我が闘病記

第13章 恐怖の夜を体験して

これからご紹介する恐怖体験は当事者の身になってみないととても理解して頂けな いのでその時私が置かれていた状況を整理してみます。

まず、その時は手術後1週間後のベッド上安静で寝返りを禁止されている時期でした。
寝返りなどして身体を動かすことは、髄液を封止している膜の縫合部が破れて液漏れ したら再手術は必至で場合によれば手術不能になる恐れすら有る厳禁行為だったの です。

次に、骨を削り膜を破り、その上1週間以上腰を動かしていないので腹筋の筋力が極 端に低下したため腰椎と神経が接触しないように緩衝動作することが出来ず、身体を 起こすと激痛が走る状態だったのです。

寝ていたベッドはパラマウント製でハンドルを回すことで起こす角度を調整出来、当時 は10度が限界でそれ以上にすると痛みが走る状態だったのです。 つまり、身動き出来ない状態だったのです。

そして、尿道パイプが外された翌日で排尿はベッド横にあるシビンで受け終わったらコ ールして空のシビンと交換することになっていたのです。

ただ何日間か自力排尿をしてなかったので尿意を催してから我慢出来る時間が短かく 直ぐシビンで受けないと失禁する恐れが有ったのです。


もし、失禁すると尿が背中の縫合部から体内に侵入して炎症を起こし、膜の縫合部 に達すると前述のような問題を起こす恐れが有るので失禁は厳禁行為だったのです。 こんな状況の下で、その夜がやってきたたのです。 その日は消灯時刻の9時半頃、シビンで排尿し終えた時、看護婦さんが部屋のカーテ ンを閉めるために入室したのです。

その看護婦さんは使用済みのシビンを持って退室されたのです。 その場合は、未使用のシビンを直ぐ持ってくることになっていたのです が、持ってこられたかどうか未確認のまま眠り込んでしまったのです。 そして、夜中に目が覚め、尿意を催してきたので、常に置いてあるはずのシビンを取ろと手 を延ばしたのですが無いのです。

あの時の看護婦さんが持ってくるのを忘れたものと思い、早速持ってくるようにお願いしよう と思いナースコールボタンを押したのです。 何時もなら、1回押しただけで「どうされましたか?」と言う看護婦さんの声がフォンから 聞こえてくるはずなのに、何回押しても応答有りません。
もし我慢出来ずに漏らしたらと思うと気が動転してきました。

夜勤の看護婦さんはコンビでナースセンターに待機しており、長時間にわたって二人とも不 在になることは、それまで滅多に無かったのです。 と言いいますのは、夜勤業務の大半は点滴やシビンの交換、寝返り補助、排便処理ですの で充分二人で対応可能で、もし人手が足らない場合は当直医、看護長、看護婦長経由で 看護婦を動員することになっているのです。

前 頁 へ次 頁 へ
P−13
inserted by FC2 system