台湾旅行を終えて思うこと(1)
台湾旅行を終えて思うこと(2)


花蓮市にる北回帰線記念塔

中部国際空港に予定より1時間近くも早く到着し、出口から連絡通路に出た時一瞬寒さを感じました。 高雄で23度、寒い台北でも16度でしたので8度の名古屋とでは相当の気温差が有り当然のことではあります。15年前に仕事で台湾に行ったのは夏至の頃でしたので、北回帰線のやや南に位置する高雄の気温は殆ど赤道付近と同じでその暑さに閉口し、暑い名古屋が涼しく感じられたことを思い出しました。

また、あの時は台風の影響で名古屋空港(当時は小牧空港)着が6時間近く遅れて深夜に着いて交通の便が無く酷い目に遭ったことも同時に思い出しました。今回到着が早まったのは、強い冬型の気圧配置と優勢な太平洋高気圧により台湾から日本列島にかけて強い西南西の風が吹き、これが追い風になったとの機内アナウンスが有りました。
その結果、燃料費が30%前後安くなったはずですから、原油高騰による今回の12,000円のサーチャージの一部を還元して欲しいものです。

今回の台湾旅行に関して私は次の目標を心に描いておりました。

(1)花蓮市にある北回帰線記念碑見学:
(2)台北101超高層ビル展望台見学:
(3)玉山(日本名=新高山)見学:
(4)台北故宮博物院の至宝、翠玉白菜見学
(5)高雄市内にある左営蓮池潭公園の竜虎塔見学

結果として、(3)を除いて全て目標達成できました。
(1)は当初の日程には無かったので心配しておりましたが花蓮に行く途中のバスの中で、ガイドさんが「途中に北回帰線記念碑が有りますので宜しければ立ち寄ってみたいと思いますが如何がでしょうか?」
とアナウンスされたので私は待ってましたとばかり「お願いしまーす」
と大声を張り上げました。その結果、立ち寄って撮影したのが冒頭の写真です。生憎、この時だけ雨風が酷かったため綺麗な画像にはなりませんでしたが、念願だっただけに感激でした。

台湾の北回帰線記念碑については、2003年6月23日の日記「今日は夏至です」で触れ触れておりますように、地球が23.4度傾いて公転するため太陽は見掛け上、赤道を中心に南北23.4度の経度域で地上真上(南中高度が最高の90度になる場合)にきます。北回帰線はその北限の北緯23.4度の緯度線を意味しております。

もし、晴れの日の夏至の南中時刻(正午頃)に、この記念碑を見れば、太陽が真上にいるため記念塔の日陰が全く見えないという珍しい現象を目撃することが出来ます。これを見たいがために、世界中から当日ここを訪れる人も結構多いようですが、私にはその思いがよく判ります。そんなことを思いながら夢中になってシャッターを切りましたが、いい思い出になりました。


台湾の地理(丸数字は3ケ所の北回帰線記念碑の位置)

台湾旅行の前に、旅行中天候が気になり、台湾の週間天気予報をチェックして不思議に思ったことが有りました。台湾は北部の台北地方、中部の台中地方、南部の高雄地方に3区分されますが、台北地方は1週間雨続きだったのに対して、100km程度しか離れていない台中地方では逆に1週間晴れ続きだったからです。

実際、台北の桃園国際空港からバスで最寄の新幹線の桃園駅までは曇り空で時折小雨が降っておりましたが、新幹線で南下して行くほどに雲間が切れ、台中駅に到着した時は、殆ど雲が見られないほどの晴天になっており、天気予報どおりでした。早速、現地ガイドの初さんに聞いたところ、台湾はやや南寄りの中央を北回帰線が通っているためその南北で気候が異なるからだと教えられましたが、その説明ではどうしても納得がいきません。

回帰線は太陽が地上の真上に来る南北の限界線に過ぎず、この限界線の南北で気候が極端に変わることは有り得ないと思われるからです。そこで帰国後いろいろ調べてみました。その結果、冒頭の画像に示すように、南北に東アジア最高峰の玉山(3,952m:日本名は新高山)をはじめ3,000m級の山々が100以上も有る山脈が連なっていること、西側を東シナ海、東側を太平洋に面している台湾特有の地理がその原因と判りました。

つまり、冬は中国大陸方面からの北西の季節風が東シナ海を通過する時に湿気を帯びてこの山脈の当るため雲が発生しやすくなることから、山脈の西側の台北地方は冬でも雨が降りやすくなるのに、南側の台中地方ではこの北西の季節風が和らぐため晴れやすくなることがその原因と考えられます。

ところが、中部の台中地方、南部の高雄地方は旅行中は概ね晴天でしたが、同じ中部でも山脈の東側で、太平洋に面している花蓮地方に行った途端、天候は怪しくなり、お目当ての花蓮の北回帰線記念碑見学の時は激しい海風に加え横殴りの雨に見舞われてしまいました。そして、海岸には太平洋からの高波が押し寄せておりました。

日本の紀伊半島地方で、北側に熊野山系が迫り南側で太平洋に直面している尾鷲地方で雨が多いのと同じ理由で、太平洋高気圧から吹き込む南東の風が山脈に当たって雲を発生しやすくなるために、花蓮地方に行くと一転して雨が多くなるようです。このように台湾の気候は狭い範囲で大きく異なる点に特徴が有るように思われます。

四季は有っても日本ほどメリハリが無いのは、北回帰線がほぼ中央を通っていることから熱帯に近い気候のため冬でも平野部では雪は降らず、富士山より高い玉山でも冠雪することはごく稀です。共通しているのは梅雨と台風です。特に台風は、台湾から来るから台風との説が有るくらい台湾には多いようです。それも、勢力の強い時に襲われる場合が多いためその被害は甚大です。このように海外旅行して、旅行時の当地の天候から気候の特色、日本との違いなどを調べてみるのも面白いものだと実感した次第です。


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