雑感記

第 5 章 獅子座流星群について

先日夜釣りに出かけましたが、全く当たりが無いので星空を仰 いでおりましたら流れ星を見ました。
あのきらめく星座の殆どが何万年、何億年以上も前の姿だと思うと こころまで広くなってくるような気がするのです。
現実に150億光年の彼方から光を放っている星達は地球が生まれ るよりずっと前の姿であり、この瞬間はもう消えているかもしれません。
望遠鏡でやっと見える小さな小さな点でしかない星が実は我々が住む 太陽系がいくつか集まった広大な銀河系より遥かに大きい星雲だと 思うと我々が悩んでいることなんてちっぽけに思えてくるのです。
逆になんてちっぽけな星なんだと現実感を味あわせてくれる星も有ります。

それが流星群です。
流星には、所、時間に関係無くスーっと流れる「流れ星」と言われる 散在流星と、所、時間に関係してスイッと流れる「流星群」の2種類が 有り、獅子座流星群はこの「流星群」に属します。
いずれも、宇宙のゴミやチリの類でどちらかと言えば、流れ星がごみで 流星群はチリのようなもので、地球の引力に引っ張られて、大気圏に音速 以上の猛スピードで突入して空気との摩擦で3000度以上の高熱を発生す るためにあのように光を放つ点で共通しております。

ゴミといっても粗大ゴミですと燃え尽きないまま地上に隕石として落下する 場合が有ります。 月の表面にあばたのようなクレーターが有りますがあれは隕石が落下した 跡と言われておりますし、地球上にも南米にそれらしき跡が残っております。 大昔、恐竜が滅んだのは巨大隕石が落下した時に発生した噴煙が長い間 地球上を覆ったため日光が遮られて気象異変が起こり氷河期を招いたため とも言われており、ノストラダムスの予言もあり得ない話しではないですね。 従って、流れ星は宇宙の一匹狼のような流れ者でそう多くは見られません。

私も夜釣りで釣れない時は星空を見て流れ星を見るようにしていますが、 過去にまだ、2,3回しか有りません。 恐らく、一晩中みていても数回しか見れないと思います。 その点、流星群はその名のおり何千、何万もの流星が放射線状にシャワー のように降り注いでくるといわれております。 近年、世界的には昨年の日本での獅子座流星群が有名で、たまたま私はそ の頃スペインを旅しており、地元のテレビでCNNニュースがNHKの画面を世 界中に実況していたのを覚えております。

この流星群の正体は米粒ぐらいのチリが殆どです。 これは彗星がチリを尾ひれのようにばら撒きながら太陽を周回するので、その 撒き散らされたチリが地球の引力に引っ張られて大量に落下してくるのです。
彗星は、水・金・地・火・木・土・天・海・冥の惑星が太陽の一点を中心として一体 運動しているのでその軌道が円になるのに対し、彗星は太陽と地球等の2点以 上惑星を中心とする多体運動するため、軌道は楕円になり、その周期毎に地球 に接近して再び離れていくことになります。

まだ未発見の彗星の多く、発見すると発見者の名前が付けられるので世界中の 天文学者やアマチュアが毎晩血眼になって探しており、日本ではホンダ彗星が 有名ですし、ハレー彗星が明治時代に接近した時は一時的に空気が無くなると いうので、息を止める訓練をしたり、空気ボンベのようなものが売り出されて大騒 ぎになったようです。

獅子座流星群の母彗星はテンペル・タットル彗星で33年周期で地球に接近し、 過去、1833年には北アメリカを中心に数え切れないほどの流星が見られ、まる で降りしきる雪のように星が降り、それが7時間も続いたという記録が残され、 33年後の1866年には、イギリスで再び流星の雨が観測されました。
しかし、次の1899年と1932年には、期待された流星雨は全く見られませんでした。 残念ながら、木星などの引力の影響で軌道が変わってしまったようです。 ところが、1966年11月17日、獅子座の流星雨はアメリカで再び復活します。 もっとも多いとき、1時間に15万個は流れたという、大変な記録が残されています。 そして、、今年の11月17日から18日にかけて地球に最接近したのですが、 期待に反して日本ではそれほど多くは見られませんでした。
11月に集中するのは、テンペル・タットル彗星の軌道上にばら撒かれたチリの 大群に地球が毎年11月に最接近するためで、1998年前後に集中するのはこの 彗星がこの年に地球接近するためです。 また、獅子座に集中するのは、テンペル・タットル彗星の軌道が地球からみて獅子 座の方向に有るからです。 従って来年の11月にもある程度見られそうですが確率はどんどん低下していきま す。

果たして、33年後の平成44年まで生きられるでしょうか。
8月中旬のペルセウス座流星群や12月中旬のふたご座流星群は毎年安定して多く の流星が見られるので有名で、流れ星を楽しむ絶好のチャンスです。 1年に1度、流星群を見つけて、消えるまでに3度願い事を念ずるくらい、こころに 余裕とロマンを持ちたいものです。

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