講座集 7 章 地球温暖化と京都議定書について

(1)IPCC発足と京都議定書案に対する各国の態度
二酸化炭素による地球温暖化の話題がここ数日マスコミで取り上げられておりますが、 この問題が国際的に始めて取り上げられたのは1985年のオーストリアのフィラハでの会議でした。
そして1988年のトロント会議では政府関係者と科学者がはじめて会合し、二酸化炭素を2005年までに20%削減すべきと提言し、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)が設立されたのを受けて国連で1992年「気候変動枠組み条約」が採択され、ブラジルでの地球サミットで155ケ国が署名しました。

そして、IPCC総会(COP1)がベルリンで1995年に第1回が開催されて以来毎年開催され、 特に第3回(COP3)の京都会議では議定書の形で削減目標が示されました。
その内容は2008から2012年を目標年にして、90年実績に対して先進国全体で5.2%削減することとし、日本6%、米国7%、EU8%となっております。

更に、99年ドイツ・ボンでのCOP5でCOP6(オランダ・ハーグ)でのルール作りと2002年に議定書発行が合意されたものの、結局COP6で纏まらず、今年の7月16日から27日にボンで開かれるCOP6の再会合に持ち越されることになりました。
先進国の中でEUやロシアは既に議定書案受入れを表明しておりますので最大の問題点は米国と日本の動向にかかってきました。
両国とも当初、京都議定書案に不満を表明していたものの、日本は議長国の立場等も有って前向きの姿勢を示しているのに対し米国は依然として受入れを拒否し続け、会議からの離脱も辞さないとの強硬な態度を取り、これに反発するEUと対立していることから俄にマスコミで取り上げられるようになりました。

現状の京都議定書案では、後で説明しますが日米に極めて不利である反面EC側にとっては有利になっておりますので、このまま米国が受入れることは考えられず、また日本も世論の後押しが有る小泉内閣とは言え、産業基盤の低下を招き益々景気を悪化させる恐れのある議定書案をそのまま受入れることは問題が余りにも大き過ぎると思います。
(2)二酸化炭素と地球温暖化の関係
地球に降り注がれた太陽光線はその一部が地球に吸収された残りは再び宇宙に反射されます。 もし吸収が反射より多ければ地球は暖まり、逆に少なければ冷えます。
創造主は、地球に巧みな仕組みを作ることで、僅かに吸収を多くすることで地球の平均気温を15度 に保つようにしてくれたのです。

もしこのバランスが吸収過大側にずれると地球は金星のような炎熱地獄の惑星になり、逆に過小側にずれると地球は火星のような冷え切った惑星になりかっての氷河時代が再来して殆どの生物は死滅してしまいます。 そこで、吸収が無い場合に想定される地表温度To と実際の地表温度Tr の温度差ΔTを温室効果と言います。

地球の場合→To=−46℃  Tr= 15℃  ΔT=  61℃ 
金星の場合→To=−18℃  Tr=477℃  ΔT= 495℃ 
火星の場合→To=−57℃  Tr=−47℃  ΔT= 10℃ 

創造主の巧み仕組みとは、反射するときは入射した時の太陽光線のままでなく赤外線の形で 行われることに有ります。
赤外線の場合、大気の成分毎にその吸収率が異なり、水蒸気が最も大きく次いで二酸化炭素、窒素、酸素の順 になっていますので、二酸化炭素の濃度が増えると大気の赤外線を吸収する割合が増えるので、その分温度が15度から15度+α とαだけ温度が上昇するので、これを温室効果による地球温暖化と言います。 

炎天下のもとで駐車中の車の車内温度を事例にすればこの温暖化現象は容易に説明できます。 つまり車の窓を締め切れば、太陽光線の相当部分が車に吸収されて車内は60℃近くまで上昇しますが窓を開ければ その開け具合により気温+αまでの上昇で済み居住可能となります。
窓を開けることで太陽光線を赤外線に加え空気の対流により放散したからに他なりません。

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