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2003年セ・リーグ総括 星野監督の勇退に思う

セ・リーグは、一昨日16日に全日程が終了しましたので、その順位とチーム別の打率、防御率、本塁打を下表(1)にまとめてみました。

     (1)最終セ・リーグ順位とチーム別成績表

順位   チーム   試合数 勝 負  打率  本塁打  防御率
 1   阪  神    140  87 51 .287(1)  141(5)  3.53(1)
 2   中  日    140  73 66 .268(3)  137(6)  3.80(2)
 3    巨  人   140  71 66 .262(4)   205(1)  4.43(5)
 3   ヤクルト    140  71 66 .283(2)  159(3)  4.12(3)
 5   広  島    140  67 71 .259(5)  153(4)  4.23(4)
 6   横  浜   140  45 94 .258(6)  192(2)  4.80(6)

各チームの防御率、打率、本塁打の成績を基に、例によってchasuke式順位算出式により妥当な順位を算出したところ、下表の結果が得られました。

     (2)評価点から算出される順位

順位  チーム      打率  防御率 本塁打  評価点
 1   阪  神    1.6×1.4+1.6×1.2+1.2×1.0 = 5.36
 2   ヤクルト    1.5×1.4+1.4×1.2+1.3×1.0 = 5.08
 3   巨  人    1.3×1.4+1.2×1.2+1.6×1.0 = 4.86
 3   中  日    1.4×1.4+1.5×1.2+1.1×1.0 = 4.86
 5   広  島    1.2×1.4+1.3×1.2+1.3×1.0 = 4.54
 6   横  浜    1.1×1.4+1.1×1.2+1.5×1.0 = 4.36

阪神のダントツ、横浜のダンペコは当然として、ヤクルト、巨人、中日の3チームは予想通り大差ないものの、本来ならヤクルト2位が順当なのに、中日が2位に食い込んでいるのは、山田監督解任後の頑張りに較べて、ヤクルトが横浜、広島を相手に痛い星を落として、巨人と同率3位となった挙げ句、同率の場合は前年の上位チームが優先するとのルールにより開幕権まで落としたのは意外でした。

各チームがどのチームから貯金を頂いているかを、対戦カードの勝敗表で調べてみると次のようになりました。 

     阪神 中日 巨人 ヤクルト 広島 横浜  計
阪神    *  -2   +7   +5  +10  +16 +36
中日    +2   *   0    0   -4   +9  +7
巨人    -7   0   *    +1   +3   +8  +5
ヤクルト   -5   0   -1   *   +3  +8  +5
広島   -10  +4   -3   -3   *  +8  -4
横浜   -16  -9   -8   -8   -8   *  49

     阪神は弱いところから徹底的に取りまくり、特に横浜からは40%以上も取っている反面、2位の中日には唯一負け越すと言う効率の良さが目立っております。中日は逆に下位の広島に唯一負け越していますが上位には負け越していないと言う効率の悪さが目立ちます。巨人とヤクルトは、下位で貯金して阪神に吐き出すと言う、阪神と同じタイプながら貯金の額が少なすぎました。横浜は万遍なく大盤振る舞いして大赤字で阪神優勝に大きく貢献しました。広島は横浜のミニ版のような存在でしたが、中日に僅少さで勝って貯金できたところで横浜との違いがでました。

こうしたデータから各チームの来期の課題が見え隠れしてくるように思われます。 阪神は岡田新監督の采配如何、中日は新4番の育成、巨人は中継ぎ、押さえの確立、ヤクルトは先発投手陣の整備、広島はクリーンアップの若返りによる打撃陣の強化、横浜は先発投手陣の確保と一発に頼らない打撃陣の整備がそれぞれ課題となります。

我が中日に限って言及するならば、左右の両エースを欠いての防御率第二位は立派で、もしこの二人と川崎が完全復帰して大塚が残留したら、投手力は12球団トップとなります。問題は新4番の確保につきます。落合新 監督は、瀬間仲ノルベルト、高橋光信を候補に考えているようですが、まず無理と思われます。近鉄退団濃厚のローズ獲得が鍵のように思います。

そこで敢えて言いたいと思います。 この中日の成績で、何で監督が解任されるのか。山田前監督も藤井総裁と同じような心境だろうと思います。

西武の松井選手が茶髪で話題を集めていた時のことでした。茶嫌いの私は、もし中日の選手が茶髪にしたら 、当時中日の監督だった星野監督はどう対処するかに興味が有って、直接星野監督に伺ってみたことが有りました。と言っても、直接ご本人と対話したのではなく、インターネットを通しての質問に答えて頂いたのでした。

