雑感記・第34章:大リーグ特集

大リーグ物語(発祥の歴史) 大リーグ゙物語(増設の歴史)


米国で野球が盛んになったのは、1860年代初頭の南北戦争の頃と言われます。長きに渡る内戦の過程で、兵士たちが各地で余暇に野球を行い、捕虜のレクリエーションとしてもゲームが行われて徐々に全国に広がっていきました。その後、数々の野球チームが誕生したものの、野球は職業とすべきでないという風潮があり、プロチームは1869年のシンシナティ・レッドストッキングス結成まで誕生しませんでした。

このMLB最初のプロチームのシンシナティ・レッドストッキングスは全米で遠征試合を行い、同年、130連勝という記録を打ち立てたましたが、まだプロリーグが結成されていなかったため、このように不特定多数の各地のチームと転戦するしかありませんでした。1871年に、このシンシナティ・レッドストッキングスを中心にその他数チームで「ナショナル・アソシエーション」が結成され、これが母体になって「ナショナルリーグ」が発足しました。このリーグには次の8球団が参加しました。

・シンシナティ・レッドストッキングス(現在のシンシナティ・レッズ)
・ボストン・レッドキャップス(現在のアトランタ・ブレーヴス)
・シカゴ・ホワイトストッキングス(現在のシカゴ・カブス)
・セントルイス・ブラウンストッキングス(現在のセントルイス・カージナルス)
・フィラデルフィア・アスレティックス(1年で解散、他チームがフィリーズに)
・ニューヨーク・ミューチュアルズ(途中解散)
・ハートフォード・ダークブルーズ(途中解散
・ルイビス・グレーズ(途中解散

シンシナティ・レッドストッキングスは、1年目は9勝56敗という散々な成績でリーグ最下位に終わり、そして1880年、球場内でビールを売ってリーグ規約をたびたび破るということがあり、リーグから除名されてしまいました。そこで、1882年、後のアメリカンリーグの母体となったアメリカンアソシエーションが創立されたのを機に、シンシナティ・レッドストッキングスはこちらに参加しました。

最初は6チームでスタートしたこのリーグの初年度の優勝チームがレッドストッキングスで、この年、ナショナルリーグを制したホワイトストッキングスとレッドストッキングスがシーズンオフに戦っており、これがメジャー初のポストシーズンであり、これが後のワールドシリーズに繋がることになります。尚、両チームは2試合を戦い分け合いました。このアメリカン・アソシエーションを母体として1901年に、「アメリカン・リーグ」が創設され、次の8チームが参加し、現在のアメリカンリーグの原型となりました。

・ボルチモア・オリオールズ(現在のニューヨーク・ヤンキース)
・ボストン・サマーセッツ(現在のボストン・レッドソックス)
・シカゴ・ホワイトソックス(現在のシカゴ・ホワイトソックス)
・クリーブランド・ブルーズ(現在のクリーヴランド・インディアンズ)
・デトロイト・タイガース(現在のデトロイト・タイガース)
・ミルウォーキー・ブリュワーズ(現在のボルチモア・オリオールズ)
・フィラデルフィア・アスレチックス(現在のオークランド・アスレチックス)
・ワシントン・セネターズ(現在のミネシタ・ツインズ)

創設当初は、現在のニューヨーク・ヤンキースがボルチモア・オリオールズ、現在のルチモア・オリオールズがミルウォーキー・ブリュワーズ、現在のミネシタ・ツインズがワシントン・セネターズとそれぞれ名乗っていたことは案外知られてれていないようです。こうしてそれぞれ8チームからなる、ナショナル、アメリカン両リーグの体制が 1961年のエクスパンション(拡張)まで60年間に渡って続くことになります。   

1901年にア・リーグ、ナ・リーグの8チーム体制が整い、1903年には第1回のワールドシリ−ズが開催され、現在のボストン・レッドソックスが優勝しました。そして、この体制は1960年まで続きましたが、ナ・リーグの発足当初の、ニューヨーク・ミューチュアルズ、ハートフォード・ダークブルーズ、ルイビス・グレーズの3チームだけは、この間に解散して次の3チームが名前を変えて参画しました。

・1883年、ニューヨーク・ゴーサムス(現在のサンフランシスコ・ジャイアンツ)
・1887年、ピッツバーグ・アレゲーニーズ(現在のピッツバーグ・パイレーツ)
・1890年、ブルックリン・ブライドグルームス(現在のロサンゼルス・ドジャース)

1961年に、テキサス・レンジャーズ、アナハイム・エンジェルスの2チームがアメリカンリーグに、翌1962年には ヒューストン・アストロズ、ニューヨーク・メッツがナショナルリーグにそれぞれ参加した結果、両リーグは10チーム体制になりました。

そして、1969年にはカンザスシティ・ロイヤルズ、ミルウォーキー・ブリュワーズの2チームがアメリカンリーグ、サンディエゴ・パドレス、モントリオール・エクスポズがナショナルリーグにそれぞれ参加した結果、両リーグは12チーム体制になり、チーム数が多くなりすぎたためそれぞれ次のように東西2地区に分かれました。

ナショナルリーグ(東地区)
モントリオール・エクスポズ
ニューヨーク・メッツ
フィラデルフィア・フィリーズ
ピッツバーグ・パイレーツ
セントルイス・カーディナルス
シンシナティ・レッズ

ナショナルリーグ(西地区)
シカゴ・カブス
アトランタ・ブレーヴス
サンフランシスコ・ジャイアンツ
ロサンジェルス・ドジャース
サンディエゴ・パドレス
ヒューストン・アストロズ

アメリカンリーグ(東地区)
テキサス・レンジャーズ
アナハイム・エンジェルス
カンザスシティ・ロイヤルズ
ミネソタ・ツインズ
オークランド・アスレティックス
ミルウォーキー・ブリュワーズ

アメリカンリーグ(西地区)
ボルティモア・オリオールズ
ボストン・レッドソックス
シカゴ・ホワイトソックス
デトロイト・タイガース
ニューヨーク・ヤンキース
クリーヴランド・インディアンズ

そして、1977年にシアトル・マリナーズがアメリカンリーグ、トロント・ブルージェイズがナショナルリーグに参加した結果、アメリカンリーグ13チーム、ナショナルリーグ15チームの計28チームになったところで、東・西2地区制から中地区を設けて、現在の東・中・西3地区制に移行しました。更に、1993年にはコロラド・ロッキーズ、フロリダ・マーリンズがナショナル・リーグに参加し、1998年にはタンバベイ・デヴィルレイズがアメリカンリーグに、アリゾナ・ダイアモンドバックスがナショナルリーグに参加して現在の状態に到っております。


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