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H2Aロケット打ち上げ失敗 ロスタイムでの4チームに悲喜劇

小さい頃、憧れの人の一人に糸川教授がおりました。この頃、とにかく水、陸、空を駈ける乗り物が好きでした。中でも東大生産技術研究所の糸川英夫教授が開発した、直径13ミリ、全長230ミリという玩具のようなペンシルロケットに興味を持ち、手製のロケットを作って打ち上げ遊びを家の庭でよくやったものでした。

その作り方は簡単で、ロケットの形をしたアルミ製の鉛筆の蓋の中にマッチ棒の頭の火薬をほぐして詰めてからペンチでお尻を閉じれば完成です。これを台の上に斜めに置いてお尻を火であぶると中の火薬が発火し、その燃焼ガスがお尻から一気に吹き出るため勢いよく鉛筆の蓋が飛んでいくのでその飛行距離を争って遊んだものでした。

このペンシルロケットはやがて、文部科学省の宇宙科学研究所(ISAS)に引き継がれて、M5の開発に繋がっていきました。M5は高度250キロの低軌道に1.8トンの衛星を運ぶ固形燃料型の中型ロケットで、 ペンシルからベビー、カッパ、ラムダ、M(ミュー)と発展し、ラムダ4S5号機が1970年2月、中国より2ヶ月先行し、日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功し、日本は旧ソ連、アメリカ、フランスに次いで世界4番目の衛星打ち上げ国になることに貢献したのでした。

一方、この文部科学省のロケット開発に対抗するかのように、科学技術庁は1963年から1965年度にかけて宇宙開発推進本部を発足させ、防衛庁新島試験場を利用してロケット実験を開始したのを契機に本格的にロケットの開発に着手し、やがて特殊法人・宇宙開発事業団(NASDA)に発展すると、宇宙科学研究所の固体燃料ではなく米国・NASAの支援を得て液体燃料による、高度36000キロの静止軌道に2トンの衛星を運べる大型ロケットH2の開発を進めました。

この結果、日本には、文部科学省所管の宇宙科学研究所による固体燃料ロケット、科学技術庁所管の宇宙開発事業団による液体燃料ロケットと、二つの宇宙開発機関が存在することになっても問題となり結局、当時の中曽根首相により、宇宙科学研究所は観測業務、宇宙開発推進本部の方は実用業務という線引きがなされ、またロケットサイズについても、宇宙航空研究所のものは直径1.4メートル以下と規定されました。

従って、宇宙科学研究所は鹿児島県・内之浦で主に火星、金星、小惑星等の探査ロケット、宇宙開発事業団は鹿児島県・種子島で主に人工衛星打ち上げ用ロケットを発射するするようになりました。しかし、それでも重複する分野が有ることから、小泉内閣の民営・統合化の方針に沿って、もう一つの宇宙開発機関である航空宇宙技術研究所(NAL:ロケットよりも航空機エンジン開発が主体)も含めて、本年10月1日から統合されて、宇宙航空研究開発機構(JAXA:Japan A erospace Exproration Agency)として新発足しました。

今日はその統合後初のH2Aロケット6号機の打ち上げが行われました。このロケットには、地上の建物や車両などを1uまで識別できる光学センサー衛星1基と、悪天候でも3uまで識別できる合成開口レーダー衛星1基のペアからなる、地球のどこでも一日一回撮影できる偵察衛星2基が搭載されておりました。 今年3月にH2Aロケット5号機で打ち上げられた同型のペア2基が午前、今回の2基が午後の撮影を分担することになっておりました。

ところが、大型補助ロケットを分離できず、約10分後に地上からの指令で爆破され、打ち上げは失敗しました。 この種の大型ロケットは本体ロケットの液体燃料だけでは推進力が不足するので、本体ロケットに2本の固体燃料の補助ロケットを取り付け所定の高度に達すると火薬の爆発力で固定金具を破壊して切り離して本体ロケットを身軽にして上昇させ、軌道に達してから本体ロケットも切り離して海上に落下させる方式を採っております。

今回はその2本目の補助ロケットが何らかの不具合が発生して切り離せなかったため、本体ロケットは推力が不足した上バランスが崩れて軌道に乗らないままいずれ失速して予め予定していて本体ロケットの落下地域以外の外国領土を含む地域に落下して危険を及ぼす恐れが出てきたため空中で爆破したわけです。

この失敗によって約1000億円が無駄になり、前回打ち上げ分の2基の衛星だけで偵察するため、目標の午前、午後1回づつの撮影が出来なくなったことで、北朝鮮等の軍事施設を偵察する精度向上が期待出来ず米国の支援を受けざるを得なくなったことは残念です。


昨日は、サッカーファン、ロケットファンの私にとって辛い土曜日になってしまいました。首位磐田、二位鹿島、三位横浜、四位市原の4チームの勝敗表は下表のようになっており、いずれのチームにも優勝のチャンスが残されている状態で、Jリーグ後期最終戦が昨日行われました。そして、ロスタイムでの攻防により3チームが同じ勝ち点となり、得失点差で優勝が決まると言うJ1史上希にみる大混戦となりました。


順位チーム勝ち点得失点差
磐田26
鹿島25
横浜23
市原23

磐田は勝てば無条件に優勝、磐田が横浜に負けるか引き分けた場合は大変ややこしいことになります。まず引き分けた場合は鹿島が勝てば鹿島と磐田が勝ち点27で並びますので得失点差で磐田か鹿島が優勝します。つまり鹿島が2点差以下で勝った場合は磐田、3点差以上で勝った場合は鹿島の優勝となります。

磐田が負けた場合は鹿島が勝てば勝ち点27で単独首位となり鹿島優勝、鹿島が負けた場合は横浜優勝ですが引き分けた場合、もし市原が勝つと磐田、横浜、市原の3チームが勝ち点26で並びますので得失点差で横浜が優勝となります。

実際は、横浜がロスタイムで決勝点をあげて磐田に逆転勝ち、鹿島はロスタイムで浦和に同点にされて、まさしくこのケースが再現され下表に示すように、得失点差で横浜が優勝し、前期優勝と合わせて完全優勝を果たしました。ロスタイムに点が入らなかったら磐田優勝、磐田の負けが決まってからロスタイムに点が入らなかったら鹿島優勝、ロスタイムでいずれも点が入ったら横浜優勝と言う壮絶にしてスリリングな結末でした。

磐田は前半開始して直ぐに1点先制した上、相手キーパーが一発退場すると言う優位な立場に有りながら、引き分けでも優勝との考えが支配したのか、後半は守りに入って、同点にされた上にロスタイムで決勝点をあげられると言う、およそ磐田らしくない試合運びで破れ、まさに攻撃は最大の防御なりを絵に描いたような試合展開になってしまいました。こういう時にこそ、攻撃的なゴンの投入をもう少し早めにして欲しかったと悔やまれてなりません。後期の順位表は下表のようになりました。

J1残留を賭けた下位の争いも熾烈で、京都の降格は既に決定しており、大分、仙台の直接対決で大分が引き分け以上なら大分残留、仙台降格、仙台が勝てば仙台残留、大分降格だったのですが、引き分けに終わったため大分残留、仙台降格が決定しました。この結果、来期はアルビレックス新潟が初のJ1、サンフレッチェ広島がJ1復帰を果たし、大分と京都がJ2に降格することになりました。


順位チーム勝ち点得失点差
横浜2610
市原26
磐田26
鹿島25
FC東京12
浦和2310
G・大阪23
名古屋22
東京V.21
10清水21−7
1116−4
12C・大阪15−1
13神戸14−12
14京都13−12
15仙台12−14
16大分11−9





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