二酸化炭素温暖化説の疑問(3)
二酸化炭素温暖化説の疑問(4)



南極、アラスカ、グリーンランドなどの寒冷地で降る雪は融けずに積もり、次々に自らの重さで圧縮されて、1年単位で層をなして年輪のように氷の床(=氷床)を形成していきます。その場合、雪の中に含まれている大気は独立した気泡となって、この氷床の中に封じ込められます。しかも地球上の大気循環により、この大気は地球上の平均的な状態のまま封じ込まれております。従って、もしこの氷床を掘削して長い氷柱(氷床コア)として取り出すことが出来れば、この氷柱は奥の先端にいくほどに古い氷床から構成されておりますので太古に至る地球環境のタイムカプセルであり、太古からの手紙の役割を果たしてくれます。

上図は、日本の南極観測の第一期ドームふじ計画で、2503m分の氷床を掘削して取り出し、零下50度に保存して日本に持ち帰り、その気泡中の大気の二酸化炭素濃度、水蒸気(飽和)濃度から温度を計測・算出して、これらがどのようにこの32万年間に経時変化しているかをグラフで示したものです。この解析から気温と二酸化炭素濃度が相関性を示しながら変動をしていることが明らかになりました。このような資料が二酸化炭素温暖化説を裏付けるものとして二酸化炭素温暖化説の学者たちに取り上げられました。

しかし、相関性が認められるのは、約1万年から32万年の間で1万年以降は逆相関の様相を呈し、二酸化炭素濃度が増えると温度は下がる傾向を示しております。このデータは二酸化炭素温暖化説を否定しておりますからこの説を唱える学者たちには不都合です。しかし、直近の数十年ぐらい前から再び相関を示すような変動が認められることに着目しました。1850年からハワイのマウナ・ロア島で大気中の二酸化炭素濃度を観測し続けており、下図はそのデータです。


このデータに、1951年から1980年の世界の年間平均気温を0とした場合の温度推移グラフを対比させたのが下図です。このデータは二酸化炭素濃度が急激に増え始めた1970年以降、平均気温も急激に上がっておりますので、二酸化炭素温暖化説の学者たちにとっては格好のデータとなります。これをもとにIPCCは二酸化炭素温暖化説を正当化し、更にゴア元副大統領は地球上の数々の異変が地球温暖化によるものと断定して『不都合な真実』なる映画を作り、これが評価されてIPCCとともにノーベル平和賞を受賞、更にはアカデミー賞「長編ドキュメンタリー賞」も受賞し、一躍世界のヒーローになっております。


このデータから論理的に「二酸化炭素濃度増大が一意的に地球温暖化に繋がっている」と結論付けるためには、「二酸化炭素濃度が増大する(A)と地球は温暖化する(B)」という命題で、A⇒B とともに B⇒A が真であることを証明し、A と B が同値で、A が B の必要・十分条件であることが証明する必要が有ります。

しかし、A⇒B つまり「二酸化炭素濃度が増大すれば地球が温暖化する」が真であることは証明されておりますが、B⇒A  つまり「地球が温暖化すれば二酸化炭素濃度が増大する」は証明されておらず偽であることから、A と B は同値でなく、従って「二酸化炭素濃度増大が一意的に地球温暖化に繋がっている」と結論付けることは論理的には出来ません。ここで、B⇒A が偽である理由は、地球温暖化には、昨日の日記で要因Xで例示したように、二酸化炭素濃度増大以外にも多くの要因が挙げられているからです。

また、ゴア氏の『不都合な真実』には、上述のように、A⇒B をもって B⇒A とする論理的に矛盾する記述や、まだ科学的に解明されていない現象を地球温暖化に起因させる非科学的な記述が多く見られます。現に、昨年10月、英国の高等法院は具体的に九つの誤りが有るためこの映画を学校で上映するのは問題が有るとして是正処置を求める判決を下しております。私もこの映画のサマリーを動画で観ましたが、小学生たちに無条件で鑑賞させるには問題が有ります。日本の文部省がこの映画を推薦しているところにも問題が有ります。この映画の問題点は、改めてこのシリーズで取り上げることとします。




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