−日記帳(N0.1384)2005年09月26日−
ごんぎつねの里の彼岸花
−日記帳(N0.1385)2005年09月27日−
南吉作品と美智子皇后陛下

                       
秋の日差しに誘われて、妻とごんぎつねの里に今を盛りに咲き乱れている彼岸花の群生を観に行って来ました。盛りを過ぎて枯れ落ちている花も見受けられましたが、それでも見事な彼岸花の群生でした。中央の小高い山が南吉が幼い頃きつねを見かけたと言われる権現山です。
                               
この権現山の麓を流れている川が右の矢勝川です。この川で旧友の新美南吉と泳いだ経験を持つ小栗大造さん(87)は「ごんぎつね」の舞台となった頃咲いていた彼岸花が咲いていないことを嘆いて平成2年に矢勝川堤防に一人で黙々と彼岸花の球根を植え付けていったのでした。
                               
この姿に感動した人たちが、一人二人と小栗さんに協力するようになり、いつの間にかボランティアの「矢勝川の環境を守る会」が発足しこの植え付け作業は大々的に行われるようになり矢勝川堤防沿いに約200万本の彼岸花の植え付けが完了し、毎年この時期に私たちを楽しませてくれます。
                               
彼岸花の群生地としては、埼玉県日高市の巾着田が有名ですが、群生する延べ面積としてはこちらの方が広いように思われます。川の堤防沿いという制限が有りますので、巾着田花のように花と絨毯というわけにはいきませんが、川の風景も取り込んでそれなりに風情が有ると思います。
                               
白い花の彼岸花は大変珍しく、ここでも滅多には見られませんが、それでもところどころにひっそりと咲いているのが見られます。そしてその周囲には三脚を立てて撮影している風景が多く見られました。この白い彼岸花は赤いヒガンバナとショウキズイセンの交配種とのことでした。
        
画像の中央に赤い屋根の2階建ての家が見られますが、この家の周囲はコスモスの花畑と彼岸花の群生に囲まれております。多分、その2階からは遠く権現山を望み、眼下には矢勝川の清流を、そして秋には彼岸花とコスモスの花を朝な夕なに見て楽しんでおられることでしょう。  


昨日、ごんぎつねの里を散策している時、「ごんぎつね」などの新美南吉の作品に美智子皇后陛下が大変関心をお持ちであることに思い出しましたので、今日はそのことに少し触れてみたいと思います。 何年か前に、テレビで美智子皇后陛下が新美南吉にある短編詩をお子様に読んで聞かせて上げたことが紹介されました。その短編詩のタイトルは、残念ながら思い出せませんので、いずれ調べてご紹介したいと思います。恐れ多いことではありますが、美智子皇后陛下が新美南吉の童話や詩に興味を持たれたのはご幼少の頃に、お母上やからご祖父たちが読んで聞かせてくれたお話の中に、一匹のでんでん虫のお話が有り、子供心にこの話に感動を受けられたことによるものと想像されます。このくだりについては、第26回IBBYニューデリー大会基調講演の中で次のように語られております。

「前略・・・・・まだ小さな子供であった時に,一匹のでんでん虫の話を聞かせてもらったことがありました。不確かな記憶ですので,今,恐らくはそのお話の元はこれではないかと思われる,新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」にそってお話いたします。・・・後略」
(宮内庁のホームページから抜粋)

この新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」は、「ごんぎつねの会」のホームページの「新美南吉童話集」に収められておりますので以下に紹介させて頂きます。

イッピキノ デンデンムシガ アリマシタ。 アル ヒ ソノ デンデンムシハ タイヘンナ コトニキガ ツキマシタ。 「ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イッパイ ツマッテイルノデハ ナイカ」  コノ カナシミハ ドウ シタラヨイデショウ。 デンデンムシハ オトモダチノ デンデンムシノ トコロニ ヤッテ イキマシタ。  「ワタシハ ナント イウ フシアワセナ モノデショウ。 ワタシノ セナカノ カラノナカニハ カナシミガ イッパイ ツマッテ イルノデス」 ト ハジメノ デンデンムシガ ハナシマシタ。 スルト オトモダチノデンデンムシハイイマシタ。 「アナタバカリデハ アリマセン。 ワタシノ セナカニモ カナシミハイッパイデス。」  ソレジャ シカタナイト オモッテ ハジメノ デンデンムシハ、 ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。 スルト ソノ オトモダチモ イイマシタ。 「アナタバカリジャ アリマセン。 ワタシノ セナカニモ カナシミハイッパイデス。」  ソコデ、 ハジメノ デンデンムシハ マタ ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。 ドノ トモダチモ オナジコトヲ イウノデアリマシタ。「カナシミハ ダレデモモッテ イルノダ。 ワタシバカリデハナイノダ。ワタシハ ワタシノ カナシミヲ コラエテ イカナキャ ナラナイ」  ソシテ、コノ デンデンムシハ モウ、 ナゲクノヲ ヤメタノデ アリマス。


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