−日記帳(N0.1402)2005年10月16日−
巨人、ヤンキースの共通弱点
−日記帳(N0.1403)2005年10月17日−
W・ソックスのア・リーグ優勝に思う



巨人とヤンキースのこの10年間の成績をチェックしてみたところ
同じような傾向が覗えましたので、両球団の成績を数値化して、
グラフ表示することにしました。数値化は次の評価基準を採用し
ました。数値が大きいほど成績がいいことを示しております。

  ・ヤンキースの評価基準   ・巨 人の評価基準
  地区優勝WC無→0点   4位以下     →0点
  ALDS まで→1点  3位        →1点
  ALCS まで→2点    2位         →2点
  Wシリ−ズまで→3点  リーグ       →3点
  Wシリ−ズ優勝→4点    シリーズ優勝 →4点 

以上により、数値化した結果下表が得られましたので、これを
グラフ化したものが上の画像です。

     経過年数  年度  巨人   ヤンキース
  
      1  1996      0        1
      3  1998      1        3
      4  1999      2        4
      5  2000      4        4
      6  2001      2        4
      7  2002      4        1
      8  2003      1        3  
       9  2004      1        2
      10  2005      0        1

8年目、つまり2002年を除いて見事にその傾向が一致してい
ることが判ります。勿論、偶発的要素も介在しておりますが、
両球団はこのところ共通した補強策をとっておりますので、
その結果に共通性が有っても不思議ではないように思えます。
このグラフの中で、唯一明らかに相反する結果になっている
のは、2002年で、巨人は日本一になっているのに対し、ヤン
キースは東地区で優勝できずワイルドカードでALDSに出
場したものの負けてALCSにも進出できず巨人と明暗を分
けております。

この年は、巨人が、最優秀防御率の桑田、工藤、最多勝の上
原、高橋(尚)、巨人最後のこの年を二冠で飾った松井と打率
ベストテンの高橋(由)、清水と投打に渡って巨人生え抜き
でかつ日本人選手だけでメンバーを組めた珍しい年で、その
翌年から4番打者のペタジーニ、清原、江藤、小久保、ロー
ズなどのトレード組がメンバーになってからヤンキースと同
様に没落の一途を辿ることになってしまいました。その没落
には共通の原因が潜んでいるように思われますが、そのこと
は明日の日記で触れてみたいと思います。

ウイニングボールを一塁に送球直後感激の渦の中の井口選手

最後の打者が一塁ゴロに倒れると井口は、遊撃手のウリーベと抱き合い、カリフォルニアらしくない冷たい雨が降る中、そのまま一、二塁間にできた歓喜の輪に飛び込んでいきました。井口選手が所属するシカゴ・ホワイトソックスが昨年の世界チャンピオンのレッドソックスとのALCSでを4勝1敗で制して、46年ぶりのアメリカン・リーグチャンピオンに輝いた瞬間をテレビで観て、つい数日前、松井選手が同じ一塁ゴロを打って最後の打者になって、WシリーズどころかALCSにも進出できなくなったシーンが頭に過ぎりました。

これは、決して松井選手自身の責任ではないのですが、ヤンキースの成績は松井入団の年から年毎に悪くなっているのに対して、ホワイトソックスは井口が入団してから守備が安定しただけではなく、2番井口の繋ぐ野球がチーム全体に広がって細かい野球が出来るようになってチームカラーが一変し今回の栄冠にに繋がったように思えてなりません。

ホワイトソックスのベンチは、若いアウトカウントで走者が塁上にいる場合、井口にバント、ヒットエンドラン、強攻策のいずれでも指示を出せますが、ヤンキースの場合は同じ2番で、チーム二冠王、アメリカンリーグの本塁打王のA・ロドリゲスには少なくともバントのサインは出せません。勿論、彼が俊足で併殺になりにくいという事情は有りますが、これによって作戦の幅が狭くなり、細かい野球が出来なくなります。 A・ロドリゲスが凡退すると次の3番ジアンビは鈍足のため併殺になる確率が高くなりヤンキースの得点能力は低下します。

ヤンキースが今シーズン上げた得点はレッドソックスの910に次いでアメリカンリーグ2位の886で、ホワイトソックスの741を上まわっておりますが、終盤で1点を争う場面では全体の得点能力より細かい野球がモノを言います。ヤンキース、ホワイトソックスともにチーム打率は27%前後に対してチーム本塁打率は4%程度でしかありません。従って単打だけで1点を取る確率はは27%の3乗で2%弱になり、本塁打で1点を取る確率の4%の半分以下ですが、盗塁またはバントで得点圏に進塁させれば27%の2乗の7.3%で本塁打による4%を上まわります。更に四死球やエラーで出塁してバントで進塁させれば27%という高い確率で1点を取ることが出来ます。

ホワイトソックスでは、主砲のコナーコ以外は全員バントを試みる場面がALDS、ALCSで見られましたが、ヤンキースでは殆んど見られなかったように思います。ホワイトソックスでは59盗塁で盗塁ランキング2位のポドセドニクが盗塁すると2番井口がバントで3進させ犠飛などで1点を取る場面が有りましたが、これまたヤンキースではお目にかかったことは有りません。このような細かい野球の出来なかったレッドソックス、ヤンキース、レンジャースが、日本では巨人がペナントレース中で、ソフトバンクがプレーオフでそれぞれ苦杯をなめました。ホワイトソックスのALCS突破は細かい野球の優位性を見事に実証したところに大きな意義があると思います。


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