雑感記 第14章 米国に対する同時多発テロについて

私のささやかな生涯の中でこれだけの大きな国際事件を目の当たりにしたのは始めてで、 世の出来事への思いを述べることを目的にしている雑感記でこれに触れないわけにはまいりません。 情報が錯綜し、事実関係がまだ流動的な現在、このことに触れるのは不適切かも知れませんがどうしても書かずにはおられません。

米東部時間11日午前(日本時間同日夜)、米国内で4機の民間機がハイジャックされうち2機がニューヨーク・マンハッタン島南部の世界貿易センタービルに激突して倒壊させ、更に1機がワシントンの国防総省(ペンタゴン)に激突して一部を炎上させた他、ピッツバーグ上空では残りの1機が墜落する等、米国は歴史上例のない混乱状態に陥っております。

犯人は完全には特定されておりませんが、イスラム原理主義過激派組織の関与が指摘されておりブッシュ大統領は米国民および全世界に対して必ず犯人を突き止めて責任を取らせると強い口調で決意を表明しております。

★我々の今後の生活への影響

・石油及び関連製品の高騰
以前の湾岸戦争の時のように原油が事件直後にロンドン市場では9ケ月ぶりにバーレル31ドル台に急騰しております。
しかし、かってのオイルショックのようにトイレットペーパーを奪い合うような事態にはならないと思います。
何故ならそれが愚かな行為であることを消費者自身が認識しており、また日本は現在デフレ状態で物不足に対する対応は充分できているからと思うからです。
NYで市民の駆け込み需要で一時ガソリンが2倍以上に跳ね上がりましたが、石油会社の敏速ななPRで直ぐに平常化しておりますし、日本の場合はオイルショックの教訓から大量に石油を備蓄しておりますので原油の値上がりに見合う高騰は有っても暴騰することはないと思われます。
しかし、自動車、家電、建材等の耐久消費財の主原料であるプラスチックス等の石油関連製品の値上げは本来なら必至と見られますが、デフレ下に有りますのでその値上げ幅にブレーキがかかるものと思われます。

・証券の急落
NY市場が閉鎖したまま、事件後日欧等で取引されておりますが、直後はいずれも10%前後急落しましたがその後は買い戻しも入り特に欧州では意外と落ち着いております。日本でも直後は700円弱まで急落しましたがその後は落ち着いております。
週末にマイカルの破綻が不良債権処理のきっかけになるものと外人投資家に好感されて400円弱も高騰して1万円代を回復しましたが、今回のテロとは関係ないのでNY市場再開による影響はこれからと考えられます。

本来なら、「有事のドル買い」で円安、ドル高になる流れと米国経済の行方を懸念してドル売りする流れがバランスして現在3円前後の円高にとどまっております。
明日から再開されるNY市場を全世界が固唾をのんで見守っていますが、1929年の大恐慌を招いたNY大暴落のような事態にはならないと言うのが専門家の一致した見解でその理由は次の通りです。

・NY市場の閉鎖は暴落を恐れての処置ではなく開きたくても開
 けない物理的な事情によること。
・関連情報がインターネットを通してグローバルスタンダードにな
 っておりNYサイドだけの事情で一方的に売り込まれることはな
 いこと。
・FRBのグリンスパン議長が陣頭指揮して既に対応策を打ち出
 していること。
・自社株買い制限を緩和していること、
・株価急落すれテロ組織の思うツボになるとの意識が投資家に
 浸透しつつ有ること、
・携帯、インターネットの重要性が再認識されつつあること。
・更に復興需要に加え予定されている減税幅や金利値下げ幅を
 与野党一致して拡大することにより景気減速に歯止めをかけ
 る動きが具体化するとの推測が有ること。

このような国難に際して国民が一致団結して立ち向かう国民性は有るのですが、再開後の大暴落は無いにしても消費マインドが冷え込む分景気回復が遅れるのは必至と思われます。
反面、有事に高騰する商品先物は、直後に石油、金、パラジウム等値上がりが目立ちましたがその後は落ち着いております。

・航空機利用、海外旅行の手控え
一時JR株が値上がりしていることが暗示しているように、航空機から新幹線に換える 動きや、米国圏、イスラム圏への旅行は勿論のこと海外旅行そのものが手控えられる動きが目立ってくると思います。
インターネット、携帯の必要性が再認識されたことで通信、IT関連は少し持ち直す傾向は出ると思いますが、円高と米国の景気回復が遅れる分、輸出関連は厳しいと思われます。
また、心配されるのは来年6月のWカップがテロの対象になる恐れが有ることです。



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