我が輩は猫である

第1節:我が輩の名前の由来

我が輩は猫である。名前はchasukeと言う。 どこで生まれたかは知らない。でもその後の飼い主の話から察するに、名古屋と言う街のあるペットショップで生まれたらしい。そしてそのペットショップで我が輩を買ったのが現在の飼い主の長女で、chasukeと言う名前も彼女が付けたことも判った。彼女が我が輩を買ってくれたことには感謝するが、その後の我が輩に対する彼女の応対には腹の立つことが多いが、それはまた追々話すことにする。

我が輩の先祖は、戦火が漸く収まったアフガニスタンの山岳地帯に住んでいたことまでは知っているが、そのどうなったかは判らない。ついこの間までテレビで山岳地帯が米軍の報復攻撃を受けていたので心配はしていた。その昔ヨーロッパのキリスト教徒たちがローマ法王の命により異教徒のイスラム教徒を排除するために十字軍の名のもとでペルシャに攻め込んだ時に、恐ろしい伝染病を媒介するネズミを退治させるために我が輩の祖先をヨーロッパに持ち帰ったと言うが本当のところは我が輩にも判らない。

大体、人間どもの我ら猫族に対する認識の悪さには呆れるものがある。あんな不味いネズミを我々猫様が好んで食べるとでも思っているのだろうか。我が先祖がその昔、山や林の中で住んでいた時、捕まえやすかったのが野ネズミだっただけのことで人間どもが食べるものの方が美味いに決まってるさ。今時の猫なんてネズミを捕まえるどころか逆に怖がって逃げ出すとその後仲間の野良猫に聞いたことがある。

ところで、我が輩の名前のchasukeがどうも気に入らない。我が輩がこの家に来て数日経ったある日、買い主の長女が我が輩を病院に連れて行ったのだ。ここで生涯忘れることの出来ない屈辱と苦痛を受けた挙げ句、看護婦さんに「患者さんのお名前はと言われて「鈴木茶助」と書いたために、この変な名前まで付けられてしまったのだ。この日のことは次回に話すことにしよう。
我が輩は猫である

第2節:人間どもの勝手な論理

我々、猫族に限らず殆どの動物には縄張り意識が有る。自分たちが生活するところを邪魔されたくないのは人間どもも同じだ。人間たちの世界ではそうした場所の権利が法律で保証されているからいいのだが、我々動物の世界ではそんなものは無いから、どうしても境界線をはっきりさせておく必要がある。

人間みたいに、柵を建てたり、看板を付けたり、ペンキで線引きしたりすることなんか出来るわけないから、犬どもがやるようにオシッコをかけて匂いを付けるしか方法がないが、猫族の場合はオシッコの匂いだけじゃ直ぐ消えちゃうんでちょいと特殊な香料を混ぜるんだがこれが今回の我が輩の悲劇に繋がってしまった。

もともと、この香料は雌猫の彼女を引き付ける効果も有るので、雄猫には「あっちにいけ」、雌猫には「こっちにおいで」と二つの目的を果たしてくれる大切なものなんだが、これが人間どもには臭くてたまらんらしい。大体、人間どもの臭覚は下等でイタチの屁とこの香料の区別が出来ないとは情けないものだ。

我々、猫族は生まれて半年以上経つと最初の発情期を迎えるが、雄猫はそこでこの香料入りのオシッコをする。 すると人間どもはこれをスプレーと言ってスプレーされると数日間は臭くて消えないからと言って毛嫌いするのだ。 そして、この香料が雄猫の生殖器で作られることに目を付けて生殖器を切除、つまり人間どもの「タマヌキ」をすることをある口実を付けてそうすることが猫のためにもなると勝手なことを言っている。

その口実とは、飼い猫でも交尾することで飼われない猫が増えて野良化し、野良猫同志の交尾で益々増えていくからまず雄猫の去勢つまりタマヌキは雌猫の避妊とともに猫と人間が共存するために必要だからと言うのだ。それなら雌猫の避妊だけで済むのではないか。敢えて去勢まで強要するのはスプレー防止が本音ではないかと憤慨もしたが買い主の長女が我が輩を抱き上げて「ごめんね、痛くないからね」と涙ながらに慰めたてくれたので少し気持ちが和らぎ去勢手術を受ける覚悟が出来た。

この家に来てから半年ぐらい経過したある日の夕方、籐籠に入れられて長女とその母親に付き添われて近くの病院に連れて行かれた。受付の女性に「猫ちゃんのお名前をここにお書き下さい」と言われて、長女は「鈴木茶助」と書いた。 受付の女性が「チャスケちゃんですね。」と言うと長女はちょっと戸惑っていたが「はい、「そうです」と答えた。こうして我が輩の名前が決まったんである。

長女が少し戸惑ったのは「茶助」の発音を「サスケ」と考えていたらしい。我が輩にとってはどちらでもいいのだが、スケが助平に通ずるのでいずれにしても不満である。だから、後になって我が輩の主人、つまりこのサイトの管理者が「chasuke」とローマ字にして、自分のハンドルネームにしてくれたので助平への連想が弱まって良かったと思っている。

そして手術室に運ばれる前に別の女の人が我が輩のチンチンの周りの毛をハサミで刈り取った。仔猫とは言っても多毛種であるから結構毛は多い。やがて刈り取りが終わると、首、両手、両足を通すジャケットのようなものを着せられた。ボタンを賭けられると全く身動き出来ない。チンチンのところだけは丸い穴が空いているのでここからメスでタマヌキするのだなと思っていたら、男の先生が現れた。

恐怖が全身に走った。我が輩は主人以外、男は怖いのである。生まれて、すぐに調教されたがその調教師が男であった。彼は我が輩が指定外のところで便をすると頭を殴った。その恐怖心が幼心にこびりついて男性恐怖症になってしまったのである。その代わり女の人が食事の世話をしてくれたので、女の人には恐怖心は湧かない。我が輩が男だからと言うわけではない。これだけは言っておく。その恐ろしい男からタマを抜かれると思うと猛烈な恐怖心に襲われ頭が真っ白になってしまった。その恐怖の体験は次回に話すことにしよう。

                                     
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