講座集 第2章 資源回収・リサイクルに役立つプラスチックスの知識

(3)プラスチックスとは(定義と分類)

プラスチックスって何かと問われたらどう答えられますか。
英語でプラスチック(Plastic)とは可塑性と言う意味で、「可塑性を利用して成形されたもの」 がその定義なのです。

つまり、力を加えると変形しその力を取り除いても変形したままの形を保つ性質を可塑性と呼んでおりますので 早い話、粘土やガラスもこの定義を適用すればプラスチックスと言うことになりますが一般的には有機系の高分子に限定しておりますので、これらはプラスチックスとは言いません。

プラスチックスには加熱すると可塑性を帯びて流動する性質を利用して成形する熱可塑性樹脂と、逆に加熱すると硬化する熱硬化性樹脂の2種類が有ります。
従ってセルロイドは熱可塑性樹脂、フェノール樹脂は熱硬化性樹脂と言うことになります。
プラスチックスは「成形されたもの」、樹脂はプラスチックスの「材料」、高分子は樹脂の「学術名」を指す場合が多いようです。

その高分子を判りやすく説明してみましょう。

例えば石油から分留されるガスにメタン、プロパン、エタン、エチレン などが有りますがこのうちのエチレン(CH2=CH2)を例にしてみます。
エチレンは通常は個々のの分子が独立した状態で存在します。
ところが、この分子に重合と言う処理を施すと、この分子中の2本の結合(二重結合=)のうち1本が切れて、 切れた端同志が結合して n個が重なり合った状態の(CH2=CH2)nになります。
このnを重合度、その状態をポリマーまたは高分子といいますが、nが大きくなるにつれてパラフィン状の液体、更にローソク状の固体、nが1万を越えるとみなさんがよくご存じのポリエチレンになります。

(4)熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂はプレス成形以外に経済的な成形法が無いためフィルム、パイプは無理で大きい物や複雑な物 も難しく比較的小さくて単純な形状の物に限られております。

フェノール樹脂以外に同系のユリア、メラミン樹脂があります。
ユリア樹脂は合板、メラミンは食器、化粧版(デコラ)が多いのですがホルムアルデヒドの溶出や揮散が一時問題視 されましたが建材や接着剤として多く使われております。

ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂はFRP、接着剤として漁船、浄化槽、浴槽、車体、釣り竿、建材等によく使われているのでご存じと思います。 特に、エポキシ樹脂とカーボン繊維との組み合わせによるカーボン製釣り竿は最高級品として知られております。

ウレタン樹脂の主用途は塗料ですが、発泡させたウレタンフォームクッション材はみなさんご存じと思います。
シリコーン樹脂は、後で出てきますポリエチレン、フッ素樹脂(テフロン)とともに第2次世界大戦で連合国に勝利をもたらした戦略物資のひとつとして大いに役立ちました。
日本を空爆したB29戦略爆撃機が日本軍の高射砲射程外の高空を飛べたのもこの樹脂で被覆された耐熱電線に あったとされております。

この樹脂は耐熱性、撥水性とともに触感が人肌に似ていることから美容整形によく使われ、最近女性の胸の中に埋め込んで豊胸材として使われましたが発ガン性が有るとして米国でPL訴訟 問題が発生してからはあまり使用されなくなりました。また、撥水性を利用して防水スプレーなどに使われております。
尚、プラスチックス全体に熱硬化性樹脂が占める割合は大体20%前後と思われます。


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