−日記帳(N0.2193)2020年04月27日−
新型コロナウイルスについて学習
−日記帳(N0.2194) 2020年05月01日−
新型コロナウイルス感染症について政府の専門家会議開催


コロナウイルスの電子顕微鏡によるイメージ図

尾身茂 自治医科大学教授


このところ、ニュースは新型コロナウイルス(以降、コロナと略称)一色です。
幸い、私を含め、家族、近所、友人、親類などで感染者は居りません。
ここで、コロナについて学習して感染防止を心がけたいと思います。

・R0(基本生産回数)について):
インフルエンザウイルスは動けますが、コロナは動けません。
宿主の人が家に閉じ籠るとコロナは何も出来ないので人を動かせるべく巧妙な罠を仕掛けます。
感染させた宿主の中で抵抗力の強い若い人たちにの症状を軽くして自分が感染したことを気付
かせないようにさせて彼らを元気に動き回らせます。

元気な彼らが、くしゃみ、咳、唾させて拡散(飛沫感染)したり、飛沫感染で付着した部分に接触
する(接触感染)ことで、一人の感染者が他の人に感染を拡散させていきます。
一人の感染者が感染させる得る人数には限りが有り、一人以上、三人以下です。

R0(基本生産回数)が一人が感染させ得る数値で、RO>1なら感染者は増え続け、RO=1なら増えも減る
もせず、 RO<1なら減り続けます。WHOは世界のR0を1.4〜2.5と推定しております。
感染が進行している場合は、R0は実効生産回数として区別して採用されます。
尚、3/21〜3/30に於ける東京都でのR0は1.7で極めて深刻な状態に在りました。
(註: その後改善が進み、5/1時点で0.5まで驚異的改善が実施されております)

・集団免疫率について):
R0が重要なのは、R0から「集団免疫率」を計算できることにあります。
人間は感染すると、回復過程でそのウイルスに対する免疫を獲得します。
集団が免疫を獲得すると感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護するようになります。
このを機能を「集団免疫」、人口に対する免疫保有者の割合を「集団免疫率」と呼びます。

集団免疫率は、最終的に人口の何%が感染すると、感染拡大が終息に向かうかの目安になります。
日本での集団免疫率は、仮に、R0を1.4〜2.5とするWHO公表の最小値の1.4を採用して算出すると
集団免疫率=(1-1/R0)×100=(1-1/1.41)×100≒29(%)
つまり、約3,000万人が感染すれば、集団免疫で日本での感染拡大が終息に向かうことになります。

・感染者の致死率:
このうち、死に関わる深刻な病状に至るのはどの程度でしょうか。
その一つの指標が致死率については、中国の分析事例によると、感染の患者数(44,6724人)のうち
「軽症」「重症」「重篤」の割合は「軽症」が約81%(36,160人)「重症」が約14%(6,168人)
「重篤」が約5%(2,087人)であったと報告されております。

「重篤」(2,087人)のうち死亡者数は1,023人であり,重篤に陥ると約49%(=1023人÷2087人)
の確率で死亡することを意味しております。
軽症以外の2割(重症や重篤の合計8,255人)のうち約12%が死亡(致死率=2.3%)しております。

新型コロナウイルス感染症対策本部の資料(「新型に関連した感染症の現状と対策」(2020年3月10日)
によると世界の患者数108,482名のうち死亡者数は3,819名で、このデータからの簡易試算では,
感染した場合の致死率は約3.5%となります。

また,3/15付けの厚労省HP「新型コロナウイルス感染症について」の「国内の発生状況」
によると,PCR検査陽性者777名のうち死亡者は22名で、致死率は約2.8%となってます。
つまり、コロナ感染者の約3%が死亡されているこになります。
従って、コロナによる日本での致死率は凡そ3%と考えてよいと思われます。

