>エジプト旅行での思い出のシーン4景





上の画像は、エジプト最南端の観光地、アスワンに行った時に汗だくになりながら 撮影した、アブシンベル宮殿のラメセス2世像です。全て、エジプト古代王国の最強 のファラオ(王)と言われているラメセス2世が総力をあげて自身の権威を誇示する ために、作った大神殿の入り口を飾る自身の4体の20メートルの巨像です。 左から2番目だけが顔と胴体部が崩れ落ちておりますが、残り3体は3300年の時 代の流れに耐えて見事に保存されております。

ご存じのように、この神殿全体は元は現在の位置より60メートル下の有ったのです が、アスワン・ハイダムの建設により水没する運命にあったため、ユネスコの音頭で 1960年から65年にかけて3900万ドルで切断して移設され、それが契機となって 世界遺産の第一号に指定されました。 高々、大型火力発電施設、3基分(210万KW)を建設するために、他に40ケ所の 貴重な文化遺産がナセル湖の湖底に沈んでしまいました。いずれ50年後ぐらいに は上流から流れる土砂によってこのダムは巨大な産業廃棄物と化すと思うと、何と 愚かなことをしたものだと私は個人的に思いながらシャッターを切りました。



上の写真は、アスワン一と言われるホテル、「ニュー・カタラクト」に泊まった時に 部屋のテラスから撮影したナイル川の風景です。 左側に見えるのは中州で、エレファンティネ島とも言われている古代エジプト王国 の古王国から新王国時代の神殿等の遺跡が散在し、現在でも発掘調査が行われ ている、ヌピア王朝時代の中心地でもありました。 しかし、私の興味をひいたのは右側のホテル「オールド・カタラクト」の煉瓦色の建 物です。これこそ、あのアガサ・クリスティー女史が有名な「ナイル殺人事件」の取 材で当地を訪れた時に長期宿泊したこと、及び映画化された時のロケ地としてで知 られている1904年に建てられたホテルです。 対岸のエレファンティネ島で聳えている建物は、これまた「オールド・カタラクト」と並 んで豪華ホテルで知られる「アスワン・オベロイ」です。

この写真を撮った後、この付近のナイル川でファルーカと呼ばれる帆掛け船に貸し切りで乗ってナイル川沿岸の 風景を楽しみましたが、その時6、7才ぐらいの男の子2人が小さなたらい船に乗っ て遊んでいるのが見えてきました。 そして、我々の船目がけて寄ってきたかと思うと船の縁に手をかけて固定して何や ら聞き覚えの有るシシカバブーの歌を歌い始めました。遊んでるのではなく、歌の 代償に物乞いに来ていたのです。 小金の持ち合わせがないので、何人かの人達がボールペンを差し出すと喜んでポ ケットに仕舞い込み尚、せがむのです。 船頭さんもよくしたもので、こども達に危険が及ばないように配慮しながら操縦して いましたが、その操縦の上手さには驚きました。 大学時代にヨット部に籍をおいたことの有る私にはよくわかりました。 4000年以上も前にあれだけの世界最高の文化を誇った、あのエジプト人の面影が 全く感じられない程に、その末裔達は貧困に喘いでいるように私には思えたのです。 しかし、そんな物乞いのこども達の底抜けに明るい笑顔に救われる思いがしました。 やがてこども達は手を離して離れていきましたが、よくみるとあちらこちらにそのよう なこども達が川面に見掛けられました。今でも、あのこども達の無邪気な歌声が耳に 焼き付いて」おります。



上の写真は王家の谷にあるアメンヘテプ2世の王墳内の玄室に有る石棺です。 天空に聳えるピラミッドはその場所が誰でも判ることから盗掘から免れることが出来 なかったため、フピラミッド建設を断念し、ファァラオ達はナイル川西岸の岩山に穴を 掘って内部に絢爛豪華な壁画を持つ墳墓を作り、盗掘されないように偽装を施して入 り口を封鎖することを考えつきました。 しかし、それでも既に発見されている60余個所の王墳のうちツタンカーメン王以外の 王墳は全て盗掘の形跡が有りこの石棺にはアメンヘテプ2世のミイラは収まっていた のですがツタンカーメンの王墳で発見されたような金銀の財宝類は有りませんでした。

