−日記帳(N0.1547)2006年03月12日−
最近の床屋事情
−日記帳(N0.1548)2006年03月13日−
格安理髪店


近所のいきつけの床屋さんに行かなくなってから、かれこれ2年になります。別に剥げたり坊主頭になったわけではありません。毎月5,000円前後を散発代として出費するのに抵抗を感ずるようになったことと、大分毛髪も密度が減ってきたので (早い話、薄くなってきたということです)生来の毛の硬さから髪型を格好良くする余裕が無くなり、スポーツ刈りにするしかやりようが無くなり、それなら女房殿でも出来るのではと考えて大枚1万円をはたいて自動バリカンを購入して女房殿に刈ってもらうことになったのがその理由です。

ところが、女房殿、結構面白がって刈り始めたのですがどうしても刈り込み量が左右でアンバランスになってしまいます。左を刈り込み過ぎたと言っては右を刈り込んでいくとこれまた刈り込み過ぎたと言って再び左を刈り込むといった具合で、気が付いたら五分刈りになっていました。友人たちには最下位と予想したドラゴンズが優勝したので、この日記での約束に従って五分刈りにしたことにしました。

そのうち、女房殿も大分、腕をあげ、左右のバランスは何とかクリアできるようになったのですが裾の刈り込みがどうしても不揃いでトラ刈りのようになってしまうらしいのです。というのは、自分で鏡を見てもよく判らないのですが、友人たちには判るらしく、「散発代も払えなくなって女房に刈ってもらっている」と冷やかされるに到って、再び床屋に行くことにしました。そして2年ぶりに床屋に行くと、一人の先客も無いまま暇そうに新聞を見ていた主人が待ってましたばかりに直ぐ調髪台に案内してくれました。暫くこなかった理由を聞かれたので、暫くの間単身赴任していたことにしました。

久しぶりに、床屋のご主人と最近の床屋事情を聞いてみたところ、やはり客の床屋離れが続いているとのことでした。中高年層の格安理髪店へのシフト、自宅での調髪、若者たちの美容院への転向の三つがその原因とのことでした。格安理髪店は以前と違、理髪師の国家試験受験者の練習の場ではなく、一定の分担金を払えば理髪代が全て自分の所得になるシステムが定着しつつあることから、ベテランの理髪師が担当することが多くなり人気化しているようです。

また、若い男達はパーマや茶髪のこともあって美容院に行く傾向が強く、その美容院も昔からの老舗ではなく最近繁華街に多く見られるようになった若者相手の美容院が多いようです。また以前のように、オカッパ頭の女の子が殆んどみられなくなったことから女性が床屋に来ることはまず無いとのことでした。また、若い女性たちも髪型を決められるのを嫌って、自分で後でヘアメークできる余地を残そうとして年配の女性を対象にする老舗の美容院に行かず、若い男性たちが行くような美容院を好む傾向があるとのことでした。

そこで床屋は業界ぐるみで美容院では出来ない「剃り」を謳い文句に女性客を取り戻そうとしましたが効果無かったそうです。女性は剃刀で顔を剃ることに抵抗が有るようだとのことでした。以前、私はあの熱いタオルを顔に被せられるのが嫌いで調髪だけをお願いしたところ、料金は殆ど変わらないので再び「剃り」込みの標準に戻した経緯が有ります。因みに調髪のみで3,000円、「剃り」込みの標準で4,000円、アイロンパーマは割り増し料金2,000円が現在の料金体系です。昔は、耳掻き、鼻毛取り、肩もみなどのサービスが当たり前でその心地よさが床屋に来る楽しみのひとつでも有ったのですが、今では殆んど語り草になってしまいました。(明日に続く)


久しぶりに床屋で調髪しましたので、これまでの女房による仕上がりと較べて格段の差が有るものと思い、鏡でしげじげと観察してみたところ、あまり変わり映えしないどころか、女房殿によれば彼女の調髪の方が毛揃いがいいと言うのです。そこで、友人や行きつけのスナックの女の子たちにそれとなく聞いてみたところ、まだ前の方がましだと言われる始末にホトホト閉口してしまいました。どうも、くだんの床屋さんが以前の七三に分けて調髪していた頃の私の髪型に拘ってスポーツ刈りに徹し切れなかったのがその理由のようで私のリクエストの不適切さにその原因が有ったようでした。

そこで困りました。床屋さんにも行きたくないし、女房殿にトラ刈りにされるのも嫌だし、そこで思い切って格安理髪店にいくことにしました。最近の格安理髪店は以前のような理髪師の国家試験受験者の練習の場ではなく、かなり腕利きのプロの理髪師が店に場所代を払い店を借りる形で調髪するので、酷い目に遭うことはないとの噂を信ずることにし、意を決して近くの「1500円調髪」の看板が掛った格安理髪店に入りました。

すると、「いらっっしゃーい!」と言う複数の人の威勢のいい声がドアを開けた瞬間に聞こえてきました。調髪台は10台ぐらい有り、理髪師と思われる男性が4、5人、助手と思われる若い女性が2人、そしてお客さんが5、6人調髪台に座っておりました。待っているお客さんは1人も居ません。待ち時間を利用して週刊誌でもと思う間も無く、「どうぞこちらへ」と呼ばれてしまいました。調髪台に座るや、若い女性が着いて椅子を倒して口髭と眉毛の下を手際よく剃りはじめました。2分ぐらいで剃り終えると、今度は中年の男性に代わり、椅子を元に戻して髪を湯で湿らしながら、「どのようにされますか」と質問してきました。

「髪の毛が硬いのですが・・・・」と言うと「そうですねー。これだけ硬いとやはりこれまでのようなスポーツ刈りにするしかないですね」とつれない返事でしたので「それではそれで宜しくお願いします」と返しました。女房殿と同じように自動バリカン」で刈り込みをはじめましたが、手付き、手際よさはさすがにプロで、ものの6分ぐらいで終ってしまいました。そして、次に洗面台に案内され、ここで再び別の若い女性が洗髪してくれました。時間にして2分程度でした。終えると、今度は仕上げ専用の調髪台に案内されました。

ここで、ブロアーで髪の毛を乾かし、軽く櫛を入れてから裾と髪の毛に鋏みを入れて毛揃いをし、最後は肩を揉み解して終了そました。この間、約3分でした。結局、剃り2分、調髪6分、洗髪2分、仕上げ3分で合計13分で全工程終了しました。この間、4人の人たちが分担し、使用した設備は調髪台、2台、洗面台1台でした。そして料金は1,500円でこれまでの床屋さんの約1/3でした。

帰宅すると、女房殿はその早さに驚きながら、しげじげと私の髪を見つめながら「私のとそう変わらないね」と言いながらも内心、その違いを認めたような素振りでした。こうして、これまでの床屋通いをやめ、トラ刈りの恐怖からも解放され、月1回の床屋通いから3週間に1回の格安理髪店通いに変わったのでした。


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