我が闘病記
10章 看護婦さんたちのこと:
最近は、男女雇用機会均等法の制定により看護婦(士)と呼ぶべきですがここでは敢
えて看護婦さんと呼ぶことにします。
普通、看護婦になるには、高校卒業後大学、短大、専門学校で3、4年修学して国家
試験に合格すればいいのですが、戦後の看護婦不足を補うために准看制度が制定され、
中卒で准看学校等で2年以上修学して都道府県知事の認定を得れば准看護婦として
全国共通に基本的には看護婦とほぼ同じ仕事ができます。
看護婦と准看護婦の比率はほぼ1:1ですが年々高学歴化と医療技術の高度化に伴
って准看護婦の採用減少が目立ち准看制度の見直しが検討されております。
現在全国で約90万人の看護婦さんが現役、約40万人が退役しておりますが4月から
の介護制度の発足を控えて介護者の絶対数の不足が問題化しております。
介護責任者として介護支援専門員の資格認定が都道府県単位で実施されていますが
、医師、看護婦、介護士、介護福祉士にはその認定試験で大幅に免除される
特典が有ることから退役した潜在看護婦さん達がこの試験にリベンジしております。
准看護婦を準看護婦と誤記したり、看護婦を正看護婦と別称したりすることは、この
大学病院では有りませんでしたが、それでも差別、派閥は有ったように思います。
看護婦さんの管理職には婦長、主任、副主任がありますが、准看護婦さんは余程のこ
とが無い限り管理職にはなれません。
この病院では一人の主任の下に二人の副主任が配属されておりましたが、この二人の
副主任が派閥争いをしているように感じられました。
Aさんはこの大学の卒業生で娘の先輩、Bさんは別の大学の卒業生で、Aさんより年
上だった分、主任昇格への遅れを気にしていりように見えました。
しかし、彼女達、管理職はたまに部屋に来ても笑顔も少なく事務的に淡々と話して、冗
談ひとつ言わずに退室してしまうし、ミスした時強制退院と言って脅かすのも彼女達だった
のですが立場上やむを得なかったことと思います。
むしろ、年輩の准看護婦さん、働きながら看護婦資格を取ろうとしている若い見習中
の准看護婦さん、一念発起して准看護婦の資格を取ろうとしている看護補助者のみ
なさんが優しくて、親切で、明るくて人気が有ったのです。
私もこの二人の副主任にはどうも馴染めず敬遠気味でした。
Bさんは化粧がやや濃く、何時も強めの香水を使っていたので移り香が気になり、A
さんはスッピンに近いのですが愛想が無く、いずれもいい印象は持てなかったのです。
そして、ある深夜、私の部屋で起こったアクシデントの当事者がAさんだったのです。