−日記帳(N0.1497)2006年01月19日−
ITは虚業の意見に反論する
−日記帳(N0.1498)2006年01月20日−
ITを利用しITで墓穴を掘った堀江


今回のライブドア騒動に際して、あるテレビ番組でその道では高名なA氏が「やはり、車とかテレビとか、目に見えるモノを作って売る会社こそ健全で、ITみたいな目に見えないわけの判らんモノを売っている会社は虚業で不健全そのものです。その代表が今回のライブドアです。」と得意げに解説をしておりました。>
多分、ご本人はITの意味は充分知りながらもつい口が滑ってしまったことと好意に解釈しますが、このような誤解を招く発言が公のメディアに登場しますと、今回のライブドア暴落で見られたようなIT銘柄の連想売りを助長しますので見過ごすことは出来ません。

この発言の誤りは IT企業≒虚業 という図式です。>
ITは、「Imformation Technology」の略語で「情報技術」と和訳されております。ITには、携帯、パソコン、プリンター、スキャナー、デジカメ等の情報機器を製造販売するハード部門とコンピュータソフトの製造販売、インターネット接続、ポータルサイトの運営等のソフト部門が有ります。ハード部門の会社にはソニー、松下、日立、東芝、シャープ等の世界的メーカーが居並んでおり、IT企業≒虚業とするならばこれらの会社も虚業と言うことになってしまいます。

そして、問題の目に見えないモノが多いソフト部門ですが、まずコンピュータソフトこそ、その実体は全く目に見えません。しかし、もしこれが無かったら我々の現在の生活は成り立ちません。飛行機、船舶、鉄道等の乗り物や機械部品の製造、自動車等の組立てなどはコンピューターで制御されております。列車、航空機、観劇等のチケット販売、出入国手続き、銀行業務、会計業務、株式売買等も然りで、その制御は全てコンピューターソフトで行なわれており、我々の生活の隅々まで入り込んでおります。いくら立派なコンピュータが有っても、ソフトが無かったら何の役にも立ちません。

それでは、問題のライブドア、楽天、ヤフーなどが手がけている仮想空間のポータルサイトはどうでしょうか。殆んどは無料サイトで画面上に表示される広告料金が主な収入源です。パソコンの画面上に見えますがその実体はやはり目に見えないコンピュータソフトです。確かにこれが無くても日常の生活に支障を来たすことは有りません。しかし、判らないことを検索したり、欲しいもの安く購入するためにネットオークションや通販に参加したり、生活に役立つ情報を得るのにポータルサイトは大変便利な存在です。この分野での利用者は殆んどが若い人たちですので、年配の方々には虚業と思われてもしかたない面も有りますが、ネット社会では不可欠な存在となっており決して虚業ではありません。

次にソフトバンクが企画して子会社のヤフーに運営させているADSL等のインターネットの高速接続事業や今後同社が進出する第三世代の携帯事業の実体は目に見えない電波ですが、これも虚業でしょうか。かって日本のインターネット接続は高くて遅かったため韓国やシンガポールに遅れをとりインターネット後進国になりさがってしまいましたが、ヤフーが価額破壊を起してADSLを定着させることで漸くインターネット先進国になりました。しかし、日本の携帯の料金はドコモなどの既存会社の既存権益に守られて世界一高い状態にあります。これをソフトバンクやイーアクセスなどが進出することで、インターネット接続の場合のように、安くて速い携帯を実現してくれたら社会への貢献は大なるものが有ります。

以上のようなIT事業の中には虚業らしきものは一切有りません。多分、A氏はM&Aや3万分割にも及ぶ異常な株式分割などによって自社及び系列会社の株価を吊り上げてきたライブドアの経営戦略を糾弾したかったものと思います。そして、ライブドアの本業がポータルサイト運営のIT企業に属していたため、このような経営戦略をIT企業に共通する戦略と誤解されたのではないかと思います。しかし現実には、今回のライブドア騒動でIT≒虚業との思いが投資家の脳裏を掠めており、ソフトバンク、楽天、ヤフー、日本オラクル、NTTデータ等の正真正銘のIT企業の株価はそのために連れ安しており、そうした企業やその株主にとっては甚だ迷惑なことであり、社会的地位の高いA氏の公の席でのこのような発言は企業や投資家に損害を与えかねず自重して頂きたいものです。


パソコンを廃棄する時に困ることが有ります。産業廃棄物ですから勝手に廃棄すると法律により責任を問われますし、2003年10月以前に販売されたパソコンは 「資源有効利用促進法」に基づき製造メーカーと消費者の負担により回収、処理することが義務付けられておりますので販売先に持ち込むか、専門業者に有料で引き取ってもらうしかありません。

ところが、パソコンでは、入力した情報を削除しても記憶装置のハードディスクが頑丈なため復元されてしまう恐れがが有りますので、重要な個人情報を入力した場合は廃棄の際にハードディスクから削除された情報を完全消去する必要が有ります。ハードディスクは磁性体を塗布または蒸着した金属のディスクを一定の間隔で何枚も重ね合わせた構造になっており、これをモーターで高速回転させて磁気ヘッドを近づけてデータを読み書きするしくみになっております。

ある時、誤って苦労して作成したファイルを削除してしまったことが有りました。電話で業者に復元を頼んだところ、まず復元できるか否かを調査するのに2万円ほどかかり、可能なら更に別途復元費用が数万円ほどかかると言われて諦めたことが有りました。ケースによっては復元できないことが有るのでこのようなことになるようです。一般的にファイルは「ファイル情報部分」と「ファイルデータ部分」に分かれてハードディスク等に記録されます。削除はその「ファイル情報部分」を一部変更することでパソコンでの操作では絶対に復元できません。しかし、「ファイルデータ部分」は、新たなデータが上書きされない限り残り変更された「ファイル情報部分」を元に戻すことで復元が可能となります。

ライブドアで堀江社長等幹部は重要な案件についての指示、回答等の業務連絡を文書や電話よりもメールを主体にして行なっていたと言われます。多分、文書では作成、配達、受取り、保管、廃棄に手間がかかって遅くなること、電話では周囲に聞き取られたり、盗聴されたりする恐れが有る上、記録として残らない場合が多いことで、それぞれ問題が有ると考えたからのようです。ライブドアの社員によれば同じフロアで僅か数メートル離れた社員同士でも口頭ではなくメールで打ち合わせることは日常茶飯事だっとのことでした。

そして、後で問題になりそうなメールの送受信記録は当然、堀江社長等幹部は削除していたのですが、今回の家宅捜査で押収した幹部たちのパソコンや記憶媒体からハードディスクを取り出して復元作業を行なったようです。宮内取締役が逮捕されて間もなく粉飾決算の容疑事実を認め始めたのは、こうした事実を知っており、復元されたらもはや逃れるすべは無いものと悟ったものと思われます。このように、メールというITの代表的手段に頼りすぎた結果が、逆にその盲点を突かれて墓穴を掘ったことになりました。まさに、「天網恢々疏にして漏らさず」で、天網をネットワークに例えるのならば、一見ザルのように粗めに見えるネットワークを一時的に掠めても結局はそれに引っかかってしまうことを物語っているように私には思えます。


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