我が闘病記

第4章 病院の選択そして入院:

この検査結果を聞いた家族も当然のことながらショックを受けました。 しかし、この聞き慣れない病気については全く知識が無いため戸惑うばかりで、とに かく紹介状を持って明日にも、紹介されたその国立大学医学部付属病院に行くこと だけを考えておりました。

臨床検査技師の長女に話したところ、彼女の母校でもある別の大学付属病院の 内科医局員をしている彼女の夫の意見を聞いてみたらと言われ、早速長女夫妻を 家に招いて内科医の彼に例のMRI写真を見せました。
すると彼はこの手術は相当難しいので、この手術の経験豊かな整形外科医の執刀を 受けた方がいいとして、幸い彼の勤める大学付属病院の先輩にこの手術では世界的 な権威の整形外科医がいるから、良ければ紹介すると言われたのです。

その結果、脳神経外科か、整形外科かその選択に迷うことになりました。 脳の下部から出ている中枢神経は頸椎、胸椎、腰椎の各椎骨から成る背骨の中を通 って腰椎の中で、馬の尻尾のような形をして収束しているので、この部分の 神経は馬尾神経とも言われております。
つまり、脳と神経がクモ膜と硬膜の二重の膜からなる袋の中に液封され、更にその袋 が頭蓋骨と背骨で保護されているわけです。
馬尾神経はこのように脳の延長線上の組織ですので脳神経外科の領域ですが、一 方腰椎の中の組織ですので腰椎を対象とする整形外科の領域でもあることから、双方 の外科の共通領域になっているとのことでした。


そこで、婿殿のコネで特別にその外科医にMRI写真を診て頂いたところ、腫瘍の大きさ と発生部位からみて手術はそれ程難しくないとのことでした。 この道では世界的な権威と言われる外科医の力強い所見を聞いて、迷うことなく、この 大学付属病院を選ぶことに決めたのです。
その整形外科病棟に1週間後に入院することになりました。 生まれて初めての入院で、あれこれ準備して入院の日が来ました。

ショックだったのは、手術に際して書かされた誓約書の中に「例え排尿障害や肢体不自由 が発生しても文句は言わないこと」との一文が有ったことです。 しかし、手術しないと、腫瘍は大きくなるばかりで悪性でないにしても隣接する神経にも 障害を来たし、その痛みを押さえるためには投薬では効き目が無くなって神経ブロック 等の大々的な処置が必要になり通常の社会生活すらできなくなる恐れが有るので文句を 言うどころではありません。

この誓約書の一文は、私の病気も含め椎間板ヘルニア等の腰痛関連の外科手術では 当然ですが元巨人・中日のプロ野球選手だった西本聖選手がこれを世間に公 表したため社会的に話題を集めたことがありました。
彼は中日に在籍していた頃、椎間板ヘルニアに罹り、手術して成功すれば選手生活が続け られる反面、1/2の確率で失敗すればこの誓約書のように車椅子の生活を余儀 なくされる一方、手術しなくても一般人としての生活に支障はないと診断されて彼は悩 みに悩んだのです。

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