ツタンカーメンのように、その名が消されるほどに名も無いファラオでも黄金のマスク に代表されるような豪華な財宝類が副葬されていたわけですから、アメンヘテプ2世の ように有力なファラオなら凄い豪華な副葬品類が有ったはずで、何とも残念なことです。 ただ、幸いなことに、この玄室の右奥の付属室からアメンヘテプ3世、トトメス4世、 セティ2世等早々そうそうたる名君のミイラが続々発見されたことで歴史的な意味が有 り、アメンヘテプ3世が世評どおりツタンカーメンの父であるか否かを名大医学部が、 昨年ツタンカーメンの死因の究明とともにDNA鑑定の対象になったのが、このアメンヘ テプ3世のミイラでしたが、突然のエジプト政府の指示で中止されたことは残念でした。 遺跡観光立国のエジプトとしてはこのまま謎のままにしてよりロマンを沸き立たせること を選んだのでしょうか。



上の写真はスフィンクスの正面からピラミッドを望んだところです。 左がクフ王の大ピラミッド、正面はその息子のカフラー王の中ピラミッド、孫のメンカウラ ー王の小ピラミッドは画面の右に隠れて見えません。この、大中小の三つのピラミッドを ギザの三大ピラミッドと呼んでおりますが、何故王権としてはそれ程差が無かった三代の ファラオでピラミッドにこんなに大きさに差を付けたのかが私は不思議に思います。


オリオン星座説が有力と私は勝手に解釈しております。 上の航空写真に見られるように、この三つのピラミッドの位置、大きさがオリオン座の三つの星に酷似しているからです。先日TBSで放映された吉村教授監修による「ピラミッドの謎」で、教授 はクフ王は太陽神・ラーと合体することで不死身となり、東から太陽が昇るとともに王の 魂はピラミッドの擬扉から大回廊で蛇のように煽動運動してエネルギーを蓄え、女王の間 を経由して玄室の王の間にある石棺に入り、ここで暫時休息をとり、太陽が西に沈む頃に なると、教授があることがヒントになって発見したもうひとつ西側にある女王の間、王の間 を経由して西の空から太陽に戻っていくとの説を唱えておりました。

古代エジプトでは、星座なかんずくオリオン座を太陽、月とともに神として信仰しており、 それと何らかの関係が有るのではないかと思ったからです。 このピラミッド建設が、洪水の季節の失業対策のための公共事業で、ヒエログリフで書か れたロゼッタストーンに、ピラミッド建設従事者の勤務状況が細かに記され、ある者が 前日ビールを飲み過ぎて2日酔いで休んだと有りますので奴隷のように酷使されたことは 無かったようです。

この写真にある黒い帽子に白の制服の男性2人は、ツアー・ポリスと呼ばれる警官で、 拳銃とカービン銃で武装しており、こうした観光地や空港だけでなくだけでなくホテル、レス トランにもウヨウヨたむろしております。 彼等の勤務態度に真剣さは感じられず、女性に声を掛けたり、観光客に一緒に写真を撮 るように誘って取り終わるとチップを堂々と請求する等、無茶苦茶です。 また近くのトイレに入ると、こわもてのオバサンが仁王立ちになってチップを払わないと中 に入れてくれなかったり、真っ赤なニセモノのパピルスをしつこく売り込む物売り等、観光客 にとって、暑さに加えて嫌なことの多いエジプトですがお国がらやむを得ないのでしょうか。 テロで観光収入が激減して困っているなら、もっと観光客を大事にすべきと思うのは私だけ なのでしょうか。

同行した観光客の人達、特にご婦人たちの中には熱心に説明するガイドさんに耳を傾けよ うとせずに敢えて高い入場料を払うのに抵抗が有るのか、ツタンカーメンの王噴やラネセス 2世のミイラも見ないまま、その料金の何十倍もするカシュトュールの金のペンダントやパピ ルスの絵などの土産物はしっかり買われる方がおられるのに苦笑せざるを得ませんでした。 エジプト旅行は古跡巡りですから、その5000年の歴史的背景との因果関係を念頭にいれて 歩かないと、単にピラミッドは石ころの積み重ね、神殿は廃墟、王噴は墓場、壁画はイタズラ 書きとしか見えなくなってしまうかも知れん。

以上は、現在編集中の「エジプト旅行記」のほんの一部をご紹介しました。 かなり、私の個人的見解が強くなっておりますが、どうぞご了解下さい。
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