−日記帳(N0.681)2003年01月06日−−日記帳(N0.682)2003年10月07日−
治療ミス防止にISO規格導入 車の昼間点灯運動に思うこと

最近、治療ミスが目立って増えてきたように思います。医療ミスには、看護師などの医療従事者の不注意によるミスと医師の判断・処置ミスが有ると思います。後者は医師自身の経験・技量によりますのでその防止は容易ではありませんが、前者はその殆どが単純な不注意によるものですのでその防止は可能と思います。

その防止対策に、私はかねてより ISO 9000国際品質保証規格の導入が有効と考え、ことある毎に訴えてきましたが、まだあまり認知されていないようで残念です。そこで、今日はどうして有効かについて持論を披露してみたいと思います。賛同して頂ける方や病院関係者の方々のご意見を賜れば幸いに存じます。

この規格は同じ品質の製品やサ−ビスを作ってユーザーに確実に提供するシステムです。製品の場合は原材料の購入、在庫、倉出しに始まって製造、組立、検査、出荷に到る全工程について各工程で間違いなく次工程に送るのに何をし、間違いないことをどうやって検証するかを定め、これをマニュアルとして文章化し、全体の流れをQC工程表としてまとめ定期的に第三者によて監査します。

病院の場合、この製品に相当するのが、例えば点滴、輸血、給食、X線、CTスキャン、MRI、内視鏡検査等の各種検査、全身麻酔による外科手術、局部麻酔による外科手術等の各種手術等の行動ですから、この行動単位にQC工程表を作ることになります。

そして、これらの行動に関与する関連部署の責任者、責任・権限を文書化して明確にし、これらの関連部署がQC工程表でどのような役割を果たすかの関係をマトリックスにして、品質マニュアルを作成し、これがいわば病院の憲法的存在になります。そして、この品質マニュアルの基づいて関連部署の監査を行い必要に応じて是正することになります。

異常発生時の処置、その履歴追求システム、使用禁止品(不良品)の識別等がこの規格の特徴で、最近は物作りだけでなく、学校、美容院、銀行等のサービス業界でもこの規格を取得するところが増えてきました。日本の自動車、電機、薬品、化学、建設の大手は殆どこの規格を取得しており、中には購入条件としてこの資格取得を要求するケースも有り、今や従業員数人の零細企業でも取得するなど裾が広がってきております。

人の命を預かる医療の世界でもきっと医療ミス防止の有効な手段になるものと信じております。

この10月に入ってから、タクシー、バス、トラック等の営業車などに昼間点灯している車が目立って増えてきたような気がします。警察は事故防止のために、特にこれらの営業車に昼間点灯を呼びかけているためと思われますが、本当に効果が有るのでしょうか。

警察は昼間点灯によって、事故が20%程減少するとPRしておりますが、これは昼間点灯車両がまだ少ないので、点灯車両が際だって目立つため効果が有りますが、もし全車両が昼間点灯したら目立たなくなってその効果が減少するような気がしてならないのです。

現在、バイクなどの二輪車は昼間点灯が義務付けられておりますが、これは4輪車が昼間点灯していないことが前提になっているように思われます。もし全車両が昼間点灯したら二輪車の昼間点灯は殆どその意味が失われることになると思われます。

このように、ある物を目立たせることは周囲との相対比較が条件であって、昼間点灯の場合も全車両が昼間点灯したら夜間点灯と全く同じことになり、その意味を失うのは至極当然と思えるのですが間違いでしょうか。 むしろ、昼間点灯により、バッテリー、ランプの消耗、燃費の低下などのマイナス面が大きくなって、環境保全、省エネに反することになるようにさえ思えるのです。

そこで、業界ではこうしたデメリットを解消するためにLEDを使った専用ランプが開発されておりますが、確かにこのデメリットは大幅に解消されるでしょうが、肝心の事故防止効果は間違いなく低下すると思われます。特に余分にガソリンを消費することによる二酸化炭素の増大が京都議定書で定められた二酸化炭素排出量の削減に反し、国家的見地からも問題になるものと思われます。

そこで、燃費が悪くなった分、どれだけガソリンが余分に使われるかを、ここでケーススタディにより例証してみたいと思います。前提条件は次のとおりです。

1.対象車両数=7,733万両(2003年7月末現在
2.ランプの電力=180W/両(12V車(160W)、24V車(180W)の中間)
3.ランプのガソリン消費量=0.2リットル/180W・h・両
4.昼間点灯時間=600h/年 (以下の仮定による)
    (2h/日)× (25日/月)×(12月/年)=600h/年

・ガソリン総使用量=(600h/年)×180W×7,733万両×
   0.2リットル/180W・h・両=92.8億リットル/年=4,640万ドラム缶

つまり、日本人の3人に1人が1年間に20リットル入りのドラム缶1缶を昼間点灯のために使い、その費用は2万円になり、日本全体では9,280億円にも達します。しかも当然、二酸化炭素も発生し、京都議定書の削減目標を達成するためには他の面でその代償を求められることになります。果たして、これまでの代償を払ってまでも昼間点灯する意味が本当に有るのでしょうか。もっと精確にその効果を検証して欲しいものです。


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