我が闘病記

第8章 個室から大部屋に移って:

個室では、家族の面会、回診、検診、配膳、掃除以外は一人だけになれるので、それを いいことにして、ある程度身動き出来るようになってから禁じられているたばこをこっそり 吸って吸い殻を隠したものの、紫煙の残り香を嗅覚のいい看護婦さんに嗅ぎ分けられて大目玉 を食らい、次は強制退院と宣告され酷い目に遭いました。

それをきっかけに、持ち物検査もされて、密かに隠し持っていたブランデー入りのケトル も見つかってしまい、すっかり信用を無くしてしまいました。 しかしこの屈辱を契機に禁煙し、現在に至ってますのでかえってよかったと思います。
煙草は百害有って一利無しです。

米国では、旦那を肺ガンで亡くした床屋のおかみさんが、お客の煙草の煙を長年にわ たって吸わされたのがガンになった原因として煙草会社をPL訴訟して勝訴し、数百億 円に加え、社会的懲罰として約40兆円の史上最大の賠償金を支払うよう裁判所は命 じております。

私が禁煙しなかったのは、ニコチンが腸に吸収されると腸の動きが活発になって便通 がよくなるのと、食欲を適当に抑制して肥満を防止するからなんです。 特に私の場合、喫煙で唾液の分泌が活発になる体質のためニコチンやタールが唾液 に混じって胃や腸に行きやすいのでより有害ではと思うようになり、禁煙を我慢するく らいなら止めてしまえと今回の発覚事件を契機に禁煙したのです。

何十年間も吸い続けて今更止めても効果は少なく現に体重は5キロも増えたので収支 は合いませんが人に迷惑を掛けなくなったことだけはよかったと思います。 最近、若い女性の喫煙が目立ってきましたが、胎児への影響、女性らしい思いやりを 考えると止めて欲しいものです。
禁酒したら人生終わりですから愛飲してますが、無茶飲みしないようになりました。
こうして入院して闘病生活を送ると、医師、看護婦、友人、家族等周囲の人たちの献身 的な看護や思いやりに接して人と接することの喜びを大事にするようになり、お酒を飲 んでいる時も一緒に飲ませて頂くとの思いが強くなったように思います。

その思いは同じような闘病生活を同じ大部屋で送った病友達にも共通で、退院してか らもお互いに連絡を取り合ってリハビリの経過を確認し合うようになりました。 そして、私の提唱でオフ会をやろうということになって、「病友会」との会名のもと毎年 9月の第一土曜日に会合してお互いの健康を喜び合いながら情報交換するようになり 昨年、4回目を終えたところです。

そして、来年は奥さん達にも参加してもらうことになりました。 個室の楽しみのひとつに、部屋担当の看護婦さんがいろいろ周りの世話をしてくれ ることが有ります。 足と背中は毎日拭いてくれますし、自力歩行が出来ない間は週に1回移動式風呂で身 体全体を拭いてくれたし、抵抗は有りましたが下の世話もしてくれました。 部屋担当は毎日交代しますが、若くてきれいな看護婦さんが来るとときめいて体調ま でよくなるような気がして次の交代日を待ち望むようになり入院生活にメリハリができ て早期の治癒に効果的ではないかとさえ思いました。

ただ私の場合、ヴェテランの方が多く失望の日々が続いたのは本当に不幸でした。 部屋担当以外の看護婦さんでも、手が空いたり交代勤務が終わって帰りがけに寄って くれることが有り、そんな時は看護婦さんが身の上話を話してくれるのでとても楽しい のですが、ある日のこと看護婦さんから怖い話を無理に聞いてしまったのです。

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