−日記帳(N0.1394)2005年10月08日−
株式会社上場の社会的意義
−日記帳(N0.1395)2005年10月09日−
(株)阪神タイガース上場の是非論


十倉好紀東大教授「巨大磁気抵抗効果の研究」でノーベル物理学賞受賞、東京大学 ストップ高の1,250円!小林 誠教授、増川敏英教授「小林・増川理論」でノーベル物理学賞受賞、名古屋大学 80円高の890円!・・・・・これは勿論、架空の話ですが、近い将来、このようなことも起こり得ると思います。小泉内閣の民営化路線に沿って国立大学も2年前に法人化され、近い将来に株式会社に組み入れられることが視野に入っているからです。

大学は、より優秀な教授を全国からスカウトしてより優秀な学生が優秀な教授を慕って受験するしくみを作り、より社会に役立つ研究を民間会社と共同で行い、企業化に成功した場合は特許料で利益を得ることで独立採算で大学を運営できるようにすることが狙いで、まさに国鉄、公社、公団、郵政に続く国立大学の完全民営化です。大学は、授業料、共研先の企業からの拠出金、付属病院の利益、特許料等の収入により社会に直接貢献できる研究・技術開発だけでなく天文学、考古学等利益確保できない研究部門にも利益を配分して社会貢献することを目指しております。

このように、大学ですら株式会社化しようとしているのに、既存の株式会社がプロ野球球団の会社だからとの理由でその上場を否定するののは、私には全く理解できません。阪神タイガースの上場を怒気さえ交えて問題外と発言する星野SDや渡辺氏(ナベツネ)は、もう少し頭を冷やして真の球団経営とファンサービスの在り方を考えるべきと考えます。「阪神タイガースを株式会社にするなんてとんでもない」との意見が有りましたがとんでもない誤解で、阪神タイガースは、大阪市福島区鷺洲1丁目12番9号に本社がある「株式会社阪神タイガース」という株式会社です。ただ市場に上場していないだけです。

株式会社には上場する義務は課せられておりませんが、サントリー、竹中工務店、出光興産、大塚製薬、読売新聞などのごく一部の会社を除いて殆んどの大企業は上場しております。長年、非上場方針を貫いてきた電通、日本マクドナルド、朝日新聞、野村総研、セイコーエプソンが最近、相次いで上場に踏み切っており、今や非上場大企業はレアケースとなり、上場志向に拍車がかかる傾向にあります。

しかし、一方でライブドアによるニッポン放送株買占めによるフジTV買収劇で明らかになりましたように、上場すると市場から資金調達出来るという大きなメリットが有る代わりに、株を買占めされその買占め比率によっては買占めした株主の意向を無視出来なくなったり、比率が過半数となれば経営権を移譲せざるを得なくなり買収されてしまうことから、上場の是非が論議されたことが有ります。しかし、この論議は本末転倒で、上場するメリットは敵対的買収を危惧するデメリットの比ではなく、敵対的買収を防止する企業防衛を確実に行なえば済むことです。

上場によって株主は配当、株主優待、売買差益、株主総会出席などの権利が得られ、一方経営者は資産・決算内容を公開する法的義務と株価を上げるために最大限の努力をする経営義務を負わされるだけでなく株主や投資家に対し投資判断に必要な企業情報のIR(Investor Relations)等の広報活動を行なうことを要求されます。そして、上場企業はこのような情報公開、広報活動を通してガラス張りにすることで、株主や投資家に留まらず、広くユーザー、国民からの信頼を得ることで社会に対して貢献することになります。


最近の阪神電鉄の株価の推移

阪神タイガース球団は、株式会社阪神タイガースという会社によって運営されておりますが、この会社がどんな会社でどれだけ利益を出しているかを調べようと思い立って、あれこれ手をつくしてみたのですが手掛かりが全くつかめません。大阪市福島区鷺洲1丁目12番9号にあるこの会社の本社に電話取材も考えてみたのですが、資産・決算内容を公開する法的義務が無いことから聞き出すことは無理と思い断念しました。

阪神タイガースに限らず、読売(巨人)も中日も、各球団は株式会社で球団経営を行なっておりますが、球団経営者とは名ばかりで、殆んどは親会社からの出向のため、その目はファンよりも親会社に向いており、資産・決算内容を公開しないことをいいことに会社の経営実態を明かしておりません。そのために、昨年の近鉄・オリックス合併騒動の折にもこの問題が指摘されましたが、合併の理由となった近鉄球団の年間40億円と言われる損失額はうやむやのまま合併が実施されてしまいました。

もし、球団株式会社が上場されれば会社の経理・資産はガラス張りに晒され、収支が悪化すれば株価が下がって株主総会をはじめ株主から糾弾され、経営者としての責任を株主を通して社会から追及され、場合によっては株主訴訟されて被告として裁かれることも有り得ますので、これまでのように親会社の方を向いているわけにはいきません。 球団経営者は、入場者収入を増やすため、テレビ中継の視聴率を上げるためにあらゆる努力をすることになります。そのためには観戦しやすい施設、リピーターを増やすためのサービス、PCや携帯でも観戦できるシステムの構築などに全力を傾けることと思います。もたれも境目もなくぎゅうぎゅうに詰めさせられてトイレにも行けないすし詰め状態の甲子園球場の外野席など、これまでファンの立場ではいくら改善をお願いして聞き入れられることは有りませんでした。

しかし、株主たちはファンを代表するということではなくて、観客が楽に観戦出来るようになることで観客が増え株価が上がることを期待して経営者に観戦施設の改善を要求することになり、結果として株を持たない殆んどのファンの利益に繋がることになります。つまり、野球ファンにとっては上場することによる基本的に利害関係はなく、むしろ以上の理由で球団経営者が本当のファンサービスをし、市場から得られる資金で施設を改善したり大物を入団してくれるならば歓迎こそすれ拒む理由は全く無いと思います。上場を拒むのは経営責任を社会的に追及される球団及びその親会社の経営者とそのような既得権益を守ろうとする日本プロ野球野球機構だけだと思います。

ナベツネ氏は空売りも含めて球団株が投機の対象になってスポーツの健全性が損なわれると言って上場を社会悪として罪悪視しておりますが、社会通念に逆らって上場していない読売の責任者の戯言でしかないと思います。上場するからには投機の対象になるのは止むを得ないことで避けて通れません。でも、市場から資金を}得られる大きなメリットを考えれば必要悪として割り切っていいと思います。

上場してもファンは株を持つ必要はなく、株価の上げ下げに一喜一憂することもありません。会社が倒産て経営者が変わろうとも、球団が存続すればいいことです。ファンはダイエーのファンではなく、ホークスのファンです。ファンは阪神電鉄ノファンではなくタイガースのファンです。ファンもこのような割り切れれば、ナベツネ氏の危惧は無用です。むしろ、村上ファンドに見込まれるほどに球団経営に魅力が残っていると思えば済むことでしょう。「中日ドラゴンズ、マジック点灯して上場以来の高値を付けました!」なんて言う見出しを是非見たいものです。球団の上場、大賛成です。


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