300の小選挙区(定員300名)、11の比例ブロック(定員180名)
で衆議院選挙が9月11日に行なわれますがその選挙方式の
拘束名簿式「小選挙区比例代表並立制」の意味が判り辛い
のでここで解説してみたいと思います。
モデルケースとして、次に示すように、A、B、Cの3党
が六つの小選挙区に夫々、7人、5人、2人が立候補し定員10
名の比例区に夫々5人、4人、2人が立候補したこととします。
立候補のしかたには、次の3通りが有ります。
1.小選挙区単独(小選挙区だけに立候補)
2.比例区単独 (比例区だけに立候補)
3.重複(小選挙区と比例区に重複して立候補)
小選挙区で当選する確率の高い場合、例えば小泉総理など
の有力者等は小選挙区単独、実績や知名度が低く小選挙区
で当選する確率が低い場合、小選挙区で選挙活動しずらい
場合、コスタリカ方式で同じ党または提携する他党と小選
挙区と比例区に交互に立候補することで融和を図る場合な
どは比例区、そして小選挙区で落選したら比例区で当選さ
せたい場合は重複で各党は立候補させます。
但し、「ゾンビ議員」と呼ばれる、重複で小選挙区で落選
して比例で復活当選した議員の中で法定得票数未満の議員
が1996年の選挙で8人もいたことから問題になり、2000年の
選挙以降は小選挙区で法定得票数未満となった候補者の復
活当選は認められなくなりました。また、比例区単独立候
補者が不利にならないように重複立候補者の名簿順位は比
例区単独立候補者より下位順位とされております。
小選挙区の当落は単純明快で、最多得票数の候補1人が当
選しますが、有効投票数の6分の1の法定得票数に達してい
なければ無効となり再選挙となります。小選挙区には政党
に属さない無所属候補でも立候補することができますが、
比例区単独、重複には政党に属していないと立候補できな
いので、自民党造反議員たちが新党を立ち上げたのはこの
理由によります。
比例区では、人口に応じてその定員が割り当てられている
全国11のブロックで有権者は政党を記載することで投票
し、各党には得票数に応じて「ドント式」で当選者数が割
り振られ、各党があらかじめ公表している候補者名簿の順
位に沿って上位から決まっていきます。その状況を下表の
モデルケースで解説します。
A、B、Cの3党が候補者をたてて10人の定員枠を争って
下表のように得票できたとします。そこで、各党の得票数
を1、2、3・・・と順次、割っていき、割られた数字の
大きい順に丸数字を付けて各党に割り振っていきます。
この結果、A党(=6名)、B党(=3名)、(=1名)と、10名の定
員枠が各党に割り当てられました。これがドント式です。
A党 B党 C党
比例区得票数 120,000 60,000 30,000
÷1 120,000@ 60,000A 30,000C
÷2 60,000A 30,000C 15,000
÷3 40,000B 20,000E 10,000
÷4 30,000C 15,000 7,500
÷5 24,000D 12,000 6,000
÷6 20,000E 10,000 5,000
当選者数 6 3 1
尚、名簿順位を同一順位にして重複立候補者の小選挙区で
の惜敗率(=得票率)の高い候補者を優先して割り振る方式
が最近よく採用されるようになっております。
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