星野監督は、野球の監督としては早い時期から、「星野戦記」と言うタイトルのホームページを開設し、ファンとの交流を計って居られました。最近でこそ、芸能人、政治家、スポーツ選手がホームページを開設するのは珍しくなくなりましたが、当時としては珍しいことでした。また、彼等の場合、開設してもたまにしかメインテしないのが普通なのですが、星野監督は毎日、更新されていたのです。

それも、シ−ズン中は勝っても、負けても毎日、自ら戦記をアップし、週に1回はファンの複数の質問に答えると言うハードな更新活動でしたから大変だったと思います。ファンを大切にする星野監督ならではのことで、こんなことをされる監督はまず居られないことと思います。

たまたま、私の質問を採用して下さった星野監督は、「結果さえ出してくれるなら髪の色には拘らない、でも自分の娘が茶髪にしたら嫌だね・・・・。」とさらりとかわされました。そう言えば、一昨年近鉄の茶髪で有名な中村紀洋選手がFA宣言した時、巨人の渡辺オーナーは、茶髪の選手はダメと牽制したのに対して星野監督は、茶髪でもOKの意志表示をされたことを思い出します。

その星野監督には、何故か不幸が付きまとうようです。小さい頃、父を亡くし、7年前に最愛の妻を白血病で亡くし、5年前には出生届を出した翌日に初孫を突然死で亡くし、そして優勝を決めた2日前に、女手ひとつで育ててくれた母を肺炎で亡くし、そして自らも高血圧、不整脈、糖尿病、胃潰瘍の病魔と戦い、以前車に追突されて 頚椎捻挫になった頸部に飛行機の中で頭上から荷物が落ちて当たって悪化し手術によりチタンボルトを2本埋め込むなど、不幸が続いております。

テレビ画面を通して、星野監督が吐き気をもようして手で口を押さえるシーンがを一度見掛けました。そして、今年、7月27日のナゴヤドームでの中日戦ではしばらくの間星野監督の姿がベンチから消えると言うハプニングが有りましたので何か有ったなとは思っていました。実は、この時は血圧が180に達し、気分が悪くなってトレーナー室のベッドに横たわっていたのだそうです。多分、この時に今期限りでの引退を決意したものと思われます。

星野監督のまわりにはお医者さんが多く居られます。東京には親友で主治医が居り、二人の娘さんはいずれもお医者さんに嫁いでおり、この3人の医師からは引退を奨められ、娘さんたちからも引退を再三に渡って迫られていたとのことですから、引退の決意は堅かったものと思われます。

10月2日に星野監督は、久万俊二郎オーナー(82)を訪ねて、この決意を伝え再三の慰留やGM要請も断って引退を認められたとのことですが、何故か極秘のはずのこの件が漏れて「フライデー」にすっぱ抜かれて、星野監督としては不本意にも、日本シリーズ開幕を控えての勇退劇を演ずることになってしまいました。

星野監督が敢えてこの時期に引退の決意をオーナーに伝えたのは、球団側に1日でも多く後事を託すに当たって準備する時間を与えたかったからで、監督として当然の行動と思います。後任監督としても、秋期練習までにコーチなどの人事を行う必要が有りますので早い時期に知らされた方がやりやすいはずです。

今年の阪神の優勝は、真の実力によるものとは到底考えられません。ライバルの巨人、中日での主力選手の相次ぐ故障や内輪もめによって優勝戦線からの離脱に加え、星野監督の求心力で、たまたま一流から1.5流程度の選手が一流を飛び越えて超一流の活躍をしたに過ぎず、これが来年も継続する確率は極めて小さく、有る意味で奇跡に近い今年の優勝だったと思います。

その意味で、星野監督が今期で引退するのは絶好のタイミングになるはずで、後任監督はやり辛くなる上、星野監督がトレードした選手たちが大活躍している事実(日本ハム移籍の坪井は打率.336で打撃成績5位、伊達も日本ハムのストッパー、オリックスに移籍した塩谷は打率.322で9位、自由契約になった星野、トレードで放出された北川も近鉄では欠かせない存在、西武・平尾、高波、ヤクルト・成本らも持ち味を出して活躍)がクローズアップされる反面、星野監督の求心力で踊らされた外部からのトレード組の不振がやり玉に上がって、中日と同様の星野後遺症がはこびる恐れが有ると思います。そして、阪神がダメドラに戻るか否かは巨人、中日の建て直し如何にかかっております。


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