闘莉王が倒してしまい、オマーンにPKが与えられ、再び暗然たる思いに駆られました。キッカーはバシール。右足でシュトされたボールは強烈に右隅に飛んでいきましたが楢崎はこれを胸で受け止め一瞬はじいたものの直ぐに両手で確保し、見事にセーブしました。この試合は、結局1:1の引き分けに終わりましたがこのセーブが、日本のサッカーを救い、岡ちゃんを救ってくれました。

この試合で、問題の場面を上げてみました。まず、後半28分、玉田の右サイドからのクロスに大久保が合わせようとしてゴール前に飛び込んでGKと交錯して倒れこんだ時でした。下の画像(赤い矢印)に見られるように、シュートを打てなかったことへの腹いせなのか右足でGKを蹴っております。この行為でファウルを取られ、大久保はレッドカードで退場することになりました。このような非紳士的行為で日本サッカーの恥を曝して日本を窮地に追い込むような選手は、日本代表として不適格です。彼の猛省を促すものです。


次は後半34分、右サイドの玉田がペナルティーエリアに走りこんだ山瀬にパスを出した時、下の画像で明らかなようにオマーンDFが左足を山瀬の左足に引っ掛けて山瀬を倒し、明らかにPKと思われましたが、マレーシア人の主審マレーはスルーしてしまい反則をとりませんでした。玉田も怪訝な顔で抗議の表情を示し、岡田監督も立ち上がって抗議の姿勢を見せておりました。この主審はこれまでも、中東の笛を吹くことで知られておりますので、日本としてはビデオを提示してFIFAに提訴すべきと思います。





現在は自然豊かなこの島で戦時中、ホスゲン等が作られてました。

石原産業が三重県四日市市の四日市工場でホスゲンを国に無届けで製造していた問題が現在、話題になっております。殆どのメディアは、このニュースの記事の見出しとして、次のように表現しております。
「毒ガス(または猛毒)のホスゲンを無届けで製造していた・・・」

ホスゲンを石原産業が国に無届けで製造していたことは事実ですから、この文そのものは間違いではありません。しかし、記事の意味を正しく伝える見出しとしては不適切と私は思います。
何故ならホスゲンに「毒ガスの」という強烈に悪い印象を与える形容詞を使っているため、ホスゲンを製造することが問題であるかのような誤解を与えてしまう恐れが有るからです。

今回の問題の要点は、「毒ガスのホスゲンの製造」ではなく「無届けによる製造」にあります。ホスゲンそのものは、重要な化学製品の中間体原料で、これが無いと我々の身の回りにある製品を作るのに支障をきたすことになります。そのいい例がポリカーボネートとポリウレタンです。

ポリカーボネートは、(-O-(C=O)-O-)で示されるカーボネート基が繰り返される構造をとっておりますが、この中のカーボニル基もC=Oは、CL-(C=O)-CL で示されるホスゲンの骨格でもありますから、言い換えれば、ポリカーボネートはホスゲン分子の骨格の重合体とも言えます。

主な用途として、CDやDVD、光ファイバー、パソコンの放熱を保護する筐体などが有りますから、ポリカーボネート無しでは現在のようなネットライフが出来ないことになります。また、車のウインカーやテールランプ等の各レンズ類、バイクのヘルメット、旅客機の客室窓、双眼鏡など身の回りや外出先で見られるものも結構多いようです。珍しい用途として、警察で使われる防弾盾、中部国際空港線でお馴染みの名鉄の2000系特急車両の運転席フロント窓にも使われております。

ポリウレタンは、(-0-(C=O)-NH-)で示されるイソシアネート基が繰り返される構造をとっておりますが、この中のカーボニル基もC=OもCL-(C=O)-CL で示されるホスゲンの骨格でもありますから、ポリカーボネートと同様にホスゲン分子の骨格を含む重合体とも言えます。

主な用途として、水溶性塗料、ホットメルトタイプの接着剤、フォーム、繊維、人工皮革等が有ります。外部からの衝撃から保護する目的でクッション性を有する包装材として使われておりますので、精密機器類を購入の際にお目にかかるが有ると思います。例えば、軽い靴などの皮革や靴底に人工皮革として、またストレッチ製が有ることから、サッカーなどのジャージやレオタードにも使われるようになりましたが、最近注目され出したのは水着です。

現在、北京五輪水泳競技用水着で注目されている、英・Speedo International社の新しい高速水着の『LZR RACERは、このポリウレタンの低反発性が肌をしっかりと包み込むことに寄与することに着目し、これを薄層にしてポリエステル繊維等の本体に裏張りし全体を超音波でシームレス(継ぎ目無し)溶着加工することで、選手の体にフィットさせるとともにポリウレタンフォームによる浮力をも利用して高速性を生み出しているように思われます。また珍しい用途としてはコンドームも有ります。

以上のように、ホスゲンはいろいろな分野で有用な製品の材料として欠かせない原料であります。これを、毒ガスとか毒物などと形容してその毒性だけを取り上げるのは、ただでさえも化学への興味が低い子供たちのを化学から遠ざけることにもなりかねず、教育上の観点からも好ましくありません。「今度、北京五輪で金メダルを狙う北島選手が着用する水着もホスゲンを原料として作られております」と付け加えただけでもよかったと思います。


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