−日記帳(N0.1392)2005年10月04日−
イベリア半島で金環日食
−日記帳(N0.1393)2005年10月05日−
雨を表す美しい日本語のこと


昨日、スペインとポルトガルが位置するイベリア半島で金環日食が観測され、その様子が、アマチュア天文家やネットワーク技術者らで作る非営利団体「ライブ!ユニバース」によりインターネットで中継されましたので、その映像をデジカメに捉え画像としてアップしてみました。

日食は太陽、月、地球が一直線に並んだと時に起こる天文現象で、地球と月の距離と地球上の場所によって、中心日食、部分月食となります。中心日食は太陽と月を結ぶ直線が地球上に当たる点付近で見られ、皆既日食と金環日食の2種類が有ります。

月の見かけの大きさが太陽より小さいと金環日食となり、太陽を覆い切れなかった外周がリング状になって輝きます。今回の日食はこの金環日食です。月の見かけの大きさが太陽より大きいといと皆既日食になり光が漏れるようにしてコロナが見られます。


日本の四季にはメリハリが有ります。冬は寒く夏は暑く春、秋は過ごしやすく、特に温暖な静岡で生まれ育った私には、ささやかな海外旅行の経験から判断してこの地方の四季がそのメリハリがほどほどで世界で一番過ごしやすいと思っております。メリハリが有るということは、その季節の変わり目には気象学的にある変化が起こります。それは気圧配置の変化に伴う前線の停滞による長雨です。

特に顕著なのが高気圧の主役が大陸高気圧から太平洋高気圧に変わる時に暫く睨めっこが続くためその間、二つの高気圧の間に梅雨前線が停滞して起こる「梅雨」それと逆の現象により秋雨前線が停滞して起こる「秋霖」です。丁度、今の季節がこの「秋霖」です。「梅雨」ほど長くなく大雨をもたらすことは滅多にはないのですが台風と影響しあうと豪雨をもたらすことが有るので要注意です。春雨と違って雨に濡れると風邪を引きやすくなるのも要注意です。


私は、この「秋霖」という言葉が好きです。「シューリン」という発音と「霖」という字が好きなんです。「霖」をPCで「りん」で入力しても出力されませんでした。手持ちの岩波の国語辞典で引いてみたのですが出てきませんでした。しかし「りんう」にすると「霖雨」で出力され、国語辞典では「幾日も降り続く雨」と説明されておりました。「霖」という字は、林の上に雨と書きますから、長雨との意味が有るようです。

ところで、雨に纏わる言葉にも好きなものが有ります。時雨(しぐれ)、村雨(むらさめ)、秋雨(あきさめ)、氷雨(ひさめ)、春雨(はるさめ)・・・発音の響きがいいと思います。中でも「時雨」が好きです。これは、冬の季語ですが、「時雨がこの時期の葉を染めて紅葉させる」という言葉が有り、冬よりも秋が似合うような気がします。それにしても、「雨が葉を赤く染める」という実際には有り得ないことを言っているのですが、本当に美しく含蓄に富んだ日本語だと思います。

雨は嫌なものです。「梅雨」も「秋霖」のような長雨は更に嫌です。実は冬から春にかけて「菜種梅雨」、秋から冬にかけての「山茶花梅雨」も有ります。もっとも、「山茶花梅雨」は実際は長雨にはならず、「菜種梅雨」との対比語ですが、山茶花の花が咲くときに降る雨をこのように名付けるのも風情が有っていいと思います。そして、その菜種梅雨を、桜の花を咲かせる「催花雨(さいかう)」と呼ぶのもこれまた風情が有っていいと思います。でも、そんな「秋霖」から「山茶花梅雨」の間に降る秋の雨の「時雨」が葉を染めて紅葉にすると思えばこころが和むような気がします。このことを表現する「染葉降=ソミハフレリ」も素敵だと思います。日本語って本当にいいものですね。


前 頁 へ 目 次 へ 次 頁 へ
inserted by FC2 system