−日記帳(N0.1312)2008年07月07日−
毎年、七夕に思うこと
−日記帳(N0.1313)2008年07月08日−
堀江さんの波力船成功に思う(2)


望遠鏡によって捉えられた夏の大三角と天の川

上の画像は天の川を挟む「夏の大三角」と言われる星空です。勿論、肉眼では天の川はこんなにはっきり見えませんが、澄んだ夜空を望遠鏡で覗くとこのように見えます。恐らく、電灯の無い江戸時代以前なら、これほどではないまでも肉眼でも白っぽく見えたことと思います。以前、ニュージーランドに旅行した時、南十字星と天の川をはっきり見た覚えが有りますので、日本でも空気の澄んだ山里なら現在でも天の川を見ることが出来るでしょうが当地では残念ながら見ることは出来ません。

天の川は、よく知られておりますように我々が住む太陽系が属する銀河系の星の集団です。この広大な銀河系の中にある地球から見るとあのように無数の星が重なり合って見えるため白く濁った川のように見えるわけです。この天の川は1年中澄んだ夜空ならどこでも見ることができるのですが、七夕の日に天の川を隔てて輝いている織姫の織女星と牽牛の彦星が1年に1回だけデートするという中国の伝説を聞いた私は七夕の夜に限って、織女星と彦星の星そのものが動いてお互いに接近し、天の川も七夕の夜しか見えないものとばかり思っていました。

私のように、星が勝手に動くなどと考えるこどもたちはいないとは思いますが、案外、天の川が七夕の夜しか見られないと思っている人は多いのではないでしょうか。そう思っている子供たちは、七夕の日が雨や曇りで天の川が見られないとその年はもう天の川を見ようとしなくなってしまうのではないかと思うのです。七夕の日に、織姫と牽牛の中国の伝説を思い浮かべながら、天の川を隔てて輝いている織姫の織女星と牽牛の彦星の位置を確かめながら夏の夜の星座を見るのは素晴らしい習慣と思うのです。

子供たちに、天文の興味を持たせることは教育の面からも大切なことと思います。七夕の夜、子供たちと天の川や織姫星と彦星を観ながら、天の川が実は太陽のような大きな恒星が数千億もある星たちの集団である銀河系で、星が重なり合うため白く帯状に見え、そしてその大きさが直径約10万光年、厚さ3万光年もあること、織姫星と彦星も太陽の何倍もある大きな星であることなどを教えてあげたら子供たちは目を輝かすことと思います。七夕に星空を眺めることは絶好の教育の場でもあるわけです。

毎年、七夕の日が来ると私は、七夕行事は7月7日ではなく、月遅れの8月7日か旧暦の8月上旬に行うべきと日記で主張するのが恒例となっております。その理由は、上述のように七夕の日は星が観られるように晴れていないと教育の場にならないのに、7月7日は梅雨真っ盛りで晴れる確率が低いためです。本来、七夕は旧暦の7月7日に行われておりましたので新暦では梅雨明け後の8月上旬になります。統計的にみると、晴れる確率は旧暦で約47%、新暦で約30%ですので晴れる旧暦で行えば確率は1.5倍になります。尚、七夕に降る雨を「洒涙雨(さいるいう)」といい、織姫と彦星が流す涙だと伝えられております。

地方によっては、七夕を旧暦で行ったり、月遅れの七夕と言って旧暦の7月7日に近い8月7日に行うところも有ります。当地方で最も盛大に行われる「安城の七夕祭り」は毎年8月の第1金曜日から3日間行われます。他にも旧暦で行う行事は残っております。例えば「中秋の名月」がそうです。旧暦の8月15日に相当する新暦の日に行われますので、今年は10月6日がその日になります。旧暦では毎月の15日が満月になりますので、旧暦で行なわないと意味がなくなるとの事情は有りますが、七夕にも同じように意味を持たせてもいいのではないでしょうか。


マーメード2号のイメージ図(堀江さんの公式サイトより)

原油の暴騰で、漁船の主燃料の重油価格は、この5年で約3倍、今年だけでも1.5倍に上昇し、操業コストに占める燃料費比率が3割を超える場合が多いことから、世界的に大問題になっております。夜、照明によって集魚する小型イカ釣り漁では、現状の相場価額では赤字になることから、6月18日に各地で一斉に休漁を行ないました。

そのような社会情勢下での堀江さんの燃料を一切使わない波力船の太平洋横断のニュースが飛び込んできたため、近海漁の漁船にこの波力船を使ったらと考えられた方も居られたことと思います。残念ながら、その考えは実用不可能です。その最大の理由は船の速さがあまりにも遅過ぎることにあります。今回の堀江さんの波力船のマーメード2号の平均速度は約3ノット(約5.6km/h)で歩行速度並みです。通常の漁船は15ノット程度ですからざっと1/5というノロノロ速度です。

近海漁の場合でも漁場に行くの数時間から半日程度は掛かりますので、往復に1日以上掛かることになり持ち運んだ氷は溶け、夜間航行に必要な夜間灯も不充分な上、荒天になれば横波回避の操船も出来ず危険極まりません。更には、網を引っ張ったり、上げ下ろしする動力が有りませんので一本釣り漁するしかなく充分な漁獲量を確保することはまず不可能です。

以上のことおから、漁船への応用は無理で、貨物船や客船への応用も航行時間と積載量の関係でやはり無理ですから、結局小さな船で経済性を一切追求しないレジャーボートぐらいしか応用できそうにありません。波の方向に垂直に進むことから帆走を併用させることは原理的に不可能ですので、ソーラー動力とペダル漕ぎを併用させながらのんびりと波静かな海上を航行するのに向いているように思います。ただ、あまりにも波静かですと波力が得られませんのでこれまた矛盾が生ずることになります。

にもかかわらずメディアが、このように実用性のない波力船を華々しく取り上げたのは、その実用化に対する期待ではなく、エコを徹底的に追求する堀江さんの心意気を讃えることで国民のエコへへの高揚を期待したからと思います。次の堀江さんの冒険を楽しみにしております。


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