講座集 第7章 地球温暖化と京都議定書について思うこと

(3)エネルギー枯渇と地球温暖化の問題点
地球の人口は1万年前の500万人が現在の60億人に1200倍に、一人当たりのエネルギー消費量は1万年前の3000キロカロリーから現在の30万キロカロリーと100倍にそれぞれ増えました。 従って総エネルギーはその掛け算となり実に約10万倍に増えたことになりなす。
問題はそのエネルギー源で、その大半が石炭、石油、天然ガス等の化石燃料に依存していることに 有ります。 例えば石炭は200年、石油は40から50年、天然ガスは60から65年、ウランは40 年後に枯渇すると言われており、最近の名大での研究報告によれば後20年で石油の過去の全消費量と残りの 埋蔵量が等しくなる分岐点に到達すると言われております。
つまり40億年以上の年月をかけて地球が貯め込んだエネルギーを増え過ぎた人間 があっという間に使い果たしてしまうと言うエネルギー枯渇問題とこの地球温暖化問題の二つの大問題を 21世紀に人類の英知をかけて取り組むことになります。

このように人間はが150年前から石炭、石油を燃やし続けた結果、空気中の炭酸 ガスの濃度は30ppmから360ppmに増え、地球全体の温度が100万年前よ り0.5度上がったのです。これが先ほどのαに相当します。 僅かではありますが、これが実は大問題で、更に0.5度上がると赤道直下の島々 は水没し、日本は海面が1メートル高くなるため全国に防波堤を築くことになり、 それには40兆円が必要と計算されております。

台風被害が増大することが損保保険の支払高の推移で実証されております。被害額は、1960年代が20億ドル、1970年代が29億ドル、1980年代が34億ドル、1990年代が202億ドルと凡そ40年間で10倍に、また保険支払額はそれぞれ、5、8、17、113億ドルと約20倍になっております(東大・月尾教授の試算による)

更に、洪水多発、食糧危機、伝染病(マラリア、テング熱等)の増加等の問題が地球 規模で起こり大変なことになるとして(1)の京都議定書の削減目標示されたわけです。
(4)各国の二酸化炭素排出量の現状

順位  国名 二酸化炭素排出量 人口  一人当たりの排出量
        (億トン/年) (億人) (トン/人・年)

 1  米 国  14.90  2.68    5.56
 2  中 国   9.14 12.44    0.73
 3  ロ シア   3.91  1.47    2.66
 4  日 本   3.16  1.26    2.52
 5  イン ド   2.80  9.55    0.29
 6  ドイ ツ   2.27  0.82    2.77 
 7  英 国   1.42  0.59    2.41
 8  カ ナダ   1.34  0.30    4.46
 9  韓 国   1.17  0.46    2.54

上表は1997年度の二酸化炭素排出量が年間1億トン以上の国のデータです。
この9ケ国で加盟155ケ国全体のほぼ2/3を占め、米国 だけで1/4を占めている事実は無視出来ません。
この中でインドと中国は削減対象から除外されているので現状維持と仮定し、米国が批准しなかった場合も現状維持と仮定すると、例えこの3国以外の国がそれぞれの削減目標をクリアしたとしても削減率は
2.5%にしかならず、京都議定書で定めた先進国で5.2%削減すると言う目標の履行は不可能と思われます。

特に二桁台にGNPが成長している中国では排出量は増大し続けるでしょうし、米国の場合も現状維持は困難と思われますので議定書で定めた規準年の90年に対しては逆に削減どころか増大するものと予想されます。
その意味でも米国抜きの批准では意味が有りません。

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