・日本での感染の状況:
日本では、PCR検査が韓国や欧米のように正確に実施されていないと言われております。
そのことを踏まえた上でデータを引用させて頂きます。

各国の感染者数の経時変化の様子

飛びぬけて日本が少なく米国が多いこと、中国と韓国(この図では表示されてない)が終息していること、
欧州では、英国とドイツは終息しつつあるが、米国、フランス、スペイン、イタリアそして最近急増し
始めたロシアで終息の気配が見られないことが懸念されます。
死者は、世界全体で22万4708人で、国別では,米国59392人 イタリア27,682人 ギリス26,097人 
スペイン24,275人 フランス23,660人等。

・何故、日本では感染者数が少ないのでしょうか:
PCR検査が少ないことを配慮しても、今日時点での13,852人は米国の約1/80で少な過ぎます。
過去に感染していたか否かを調べる抗体検査が久住英二医師から報告されております。

その結果に因れば、一般市民147人の4.8%の7人が陽性、医療従事者55人のうち9.1%の5人が陽性で、
市民・医療従事者を合計した202人では5.9%の12人(男女とも6人)が感染していたことになります。
日本全体に換算すると、全国でほぼ600万人が感染していたことになります。

幸いにも、日本人は特有の抗体を持っているため、多くの方々は陽性を示していないだけで、たまたま
今日時点での13,852人が陽性として発表されておりますが、以上の事情で実際は、その何倍、あるいは
何十倍もの陽性者が居るものと思われます。

日本人に感染者が少ない理由は、この抗体だけでしょうか。
それ以外に、次の習慣がその理由になっていると思います。

・身体を清潔にしていること:
殆どの方々は毎日入浴して清潔を保ちます。
外国には、シャンプーの習慣は有りますが全身を洗い清める習慣は無いように思われます。

・身体を接しあうような挨拶行為は滅多に行わない:
殆どは、お辞儀か握手で済まされ、キスしたりハグする行為は極めて少ない。

・居住空間に土足のまま入り込むことは極めて少ない:
履物を脱いで入るため、家内に屋外の異物が持ち込まれることは滅多にない。
尚、参考までに次のデータを追加させて頂きます。

各国の感染者数の経時変化の様子

感染の増減が正規分布に従う場合のモデル図

新型コロナウイルス感染症についての政府の専門家会議が1日、開催されました。
政府の専門家会議は、市民の大幅な行動変容が行われ、爆発的な感染者の拡大オーバーシュート
を免れたとする一方、 再度蔓延した場合には、徹底した行動変容をあらかじめ覚悟しておく必要
があるとの提言をまとめました。

政府の専門家会議の分析・提言では、新規の感染者数が減少傾向に転じる一定の成果が現れ、
オーバーシュートを免れたとしている一方、緊急事態宣言の期限となる今月6日までの残り
1週間は、引き続き徹底した行動変容を行い、接触機会の低減や重症者、死亡者の増加を防
ぐための医療提供体制の拡充を進めることが必要としております。

また5月7日以降も感染状況が厳しい地域では、徹底した行動変容が必要とされ、新規の感染者数が限定的
となった地域でも長丁場に備え新しい生活様式の定着が求められるとしております。
「爆発的な感染拡大を免れ、新規感染者数は減少傾向に転じている」と評価しながらも、外出自粛
や休業の要請を緩めると再び感染が拡大する恐れがあり、要請を続けるべきと提言しました。

実効再生産数は、3月25日の時点の2から、先月10日には1を下回り、0.71となったことから、感染が
収まりつつあると評価しました。尚、東京では0.53で、自粛の成果が明確に認められました。
全国的にみると、東京に比べて地方では、感染の収まるスピードが鈍いと指摘しました。

 一方、人との接触を8割減らす取り組みについては、1月と先月を比較すると、10代や20代では大幅に
接触を減らしたものの30代以上では減り幅が少なくテレワークなどの推進が課題とと指摘しました。
外出自粛などを解除する条件については、新規の感染者数が一定の数まで下がることと、地域ごとの医療
提供の体制ができていることを挙げました。 


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